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<コラム>地球文明の国になれるか日本 その1

配信日時:2020年4月5日(日) 13時40分
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中国から見ると、或いは世界から見ても、日本は「失われた10年」から「失われた20年」になり、いまや「失われた30年」になるらしい。写真は東京大学。

中国から見ると、或いは世界から見ても、日本は「失われた10年」から「失われた20年」になり、いまや「失われた30年」になるらしい。

バブル崩壊は1991年からで、確かにそうかも知れない。

「え?住んでいるマンションが5500万円?」

1980年代オワリには、兵庫県明石市にある私の購入したマンションは、70平方メートルほどで5000万円を超えた。駅前でもない。神戸の三ノ宮などに次いで乗降客の多いJR明石駅からバスで7分かかる。広くもない。購入した1980年には2200万円くらいである。35年のローンだ。当時は子育てで目一杯だった。(笑)

「売るか」と思った。ローンの残りを支払っても、手元に金がガバリと残る。が、売っても、住むところがない。しばらく賃貸に住んで、バブルが崩壊したら、残った金で…、というのは後の祭りの、いじましい話だ。

バブルはインフレでもある。といっても、総ての物価が上がり、後追いで給料が上がるわけではない。土地や建物だけがあがる不動産バブルである。いつ終わるかも知れない。急落するかも知れない。賭けは出来ない。余分な資産なら、売り払ってと言うのも手ではあるが、住んでいる自宅である。やはり普通の国民は、アタフタするだけだ。

職場や学校に近い場所は、同じようにバブルで急騰している。自宅を売って買い替えることは出来ない。思い切って、神戸市の北区辺りまで足を伸ばせば、住宅は高騰しているとは言え、オツリが出る。だが、通勤に片道2時間はかかる。

友人の家庭はこの時、父母も友人も身軽だったから、神戸の中心にあった戸建ての自宅を売り、西の垂水区の山上に移り、そして、更に神戸市北区の大邸宅(笑)と言うほどでもないが、広い庭付きの家に移っている。冬は霧が出て、冷え込むし、神戸市中心に出るには1時間半近くかかり不便だが、豪邸になった。もっとも30年後、北区は人口が減少して、地価は下がり、オールドタウン化しつつある。

なるほど、バブルは凄かった。

それ以前の高度成長は本質的に凄かった。日本の経済が右肩上がりに向上したのである。毎年給料のベースが、1割ほどもあがったように記憶している。現在も人手不足だが、当時は街中の商店という商店(ま、こう言う表現はチト過大だが、そう的外れでもない)に「求人広告」が出ていた。それが一段落して、最後の狂乱劇が、不動産のバブルであり、そしてその崩壊である。日本は低成長の軌道に乗った。「なるほど、日本は没落傾向か…」と私は思った。しかし、である。

一市民としての実感では、「この30年、そんなに不景気な時代ではなかったなあ」という気がしている。失業者があふれているわけでもないし、選り好みをしなければ仕事はある。中国や世界から「失われた20年」とか「30年」と言われても、どうもピンと来ない。

なるほど戦後から考えると、鉄鋼業も造船業も、白物家電も、その他の産業も、高度成長期の世界を征服するかのような勢いはない。だが、高張力綱とか、特殊な船舶-潜水艦、海洋地球研究船のみらい、ケーブル敷設船すばる、まるでエイのような形の3次元海底資源探査船、プレーステーションにニンテンドースイッチ、ダイキンのエアコン、温水洗浄便座、宇宙補給船コウノトリ、小惑星・彗星探査のはやぶさ、地球観測衛星に、ニュートリノ観測装置、重力波の観測、コンピュータ京、大型放射光施設SPring-8と、結構、世界に誇るようなモノ・研究施設も作り続けている。派手ではないし、生産性も伸びてはいないが、高付加価値の産業構造に転換している。こうみてくると、「結構、なんとなく頑張ってるな」と言う気がしないでもない。

失業率も低い-もっともサラリーマンの生産性が低いのは確かで、原因は、年功序列の賃金体系という話もある。これも、社会の安定とか、個人の幸せには深い相関があるので、別の面から観察すると、一概に否定されるべきことでもない。

これからの目玉のITにおいては、見るべきモノがない。コンピュータの心臓のCPUはインテルとかAMDだし、OSはマイクロソフト、そしてビジネス・個人用ソフトもエクセルにワード、アクセス、パワーポイントとアメリカに飲み込まれている。1980年代に我が世の春を謳歌したNECのCPU、V30などは影も形もない。

◆上は当時のパソコンで使っていた記録媒体。5インチフロッピーディスク。ハードディスクもUSBもSDもない。

コンピュータの遅れは、デジタル革命の世紀なので、少し心許ない。

教育は、子どもたちが教室・トイレを掃除したり、給食の配膳をしたり、自分達で登下校したりする。中国の大切にされすぎる「小皇帝」という立場とは異なる。幼児・児童などの教育は、他の国になどでも参考にされだしているからいいとしても、大学となると失礼だが「入るに難しく、入ったら勉強しない」仕組みで、世界から大きく遅れを取っている。

大学進学率が50パーセントを超えて久しいが、「ソ連、共産主義」も知らなければ、流行本の売りではないが、パーセントの理解も怪しいとなると「困る」。東大生の知識量は膨大で、TVでクイズ番組に見られるが、さて、戦前のように「哲学」といった人間的魅力を育てる知識・知恵となるとこれは疑問符がつくだろう。

以前述べたが、敗戦の日本の組織の中で、改革されなかったのが東大卒業生を中心とする「官僚制」である。そのエリートが、エリートらしからぬ思考や行動をする。現代学生の、その知識量と頭のよさには敬服するが、過去を学び未来を指向する、ある意味直接役立たない戦前のエリートが身につけた「教養」軽視のつけが回ってきているのかも知れない。

さて、タイトルが「地球文明の国になれるか日本」と大上段である。今回は、我が国の現状を述べてみた。次回は日本のその長い歴史から、遡って考えてみたい。

つづく

■筆者プロフィール:石川希理
1947年神戸市生まれ。団塊世代の高齢者。板宿小学校・飛松中学校・星陵高校・神戸学院大学・仏教大学卒。同窓生いるかな?小説・童話の創作と、仏教の勉強と瞑想を10年ほど。明石市と西脇市の文芸祭り選者。児童文学のアンソロジー単行本、小説の自家版文庫本など。

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