新型コロナの影響下、様々な手法で生き残り図る飲食業界―中国

人民網日本語版    2020年4月23日(木) 9時0分

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新型コロナの影響から、飲食業界は大打撃を受けたものの、逆境に屈することなく、必死にオンラインのルートを開拓する店もあれば、Tik Tokを活用したり、弁当を販売したりする高級飲食店もある。写真は武漢。

新型コロナウイルス感染状況の影響から、飲食業界は大打撃を受けたものの、逆境に屈することなく、必死にオンラインのルートを開拓する飲食店もあれば、なりふり構わず、ショート動画共有アプリ「抖音(Tik Tok)」を活用したり、弁当を販売したりする高級飲食店もある。また、オンラインで地元の特産品を販売したり、コミュニティECを採用したりして、積極的に新たな成長ポイントを探すチェーン店もある。中国青年報が伝えた。

■高級志向のレストランが抖音を活用し、弁当販売も

羲和国際餐飲集団の常聖彬(チャン・ションビン)副総裁は、Tik Tokに「二姐夫」というアカウントネームで登場。「二姐夫は、学識があり、古風な感じ。普通の人より料理が上手だし、プロのコックより親しみやすい」と評価する声もある。同集団の張鈞(ジャン・ジュン)董事長は、「新型コロナウイルス感染拡大防止対策実施期間中、Tik Tokで活動を展開することで、会社の存在感を示した。それに伴った販売で、経営問題を根本的に解決することはできないが、それでも会社をアピールすることができてとてもよかったと思う」とした。

同集団は、中国全土に37店舗を展開し、従業員は2000人以上に達している。傘下のレストラン・羲和雅苑もアイデアを駆使し、春節(旧正月、今年は1月25日)が明けて以来ずっとデリバリープラットフォーム・美団と提携してデリバリーサービスを行っている。デリバリーでは、同レストランの北京ダックが大人気となっている。現在、北京のレストランは、店内での食事を一部再開しているものの、厳格な感染防止対策が依然として実施されているため、売上高は通常の30%にまで落ち込んでいる。北京以外の地域のレストランの売上高は40-50%にまで回復しており、60%まで回復した店舗もあるという。張董事長は、「これまで羲和雅苑は高級志向で、弁当を販売することはなかった。でも、今は店舗周辺の会社と提携してオーダーメイドの弁当販売を行っている。価格は25元、35元、48元の3種類。1カ月間の出勤日数22日間の弁当は毎日異なったメニューを提供している。今は腰を低くし、オープンな思考で展開していくしかない。まずは生き残ることが先決だ」と話す。

3店舗を展開し、25年の歴史を誇る北京小王府餐飲管理有限公司も同じようにこれまではオフィスビルのホワイトカラーや外国人を主な客としていたものの、「新型コロナウイルス感染拡大防止対策実施期間中、デリバリー用のセットを研究開発した」とし、王勇(ワン・ヨン)董事長によると、「すでに一部の常連客が注文してくれている」という。

■オンラインで地元の特産品販売強化、コミュニティECへ参入

北京のあるIT企業に勤めている朱珠さんは最近、微信(WeChat)のミニプログラム「●鼻尖(●は舌へんに忝)」が販売している雲南省の烏骨鶏にはまっている。「●鼻尖」は、飲食チェーン企業の雲海肴が商品販売のために設置しているミニプログラムだ。同社の趙[日含](ジャオ・ハン)董事長は、「当社は雲南省の食品サプライチェーンをよく把握しており、新型コロナウイルス感染拡大防止対策実施期間中は、主にオンラインで商品を販売している。また、美団などのプラットフォームを活用しており、オンライン販売業務チェーンを速やかに整備したいと思っている」と説明する。

趙董事長によると、さらに、雲海肴は業務構造を調整し、コミュニティECにも参入。店舗を中心に半径3キロを範囲とするコミュニティサービスステーションを立ち上げ、自社のサプライチェーン、物流を利用して、範囲内の団地の住民が原材料や半加工済み商品を購入できるようサポートし、コミュニティ共同購入、商品の配達などのサービスを提供している。現在、同社は中国全土にコミュニティサービスステーションを約100カ所設置している。

「以前は、資源の90%を新店オープンに投じていた。しかし、新型コロナウイルス感染拡大防止対策が実施されるようになり、調整を加えた。うちの会社は微商(微信を利用して販売や宣伝する電子商取引とそれを行う中小零細企業)になったとよく冗談交じりに言っているほど。しかし、このモデル転換は絶対に必要で、現在、オンライン販売業務により実際に売上高が増えた」という。

■「春の到来」を待つ飲食企業

「今は経営者の忍耐力が本当に試されている」と話す喫茶店「零距離咖啡庁」の創始者・侯鵬(ホウ・ポン)氏は、「喫茶店は主に店内の雰囲気を楽しみに来てもらうビジネス。客が店に来ることなく、デリバリーだけでは、運営を下支えすることはできない。そのため、当社は一切デリバリーしないことにした」と話す。3店舗を展開する「零距離咖啡庁」は、中心となる管理者が約20人いる。では、店の営業ができない喫茶店はどのように生き残りを図っているのだろう?侯氏は冗談交じりに自らを、「いくらたたかれても死なないゴキブリ」と称し、「私は同時に広告会社・陽光麦田文化伝媒有限公司の総経理でもある。新型コロナウイルス感染拡大防止対策が実施されている期間中、喫茶店のスタッフはその会社で働き、ビジネスの開拓をしてもらっている。巣穴を3つも持つずるがしこいウサギのように、1本の足がだめでも、もう1本の足で支えることができる」と語った。

■飲食企業はどうすればこの「冬」を越せる?

良いニュースが全くないわけではない。北京市商務局は最近、「新型コロナウイルス感染拡大防止対策実施期間中、本市の大型商業施設に奨励金を支給することに関する通知」を発表。補助金の代わりに奨励金を支給し、対策実施期間中も営業を続け、施設内の各店舗の家賃を減額・免除している大型商業施設を支援する。奨励金支給の基準について、通知は、建築面積10万平方メートル以上の大型商業施設を対象に、50万元(約750万円)まで支給するとしている。美団は3月に、「提携する事業者への代金返還計画」を始動し、中国全土の飲食業界の優良事業者に、3-5%以上の割合でデリバリー代金が直接事業者の美団口座に振り込まれ、その資金をオンラインマーケティングやPRに使うことできる。

北京の観光客向けのショッピングエリアである秀水街は、2月から3カ月連続で、商業ビル内の零細・小企業500社の家賃を減額している。それには、6階と1階の飲食企業14社も含まれている。北京秀水街の張永平(ジャン・ヨンピン)董事長は、「家賃減額の目的は、それら中小零細企業が、新型コロナウイルス感染拡大が収束した後、良い商品を仕入れる資金を残しておくことができるようして、川上のメーカーの生産回復加速を推進するため」と説明する。(提供/人民網日本語版・編集/KN)

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