ライブ配信が日本の旅行業界を救う?中国の旅行会社が活路を開く

Record China    2020年5月15日(金) 15時40分

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新型肺炎で試行錯誤する中、200万人以上の会員を持つ中国の旅行会社の取り組みが成果を上げ、大きな注目を集めている。写真は謝CEO(右)。

世界で最も早く新型コロナウイルスの感染が広がった中国では、感染拡大防止のために長らく外出制限が続き、旅行業界が大きな打撃を受けた。その後、感染拡大に歯止めがかかり、当局は外出制限や行動制限を続々と緩和。労働節に伴う5月1~5日の連休期間中は延べ1億1500万人が国内を旅行した。一方で、多くの観光地で入場制限が行われるなど、感染の第2波への懸念が強く、完全に回復したとは言えない。各企業が困難を乗り越えるために試行錯誤している中で、200万人以上の会員を持つ中国最大の親子専門のイベント・旅行会社「麦淘親子(マイタオチンズー)」の取り組みが成果を上げ、大きな注目を集めている。

麦淘親子は2014年に創業し、会員に親子向けのリゾートツアーや研修旅行といったコンテンツを提供している。創始者の謝震(シエ・ジェン)最高経営責任者(CEO)は中国の大手旅行サイト「芸龍旅行網」の最高執行責任者(COO)を務めた経験を持つ、中国旅行業界の代表的な人物だ。

▼ホテルをライブ配信で紹介、リアルタイムで予約や質問に対応

謝氏によると、麦淘親子は1月下旬から3月上旬まで、新型コロナウイルスの流行に伴うキャンセルや返金対応で業務量が3倍に増加。一方で収益は落ち込んでいくという厳しい状況に立たされていた。しかし謝氏はいずれ旅行業界は回復すると信じ、逆境の中でもできることをしようと決意。親子向けのホテルを訪問してライブ配信で会員にその魅力を紹介する案を打ち出した。この方法であれば、外出を控えている会員も安全に楽しみながら流行終息後の旅行計画を立てることができる。気に入ればすぐに予約できる仕組みにすることで、ホテルや麦淘親子の収益にもつながる。


▼予約は好調、1軒当たり平均500室

謝氏らは6カ月で100軒の紹介を計画し、「わざわざ行く価値のある親子向けホテル100選」と題して3月21日から配信をスタート。圧倒的な反響を呼び、すぐさま人気配信となった。5月13日時点ですでに26軒で実施され、12軒目に紹介した海南省のプルマン・三亜・ヤロン・ベイ・ヴィラズ・アンド・リゾートでは、配信中に2100室もの予約が入った。他のホテルでも視聴者の予約率は平均20%で、1軒当たり平均500室予約されている。これほどの効果が出ている理由の1つは、ホテルとの提携によって高品質・低価格を実現していることだという。会員に人気があるのは、プライバシーや安全性に配慮されたヴィラタイプの施設などだ。通常なら高価格だが、配信では1泊当たり平均800元(約1万2000円)という特別料金を提示している(人数ごとではなく部屋ごとの料金)。


▼コロナ後の旅行スタイルの変化を予想

謝氏は「今後の中国人の旅行状況は二極化していく。新型コロナウイルスの影響で収入が減った人は海外旅行を控え、大きな影響を受けなかった人は自主隔離生活の反動で、積極的に海外旅行し、よりぜいたくなサービス・商品を求めるようになる可能性がある」と推測。「日本はもともと中国人に人気がある上、新型コロナウイルスの流行を受けて日本の各界が中国に医療物資の支援などを行なったことは中国の人々を感動させた。これにより、訪日中国人観光客はさらに増加し、日本の高級リゾート施設の需要は一層高まるだろう」と話した。


また、謝氏は2001年、中欧国際工商学院のMBA課程在籍中に交換留学生として日本を訪れ、新潟県の国際大学(IUJ)で授業を受けた。そのため日本に深い思い入れがあり、日本のホテルでもライブ配信を行うことで、日本の旅行業界の回復を助けたいと考えている。具体的な実施先はまだ固まっていないが、日本の流行状況が落ち着き次第、各地のホテル10軒をめぐる計画だ。親子向けで、周りに特色のある観光資源や観光地があるホテルを取り上げたいと考えている。

最後に謝氏は、「旅行業界は今、新型コロナウイルスの影響で混乱しているが、いずれまた盛り上がる。諦めずに協力すれば困難を乗り越えられるはずだ」と強調した。(レコードチャイナ編集部)

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