<コラム>やなかんじ

石川希理    2020年4月4日(土) 22時30分

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中国の簡体字は、普及があるレベルを超えると、文化創造の武器にはなりにくいのではないかと考えている。

中国の簡体字は、普及があるレベルを超えると、文化創造の武器にはなりにくいのではないかと考えている。

簡体字は中国の「文字改革」政策により作られたものである。元々の漢字を繁体字(はんたいじ)または正体字という。漢字は象形文字・表語文字で、形や意味を表すので、複雑な場合が多い。例えば、私など「髪」は「長ーい友だち」と覚えてきた。「長」に「ノノノ」で「長ーい」であり、下に友がつく。(笑)

この髪を「发」と書くのが簡体字である。難儀な話の「難」は「难」であり、「儀」は「仪」である。「难」は、漢字「難」の左にある「へん」だけが簡単になっている。また「漢」の簡体字は、「つくり」が簡単になり「汉」と言う風になる。

簡体字が制定された際、画数の多い字を簡略化するために画数の多い部首を「又」に置換した略字があったので、樹→树、歓→欢と言 った場合もある。

なるほど元々の漢字は難しいので、日本でも「大學」は「大学」と簡素化されてきた。人の苗字でも「中澤」は「中沢」と書いたり「高濱」を「高浜」と書いたりする。因みに「高」などと異体字も多い。「渡辺」「渡邉」「渡邊」とあって、つい「渡辺」と書いてしまうこともある。最近は、日常は簡単な方で許して下さる方も多い。

「漢字は複雑だなあ…。うん」

日本の場合、漢字は書き方だけでなく、音訓がある。呉音に漢音、唐音などとこの「音」もややこしい。そして表記は、かな・カナ、時にはアラビア数字にアルファベツトも加えるから、日本語は複雑どころでなく「怪奇」にもなっている。

さて、元に戻って、この日本の新しい字体と、中国の簡体字は違う。全然異なる場合もある。けれどまあ、なんとなく組み合わせたりすると意味が通じるから、観光でこられた方は助かるらしい。

無論、元々の形を残して使う場合もあるが、元々の繁体字との対比で簡体字と呼ぶ。昔の繁体字は台湾・香港・マカオで使用されている。日本の「旧字体」に近い。

言語というのは、文字というのは生き物で、ドンドン変化していく。日中で統一してという意見もあるそうだが、日本の文字が複雑怪奇になっているので、そう簡単ではなさそうである。

日本では、大戦後、「ローマ字を使おう」、 「エスペラントにしよう」という、現在から考えると、とんでもない提案もあった。でも、日本の固有の歴史・文化が、文字や言語にはこめられているので、この改革は長い時間の中で未来の人々にゆだねねばならないだろう。

ただ中国の簡体字は、文字・言語が思考の道具であるだけに、これからは工夫が必要だ。人々に教育を受けさせて、知的レベルを上げるために余りにも難しい漢字を改変しようとしたのだが、当初の目的は果たしつつある。日本にも新字体はあるが、本来の意味を失わぬ程度で改変は留まっている。それはかな・カナの併用があったからだ。中国の元来の意味が類推出来にくい簡体字を元に戻すのは容易ではない。どう工夫していくか、14億の人々、中華文明の腕の見せ所だろうか。

■筆者プロフィール:石川希理

1947年神戸市生まれ。団塊世代の高齢者。板宿小学校・飛松中学校・星陵高校・神戸学院大学・仏教大学卒です。同窓生いるかな?小説・童話の創作と、善く死ぬために仏教の勉強と瞑想を10年ほどしています。明石市と西脇市の文芸祭りの選者(それぞれ随筆と児童文学)をさせていただいています。孫の保育園への迎えは次世代への奉仕です。時折友人達などとお酒を飲むのが楽しみです。自宅ではほんの時折禁酒(笑)。中学教員から県や市の教育行政職、大学の準教授・非常勤講師などをしてきました。児童文学のアンソロジー単行本数冊。小説の自家版文庫本など。「童話絵本の読み方とか、子どもへの与え方」「自分史の書き方」「人権問題」「瞑想・仏教」などの講演会をしてきました。

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