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<コラム>中国でライブEコマースの勢い止まらず、ついに不動産もオンライン購入の時代へ突入?

配信日時:2020年4月13日(月) 9時40分
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中国ネット界では、猛烈な勢いで文字から映像への移行が進んでいる。あらゆるアプリの直播電商(ライブEコマース)化が進み、ついに不動産業界にまでに波及してきた。

中国ネット界では、猛烈な勢いで文字から映像への移行が進んでいる。あらゆるアプリの直播電商(ライブEコマース)化が進み、ついに不動産業界にまでに波及してきた。この2カ月、さまざまなライブ放送が行われている。新型肺炎防疫体制期間だけの一過性で終わるのか、それとも新たな販売手法として定着するのか。検討してみよう。

■価格崩壊への瀬戸際

中国の実態は不動産本位制である。地方政府は、土地を提供して不動産業者に開発させ、彼らが高値販売したところで、がっぽり税金を徴収する。不動産業界の主力プレイヤーの1人というより、司令塔に等しい。一般市民も不動産好きで、価格動向には極めて敏感だ。1平米当たり単価は、会食の場では、定番の話題である。ここ数年価格は高止まりし、国内外からバブル崩壊の危機を指摘されていた。そのため、高値警戒のため導入した購入制限を緩める地方が続出し始めていた。地方政府にとって、不動産価格の維持は、最大の政治課題である。

しかしそこへ、新型肺炎という予想外の事態に見舞われる。直近で全国100都市の平均価格はまだ0.2%しか下落していない。しかし1~2月の販売面積と売上高は、それぞれ前年比39.9%、35.9%落ちている。3月の中古市場は、北京、上海、深圳、広州の一線級都市のすべてで下落した。中でも上海は前月比5.85%と大きく下げた。暴落への瀬戸際にいるのかもしれない。そして3月には値引き販売が常態となった。

■2019年は不動産業界オンライン通販元年

不動産業界は、ネット通販にも注力し始めていた。2019年の双11(11月11日独身の日セール)において、不動産大手「恒大」は、「蘇寧集団」のネット通販に旗艦店を出店した。そして11月1日から、動画で物件を紹介しつつ毎日100戸、最終日の11月11日には111戸、合計1111戸を特価販売した。最高値引き額は100万元(1550万円)を超えたという。蘇寧のオフライン店「蘇寧易購門店」「蘇寧小店」も販促の一翼を担った。その結果この1111戸は“秒殺”で完売した。

またネット通販首位のアリババは、1万戸、2位京東は、200の不動産業者から6000戸を、通販サイトに“特価房”としてアップロードした。

さらに「蛋穀公寓」「房多多」等有力なオンライン不動産企業の上場も相次いだ。こうしたことからネットメディアは、2019年をオンライン不動産“発火の年”と位置付けた。

■2020年は不動産業界ライブ電商元年

さらに今年は、不動産の直播電商(ライブEコマース)元年となりそうだ。

某大手不動産企業は、ライブ放送のプラットフォームを持ち、本格的構成で放送している。「みなさん、こんにちは。私たちのプロジェクトマップをご紹介します。こちらの場所は〇×広場です。」MCの番組進行も板についてきた。同社は2月以降、20回のライブを行った。開発や仲介会社の担当者も、ライブの打ち合わせ急増によって、大変に忙しい。不動産仲介業者自身も、5000人を超える不動産コンサルタントが、ライブ放送を行っている。

すでに不動産販売トップ200社のうち、154社がオンラインマーケティングを開始し、トップ100社では90%がオンライン営業部を組織した。業界関係者によると、新型肺炎で、物件を実地に案内できないため、仕方なく始めたフォームだが、ライブの内容は目に見えて向上しているという。

■普及はこれから

某不動産企業の1月末のライブでは、7万2000人の視聴があった。ただしWeChatで反応を寄せたのは3人、2月初旬のライブでは、58726人中、反応はわずか2人であった。

アリババ「淘宝網」のライブ放送データは、すべての業種をカバーしている。しかし不動産業は普及率が低く、まだデータリストには載っていない。そして、不動産を扱う上での問題点を3つ挙げている。

1.大部分のライブは、権利書の存在をはっきり表示しない。これが不確定要素の最大のもの。

2.大部分のライブは、契約のキャンセル条項がない。頭金を払い込むと、キャンセルや返金が事実上できない。

3.部屋の紹介はすばらしくても、周辺環境や生活状況まで表現できていない。

■まとめ

さらに、直播で売れないものは何もないと豪語するトップ網紅(インフルエンサー、KOL)たちも不動産へ進出してきた。人気ナンバーワンの美人網紅・薇婭も乗り出している。

一方、不動産大手企業では裁員(人員カット)が伝えられている。中国ではスーツを着て、都市部を走り回っているのは、たいてい不動産業者だった。課題の解決次第になりそうだが、徐々に彼らの姿は減り、ライブ放送へシフトしていくのだろう。一過性で終わることはなさそうだ。

■筆者プロフィール:高野悠介
1956年生まれ、早稲田大学教育学部卒。ユニー株(現パンパシフィック)青島事務所長、上海事務所長を歴任、中国貿易の経験は四半世紀以上。現在は中国人妻と愛知県駐在。最先端のOMO、共同購入、ライブEコマースなど、中国最新のB2Cビジネスと中国人家族について、ディ-プな情報を提供。

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