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我が子の写真や料理、自撮り画像などのほか、歩数をアップするユーザーをよく目にするようになっている。
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近年、スマホやスマートウォッチなどのウェアラブルデバイスが普及するにつれ、微信(WeChat)のソーシャル機能「モーメンツ」では、我が子の写真や料理、自撮り画像などのほか、歩数をアップするユーザーをよく目にするようになっている。
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また、微信の歩数ランキングを見ると、1日に2-3万歩歩いている人も多く、彼らは日に日に最多記録を更新している。では、歩数が多いほど健康に良いのだろうか?この点について、関連の専門家に聞いた。科技日報が報じた。
歩きすぎはさまざまな故障の原因に
歩くのは健康に良いものの、歩数が多ければ多いほど良いというわけではない。既存の研究によると、日々の歩数が多いほど健康で長生きできるというわけではなく、歩数が過度に多いと筋肉や筋膜、関節などの損傷の原因になりかねない。
深セン市第二人民病院運動医学科の陸偉主任は、「人によって関節の状況は異なり、痛みが出た場合は、すぐに運動の方法を調整しなければならない」と注意を促す。
つまり、「ウォーキング」という一見単純な運動でも、フィットネスを目的としている場合は、それぞれの体質に合わせた計画が必要だ。その他、歩く時の姿勢も非常に重要で、正しくない姿勢で歩くと筋肉や関節、姿勢などに悪影響を及ぼす可能性がある。
歩く時の正しい姿勢について、武漢協和病院骨科の邵増務主任は、「まず、頭を上げて、胸を張り、背中は力を抜いて、両肩は緊張をほぐして自然に後ろに引き、膝はまっすぐに伸ばすと良い。また、内股歩きや外股歩き、後ろ手を組んで歩くのは避けたほうがいい。その他、運動を始める前に、ストレッチなどの準備運動をして、関節をよくほぐしておくことが大切」とアドバイスする。
健康に良い1日の歩数は依然として議論の的
では、1日にどれほど歩けば健康維持の効果を期待できるのだろう?
2019年、米ハーバード大学メディカルスクールの研究者は高齢の女性1万6741人を対象に、1日当たりの歩数や歩行強度と全死因死亡リスクとの関連を調べた。すると、1日の歩数が7500歩の人は、2700歩の人と比べて全死因死亡リスクが60%低いことが明らかになった。しかし、7500歩を超えた場合は、全死因死亡率と歩数の間にそれほど大きな関連性は認められなかった。
邵主任によると、全死因死亡リスクとは、全ての死因の死亡率で、一定期間内に各種原因で死亡した人の数が同期の平均人口数に占める割合だ。
今年、米国立衛生研究所(NIH)が中年・高齢者約5000人を対象に行った調査では、1日の歩数が4000歩の人と比べると、8000歩、1万2000歩の人の全死因死亡リスクはそれぞれ51%、65%低く、歩数とリスク低下の間に関連性が認められた。
興味深いのは、この2つの研究では、歩行強度と全死因死亡リスクとに関連性が見られなかった点だ。「中国人の食事ガイド」(2016年版)を分析した専門家は、「各自が1日当たり6000歩かそれ以上に相当する日常の運動量を保たなければならない」とアドバイスしている。
「1日1万歩」は歩数計の宣伝文句が由来?
陸主任は、「健康のためには1日1万歩を目標に歩くことが必要と一般的に言われているが、この歩数には現時点では科学的根拠がない。ウォーキングをする場合は、少しずつ歩数を増やし、適切な程度内でとどめておくべきだ」と指摘する。
では、「健康のためには1日1万歩」という概念はどこから来たのだろうか?英国放送協会(BBC)のドキュメンタリー「The Truth About Getting Fit」は、その由来を追跡し、1960年代に日本で流行した歩数計の商品名「万歩計」だとしている。
当時、「万歩計」のメーカーが行った大まかな統計によると、日本人の1日当たりの歩数は平均3500—5000歩だった。歩数計に運動をサポートするという概念を盛り込むために、そのメーカーは、平均歩数に2を掛け、1日に1万歩歩くことと健康維持を結びつけた。そして、少しずつ「1日1万歩」というフレーズが広がっていったのだという。
邵主任は、「ただ、現時点では、『1日1万歩』を推奨する公式機関の見解はなく、それが健康に良いことを示す関連研究もない」と指摘している。(編集KN)
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