日本企業の凋落、インド企業の台頭、そして国産企業の胎動=バングラデシュ二輪車市場

Record China    2013年11月30日(土) 8時46分

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2013年9月、バングラデシュ2輪市場に大きなニュースが舞い込んだ。2輪大手スズキがバングラデシュの現地会社と提携を発表したのである。(文:田中秀喜)

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2013年9月、バングラデシュ2輪市場に大きなニュースが舞い込んだ。2輪大手スズキがバングラデシュの現地会社と提携を発表したのである。ローカルパートナー、Rancon Motor BikesLtd.はスズキより部品供給を受け、完成車をバングラデシュで製造、販売することになった。初年度の販売計画は2万台。これにより、昨年進出したホンダ、ヤマハに続き、スズキもバングラデシュ市場に参加したことになる。(文:田中秀喜)

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バングラデシュのバイク市場は昨年度実績で年間20万台以上販売された。数年前まで10万台前半だった事から、急速に販売台数がのびてきていることがわかる。人口1億4000万、一人当たりGDP700ドル程度、年成長率7%あるバングラデシュはこれから大きなバイク市場になることが見込まれている。今後数年で100万台売れるとの声も聞こえているのだ。

バングラデシュのバイク業界をリードするのは隣国インド系ブランド、Bajaj。現地製造販売会社はUttraMotorsLimited。Bajajは昨年度9万5000台販売し、業界シェア48%と群を抜いている。以下、2位Hero-Honda16%、3位TVS10%とインド系のブランドが優位となっている。

▼日本勢凋落の原因

一方の日本勢だが、かつて、バングラデシュ人がバイクのことを指してホンダとよんでいたのも今は昔。シェアを落としてきている。ホンダ、ヤマハとも初年度のバングラデシュ現地生産実績は月産1000台程度。ホンダは現地合弁会社と工場を新設し、数年後には年間7万台規模まで生産を伸ばしたいとしているし、ヤマハの現地パートナー会社も5万台規模をターゲットにしている。

日本勢不利の理由は需要とのミスマッチにある。バングラデシュでは150ccクラス以上のバイク製造が認められていない。また、もっともよく売れるバイクは100cc前後で価格10万タカ(12万円)前後である。一方、日本勢は100cc前後のラインナップが手薄で125cc、150ccが多く、価格は20万タカ(24万円)ぐらいになってしまう。バングラデシュの平均月収は1万タカ程度なので、100ccのバイクでも1年分の年収をつぎ込んで買う計算。これが150ccクラスになると普通の人にはちょっと手が出ない価格帯だ。

また、バングラデシュで売れているバイクはいわゆるオートバイ型がほとんどで、日本勢が東南アジアで得意としていた小型モデルのスクーター型バイクは近年たまに見かけるようになってきた程度でしかない。

▼国産ブランドの胎動

バングラデシュのオリジナル国産ブランドを目指しているのがWALTON、RANNERの2社。WALTONは7%シェア、RANNERも徐々に販売台数を伸ばしてきている。どちらも現在は中国系のモデルを輸入して自社ブランドとして販売しているが、将来的には独自モデル立ち上げを目指している。

バイク市場が成熟化する中、政府は国産製造業の推進を狙っている。現在はバイクの部品のほとんどを輸入、国内の工場で組み立てのみ行って完成車とする場合でも特に大きな関税をかけていない。しかし近い将来、一定以上の比率で国産部品の使用をしなければ、高関税を課すとバイク業界に通達している。

通達の具体的内容は以下のとおり。バングラデシュ国内での付加価値を30%以上付けること、国産部品使用の割合を10%以上にすること。この2つの条件を満たした場合、国産製造業者として認め、輸入部品の関税率を12%とする。条件を満たさない場合、関税率は132%にまで上昇することになる。なお、この国産製造業者として認定される条件は年々厳しくなっていくであろうことが予想される。

▼熟練工が育たない…バングラデシュ製造業のネック

関税を下げるためにはバングラデシュ国内での部品製造を進めなければならないが、さまざまな技術的課題がたちはだかる。プラスチック、バッテリー、タイヤ製造などの分野では有力企業が育ちつつある一方で、特にエンジンの主要部品の製造に必要な鋳造、メッキを始めとする金属加工業のレベルは極めて低い。

背景にあるのは人材育成能力の問題だ。発達した産業分野では高度な設備を導入すれば非熟練労働者でもそれなりの製品の生産が可能になることが多い。だが鋳造やメッキなどの産業には熟練工が不可欠だ。この国では労働者の離職率が高く流動性が高いため、企業がじっくり労働者を教育する機運が低い。技術学校のようなところがあるにはあるが、理論ばかり教えて実践を教えない。そのため熟練工が育ちにくい状況にある。

とはいえ、バングラデシュのバイク製造の内国産化は待ったなし、だ。ホンダなどの日系企業はもちろんのこと、多くのバイク製造業者は技術力を持った企業との提携を模索している。日本の機械部品製造のスペシャリストの進出が期待されているのだ。バングラデシュにおいては縫製産業の隆盛から始まった産業の萌芽。この芽が機械製造などにも展開していくのか注目している。

◆執筆者プロフィール:田中秀喜

1975年生まれ。メーカー勤務、青年海外協力隊、JICA専門家を経てバングラデシュでコンサル業を起業。チャイナプラスワンとして注目されながら情報の少なさから敬遠されがちなバングラデシュの情報源となるべく奮闘中。

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