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<コラム>爆走するバイトダンス、設立8年で6万人に急成長、アリババ、テンセントに挑戦状たたきつける?

配信日時:2020年5月3日(日) 10時40分
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バイトダンスとは、ニュースサイト・今日頭条と、ショートビデオアプリ・抖音(海外名TikTok)の運営会社である。しかし最近は、それだけではとても語り尽くせない、複合企業となった。写真は抖音。
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バイトダンス(字節跳動)とは、ニュースサイト・今日頭条と、短視頻(ショートビデオ)アプリ・抖音(海外名TikTok)の運営会社である。しかし最近は、それだけではとても語り尽くせない、複合企業となった。かつてのBAT(バイドゥ、アリババ、テンセント)のように、ネット界の話題の中心へ浮上している。その理由は何か、未来はどう展開するのか、考察してみたい。

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■創業者・張一鳴

バイトダンスは2012年3月、北京で設立。たった8年後の現在、企業価値は750~1000億ドルと見積もられ、ユニコーン企業ランキング2位(1位はアント・フィナンシャル)。2019年の売上は1400億元(2兆1300億円)、従業員は150の国と地域に6万人を数える。そしてTikTokはダウンロード数で世界一を争っている。この驚異的成長に、世間の関心が集中するのは当然だろう。まず創業者から見て行こう。

創業者・張一鳴は1983年、福建省生まれ、まだ37歳の若さである。市の科学委員会に勤めていた父親と看護師の母は、家庭でいつも技術や発明の話をしていたという。やがて父親は公務員を辞し、広東省・東莞で電子産品工場を立ち上げる。友人から技術と特許を得て、かなりの利益を上げた。張一鳴は、裕福な生活を送り、進路の選択も自由だった。

2005年南開大学(天津)ソフトウェア工程専攻を卒業、すぐに、酷訊網(旅行)九九房網(不動産)等、オンライン企業の創業に関わった。酷訊では技術委員会主席、九九房ではCEOまで務めた。根っからのベンチャー企業家だ。

張一鳴の本質は、技術宅男(技術オタク)であり、いつか唯一無二の技術をものにしたい、と考えていた。最初の創業で企業の管理手法を学び、満を持してバイトダンスを創業した。

貧しい家庭から、徒手空拳でのし上がってきた第一世代の創業者ではない。恵まれた家庭で伸び伸び育った、いかにも新世代の事業家である。

■2017年にスパート

2012年8月、ニュースアプリ「今日頭条」1.0をリリースした。2014年には、“新鋭科技領袖賞”“最具影響力アプリ賞”“技術革新企業家”“創新成長企業”などを受賞、わずか2年でニュースメディアとして地位を確立する。

2016年9月、10億元を投資、今日頭条へ短視頻の添付機能を付加した。後に短視頻プラットフォーム「火山小視頻」へ発展する。翌2017年は大きな転機となった。

2月、米国のショートビデオ「Flipagram」を買収。

8月、「抖音」リリース。

10月、Musicai.lyを10億ドルで買収。「抖音」への統合に向かう。

もともと、リップシンク(口パク)の15秒動画の投稿シェアサービスを開発したのは、Musical.lyだった。本家のノウハウと世界のユーザーを、丸ごと獲得したのである。

2018年1月、米国BuzzFeedと提携。2月、画像加工のfaceuを買収。飛躍の準備は整った。

■2019年は売上3倍に

実際にバイトダンスの売上(推定)は、飛躍に次ぐ飛躍を遂げている。

2016年-60億元、2017年-150億元、2018年-500億元、2019年-1400億元、と見られ、3年で23倍になった。広告収入だけで1500億元という説もある。この説でも、2019年は前年の3倍と推定している。とにかく今、これほどゾーンに入っている企業は他にない。

さらなる拡大に向けて、新たな手を次々に打っている。2019年末以降のトピックだけでも下記の豊富さだ。

・消費者金融アプリ「満分」をスタート。

・「字節遊戯」の商標登録申請。ゲーム業界へ本格進出。

・オンラインオフィスツール「飛書(海外名Lark)」無料開放。

・独自検索エンジン「頭条捜索」スタート。

・幼児向け英会話教育アプリ「瓜瓜龍英語」スタート。

・家庭用ロボット研究開発の「雲鯨智能」を100%子会社化。

・抖音、ビデオ通話機能強化、SNS化へ。

・創業者・張一鳴、中国地区CEOを辞し、世界統括CEOに就任。

・ライブ配信通販、羅永浩(有名な教育家、企業家)を起用、1日で1.1億元を売り上げる。

■まとめ

短視頻、ゲーム、SNSでテンセント、ライブ配信通販でアリババ、検索エンジンでバイドゥと、バイトダンスはBATに正面からケンカを売っている。現在のスーパーアプリ、WeChatとAlipayを超えるアプリを創造したいのだろう。

一方日本には、ここ20年で興隆したBATのようなIT巨頭もなければ、それに挑むバイトダンスのような元気者も存在しない。バイタリティーではとても中国企業に勝てそうもない。メンタリティーでも危ない。ベンチャー企業の育成こそ、日本経済の最重要課題である。

■筆者プロフィール:高野悠介
1956年生まれ、早稲田大学教育学部卒。ユニー株(現パンパシフィック)青島事務所長、上海事務所長を歴任、中国貿易の経験は四半世紀以上。現在は中国人妻と愛知県駐在。最先端のOMO、共同購入、ライブEコマースなど、中国最新のB2Cビジネスと中国人家族について、ディ-プな情報を提供。

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