日系家電メーカーの相次ぐモデル転換、資産を軽量化―中国メディア

Record China    2013年12月10日(火) 20時52分

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10日、日系企業が相次いで赤字に見舞われているのを横目に、日系家電大手は赤字のテレビ業務を真っ先に切り捨てる選択を行い、しかもその歩みが加速している。写真は中国の家電売り場。

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2013年12月10日、日系企業が相次いで赤字に見舞われているのを横目に、日系家電大手は赤字のテレビ業務を真っ先に切り捨てる選択を行い、しかもその歩みが加速している。たとえば東芝が遼寧省大連市にある工場を閉鎖するなどは、日本企業の動きの一つの縮図に過ぎない。中国広播網が伝えた。

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日系家電メーカーはこれまでテレビ業務を成功の糸口ととらえていたが、今では市場から与えられた「家電企業」という位置づけの払拭に懸命で、業務の多元化を選択するところがほとんどだ。家電製造業から撤退した日系家電メーカーはどこに行くのだろうか。

▽テレビ業務の縮小は否定

東芝関連部門の責任者は5日、大連工場の操業停止と運営終了について、「この工場の規模は900人に過ぎないし、製品の供給先は日本だけだ。この工場の閉鎖は実際には非常に小さいことであり、中国市場に対する影響は根本的にない」と話す。

東芝中国法人はさきに公式サイトを通じて公告を出し、主に日本市場向けテレビの生産拠点だった大連東芝電視有限公司を今年12月末で操業停止にし、運営を終了することを明らかにした。

これより約1カ月ほど前に、東芝は別の海外液晶テレビ生産拠点を手放している。

テレビ工場を閉鎖する目的は、なんといっても利益のためだ。東芝によると、今回の中国生産拠点の調整により、固定コストを一層削減することができ、2013年度下半期の黒字化という目標を達成できる見込みだ。また東芝は年度内にテレビ業務の人員を50%削減する計画も立てている。

だが東芝は、相次ぐテレビ業務の「ダイエット」は業務縮小ではないとしている。東芝関連部門の責任者は、世界では液晶テレビの販売台数が減少しており、東芝は市場の変化に合わせて、映像関連業務を調整しただけで、業務を縮小したわけではないと強調する。

だが市場の変化は欧州や米国で起きているだけではなく、東芝のテレビはお膝元の日本でも売り上げが停滞気味だ。

▽製造業から集団退去

実際、海外のテレビ工場を閉鎖するのは東芝だけではない。薄利の時代に突入したテレビ業務は、日系企業にとって大きな赤字が出る分野になっており、長らく赤字に苦しむ日本の消費電子製品大手が海外のテレビ工場を閉鎖したり手放したりする動きは、今や珍しいことではなくなった。

ソニーは2009年にメキシコで、10年にスロバキアで、それぞれテレビ工場を台湾地区の鴻海科技集団に売却した。同じく台湾の仁宝電脳も09年、シャープの台湾での製造代行(OEM)企業となった。今年4月には、シャープが海外のすべてのテレビ工場(4カ所)の売却を検討していることが伝えられ、これには南京の工場が含まれる。10月31日にはパナソニックの取締役会がプラズマテレビ市場からの撤退を宣言し、これに先だって操業を停止していた上海市のプラズマテレビ組み立て工場は、昨年11月の時点ですでに操業を停止して清算を終えるとともに、関連資産を山東省にある液晶テレビ工場に移した。

だがこのような動きをみせる日本の消費電子大手たちが、テレビ市場からの完全撤退を考えているわけではないことは明らかだ。各社が撤退しようとしているのは、テレビの製造業だ。今年に入ってから、世界のテレビ市場における日本ブランドのシェアは低下を続けているが、それでもまだ相当なシェアをもっている。

日本の総務省が今年10月23日に発表した国際競争力調査の報告によると、日系液晶テレビの世界シェアは25.3%、日系プラズマテレビは23.2%だという。

こうした情況の下で、日本の消費電子大手のほとんどがOEMを選択してテレビ業務の資産の軽量化をはかろうとしている。中国の情報・通信コンサルティング会社の易観国際の卓賽君(ジュオ・サイジュン)上級アナリストによると、資産を軽量化して運営を進めれば、物流コストと生産コストを引き下げ、出費を減らし、テレビ業務の負担を軽減することができる。海外工場を閉鎖してOEMを活用する資産軽量化を踏まえた運営は、世界でのテレビ販売台数が減少し、再び赤字に陥った日系企業にとって、赤字業務を切り捨てるのとは本質的に異なる選択だという。

▽日系企業はどこへ行く?

かつてテレビ業務を市場進出の手がかりと考えていた日系家電メーカーは、今では市場における「家電企業」という位置づけを振り払うのに必死だ。業務の多元化が、日系「家電」大手の一般的な選択となっている。

東芝関連部門の責任者は、「東芝は単なる家電企業ではない。中国ではインフラ、電子部品、デジタル、家電の4業務を柱としている。世界の業務における家電の割合は10%前後だ」と話す。

東芝の12年度財務報告をみると、営業総収入は5兆8003億円で、家電による収入は5915億円と1割程度に過ぎない。

東芝は大連工場を閉鎖すると同時に、米国のソリッドステートドライブ(SSD)メーカーのOCZテクノロジー・グループを3500万ドル(約36億円)で買収することを明らかにした。福建省福州市馬尾区で1億8000万元(約31億円)を投じて建設する中国の照明生産本部は、現在工事が進行中で、来年に生産をスタートする見込みだ。また大連工場の建物と用地は、医療機器や工業用電気機械製品などの生産拠点への転用を検討しているという。

消費電子分野の業務を堅持してきたソニーも、かねてより産業チェーンの川上・川下へ業務を拡張している。たとえばコンテンツ制作に進出するなどし、モバイル・映像・ゲームが三大電子コア業務となっている。また13年度半期報告をみると、スマートフォン(多機能携帯電話)がソニーの売上高の伸びにとって重要な要素だ。

シャープが発表した13-15年の中期経営計画「再生と成長に向けて」によると、健康ケア・医療、ロボティクス、スマートホーム/モビリティ(含車載)オフィス、食/水/空気の安心安全、教育が確定された新事業領域となっている。

前出の卓氏は、「日本企業が不必要な生産コストを切り捨てるのはよいことだ。これにより資源を優勢な分野に集中させることができる」と話す。

テレビは薄利の時代に入った。日系企業の資産軽量化を踏まえた運営という戦略はますます徹底されている。中国のテレビ大手は今、海外での工場開設に忙しいが、いつかは今日の日本のような日々を迎えるのだろうか。(提供/人民網日本語版・翻訳/ KS・編集/武藤)

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