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米国で原油先物取引価格がマイナス価格に落ち込み、多くの人がまた1つ歴史的場面を目撃することになった。写真はニューヨーク。
米国で原油先物取引価格がマイナス価格に落ち込み、多くの人がまた1つ歴史的場面を目撃することになった。ある日目覚めると、米ニューヨーク商業取引所(NYMEX)では米国産WTI原油の5月物の先物価格が過去最低を更新しただけでなく、マイナス圏に陥っていた。この状況で一番損をするのは誰か。この状況はこれから長く続くのか。中国市場にも波及するか。新華網の知識交流プラットフォーム「思客」が伝えた。
■一番損をするのは誰?
一番損をするのは石油精製工場ではない。石油精製工場が原油を購入する価格はかなり前の先物取引で決まっているからだ。
大手石油企業が損失を被ることは確実で、米株式市場ではシェブロンとエクソンモービルの株価がそれぞれ4%以上下落した。エネルギー関連銘柄全体で3%下落し、S&P500種指数を引き下げた。
原油価格が暴落する中で、大企業が直面する危機はすでに資金繰りに苦しんでいる中小石油企業の危機とは比べものにならない。もしも中小企業が相次いで倒産に追い込まれるとすれば、市場でエネルギー産業がドミノのように倒れていく様子を目にすることになるだろう。
■この状況はこれから長く続くのか?
原油先物は5月物がマイナスになったが、6月はどうなるだろうか。
6月の見通しについて、市場には悲観的な見方が広がる。バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチの論評では、「米国の原油価格がバランスを取り戻すのになお数週間かかるとみられる。需要が回復しなければ、6月物の価格もマイナスに落ち込む可能性がある」という。
現在、欧米の多くの国で新型コロナウイルスによる肺炎が拡大し続けていることから、国際市場では原油ニーズがさらに低下する見込みだ。試算では、感染拡大にともない、需要の低下幅は最大で1日あたり3500万バレルに達し、主要産油国の石油企業の生産には打撃が続くことになるという。ブルームバーグが紹介したアナリストの話では、「投資家は大量の原油ストックを短期間で解決するのは難しいと懸念する。こうして市場では原油が投げ売りされる。すべての人が原油を売り飛ばそうとするが、買い手が見つからない状態だ」という。
しかし別のアナリストは、「先物取引にはあらかじめ決まった清算日がある。感染症の影響で原油先物の期近5月物はニーズがなく、原油を売る側はお金を払ってでも過剰在庫を引き取ってもらいたい状況だ。だが4月21日以降、期近6月物の価格は1バレル20ドル台まで回復するとみられ、今後数カ月で今ある原油ストックがすべて引き取られれば、長期的にみて原油価格は正常な水準に戻るだろう」との見方を示す。
■中国市場にも波及するか?
国泰君安証券の王笑(ワン・シャオ)原油先物研究ディレクターは、「海外市場での原油価格暴落が短期的に上海市場の原油価格に与える影響は限定的であり、上海国際エネルギー取引センターにWTIのような投げ売り現象はみられない。しかし注意しなくてはならないのは、上海市場では原油やその他のエネルギー・化学工業銘柄にも同じようなストックがふくらむリスクがあるということだ。このリスクが顕在化するリスクが高まっている」と述べた。
東海先物取引研究所のエネルギー・化学工業分野の李婉瑩(リー・ワンイン)シニアアナリストは、「原油先物のマイナス価格からわかるのは、現在の石油市場が疲弊しているという基本的側面であり、国内市場のエネルギー・化学工業銘柄が下落する可能性がある。最近の上海市場の原油先物は倉庫費用が調整され、海上輸送費用も低下し、国内市場と海外市場の価格の開きがさらに縮まる見込みだ。ここ数カ月は取引の下ぶれ圧力が増大し、取引の時期による価格差が広がるとみられる。投資家は『底値で買おう』と安易に思わず、ポジションを合理的にコントロールすることだ。今後は各国の操業再開状況と感染状況の推移に重点的に関心を払うべきだ」と述べた。(提供/人民網日本語版・編集/KS)
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