感染症で転職が難しい年に、転職先を決めず退職した人はどうなっているか―中国

人民網日本語版    2020年3月23日(月) 8時30分

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中国国内で企業活動や生産活動が再開してから1カ月がたった。新型コロナウイルスによる肺炎の影響で、毎年「金の3月、銀の4月」などと言われる転職シーズンも今年はかなり厳しい状況だ。写真は上海虹橋国際空港。

インターネットで焦って仕事探しをしながら、実家にいてテレワークのふりをする。

中国国内で企業活動や生産活動が再開してから1カ月がたった。新型コロナウイルスによる肺炎の影響で、毎年「金の3月、銀の4月」などと言われる転職シーズンも今年はかなり厳しい状況だ。

転職を希望する人々を取材したところ、春節(旧正月、今年は1月25日)前に次の仕事を決めずに前の仕事をやめてしまった人は、「損失ははかりしれない」と嘆いていた。オンラインで新しい仕事を探すのは簡単ではないし、失業期間が無限に長引きそうだという。春節前に転職を考えていた若者の中には、春節後の雇用情勢の厳しさを見て、転職をとりあえずあきらめた人もいる。また、WEB面接などさまざまな方法で転職活動を続ける人もいる。

求職者は、「今年上半期の情勢は楽観できない。資格を取ったり、外国語の勉強をしたりして充電したい。下半期に雇用情勢が改善したらまたがんばって転職活動をしたい」と考える人が多い。

■感染症で変化した転職事情

感染症は大勢の人々の生活習慣を変えるとともに、大勢の人々の就職活動や転職活動における予想外の「ブラック・スワン」にもなった。北京の金融機関で働く米さん(仮名)は、春節前に外資系企業の年収が高い仕事に転職しようと決めていた。すると2月初旬、感染症の影響で、その外資系企業は中国エリアでの採用ルートを閉じてしまった。3月には海外で感染症が大流行し、米さんはルート再開を待って応募することをあきらめ、北京で改めて転職活動をすることにした。

最近の米さんはほぼ毎日ネットで履歴書を送り、採用情報をチェックしている。「採用情報を出す金融企業が減っているし、中には応募者の学歴やキャリアに対する要求をますます吊り上げているところもある」という。米さんは中国の普通の大学の出身で、オーストラリアの有名校で修士課程を修了している。しかし、「やっと連絡をくれた会社があったと思ったら、最終的に『条件が合わない』と言って断られた。今は多くの機関が応募条件を明確にしていて、大学は中国政府が重点的に建設を進めている「211プロジェクト」か「985プロジェクト」の指定校でなければだめで、海外に留学した人手も名門校の卒業生でなければ、面接にも進めない」という。

幸い、米さんは仕事を辞めていないので、今でも勤め先はある。春節前に次の仕事を決めずに以前の仕事をやめた人もいる。そのうちの1人の北京で働く湖北省出身で80後(1980年代生まれ)の夏さん(仮名)は、「もともと春節の後で北京に戻って転職活動をするつもりだった。春節前に湖北省に戻ったら隔離されるなんて思いもしなかった」と話した。

夏さんは、「一方でネットで仕事探しをしながら、一方では実家にいてテレワークのふりをしている」と自嘲気味に話したが、これは春節前に次の仕事を決めないで前の仕事をやめてしまった多くの若者の状況だ。彼らは実家にいて、親は子どもが無職でいることを知らない。

■充電して情勢回復を待つ

突発的な感染状況、長引く隔離期間が働く人々にこれからのことをじっくり考える時間をより多く与えている。

生活情報サービスの58同城が発表した雇用情勢報告書によると、感染症の流行中に出現した企業の業務再開の遅れや生産停止の現象により、感染症終息後に転職する道を選んだ労働者は賃金上昇に対する期待が高く、相当な収入を得てより安定した、より安全感のある生活を送りたいと望んでいる。

また同報告書は、感染終息後に仕事の状況を調整しようと考えていた労働者のうち、36.5%が「実家に帰って活躍する」ことを選び、主な理由として両親の世話を挙げた。労働者が感染終息後につきたいと思う仕事の上位3位は、販売、生産管理・研究開発、人事・総務・庶務で、転職を考える時に考慮する要因の上位3位は賃金水準、自分がキャリアアップできるかどうか、労働環境だった。また58.9%の人が「2020年の仕事で期待することは賃金上昇」と答えた。

春節後に転職に成功した北京市の弁護士の王さんに話を聞いた。王さんの大学の専攻は法学ではなく、卒業して就いたいくつかの仕事がいずれも法務関係だった。王さんは4年近くかけて、働きながら法学部の大学院生になり、司法試験にも合格した。春節前にトップクラスのインターネットプラットフォームの法務分野の求人に応募し、何回かの面接を経て、今年3月に転職に成功した。

大勢の転職に成功しなかった人々は、王さんのように次のステージを目指して勉強を続け、転職や人生設計の見直しに備えるという人が多い。米さんはCFA協会認定の証券アナリストになるための試験勉強を続けており、転職と賃金上昇を目指して力をつけようとしている。大学院に進むことを考える若者や公務員試験の準備をする若者もいる。最近、教育部の関係責任者は、「20年の修士課程の定員を増やし、昨年より18万9000人増やすことを検討中」と明かした。

現在の状況から考えて感染症の打撃は企業に一定の影響をもたらし、中小企業への影響はより大きくなる。さらに今年は大学卒業生が874万人と過去最多で、雇用市場に圧力を与えている。

米さんは、「今年上半期に転職するのは難しいかもしれない。下半期には雇用情勢が改善してほしい」と取材に答えた。(提供/人民網日本語版・編集/KS)

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