RCEP発足は「よくない知らせ」…ドイツで落胆とEUの問題指摘の声―独メディア

Record China    2020年11月19日(木) 9時0分

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日本や中国、ASEAN各国が参加する世界最大の自由貿易圏であるRCEPが成立したことで、ドイツではEUの現状に落胆し、問題を指摘する声が出ている。写真はドイツ・ベルリン市内の青空市場。

ドイツ国営放送のドイチェ・ベレは17日、日本や中国、ASEAN各国が署名して15日に成立した世界最大の自由貿易圏である東アジア地域包括的経済連携(RCEP)について、自国経済界から落胆の声が出ていると報じた。ドイツが加入する欧州連合(EU)の問題点も、改めて意識されるようになった。

ドイチェ・ベレによると、ドイツ卸売・貿易業連合会(BGE)のアントン・ベーナー会長は、RCEPの成立は、「ドイツにとって、よい知らせではない」と述べた。「中国がその他の14カ国と世界最大の自由貿易圏を形成したことで、中国企業にとっては今後、市場参入の利便性が向上することになる。同時に、ドイツ企業にとっては条件が相対的に低下することになる」ためという。

ベーナー会長は「中国はこの経済圏における貿易ルールについて、かなり大きな決定権を持つチャンスを得た」とも語った。

ベーナー会長はさらにEUの現状を批判。国際協力に重きを置かなくなり、各国が常に自国の自由貿易協定の交渉に力を入れているは、失敗だと主張した。

国際商業会議所(ICC)ドイツ分会のホルガ―・ビングマン分会長も、RCEPは経済規模からして、「数年後にはEUが持つ戦略意義をはるかに上回る」との見方を示した。ビングマン分会長はEUについて「将来のビジョンを自ら問い直し、歩みを速める必要がある」と主張し、カナダとの自由貿易協定は早急に成立させねばならないと論じた。また、ICCとしても、EUと南米5カ国が加盟している南米南部共同市場(メルコスール)との自由貿易協定の交渉が放置状態になっていることを批判しているという。

経済界と比較して、政界からの意見は比較的幅が広い。与党・キリスト教民主同盟からは、EUは自由貿易協定の交渉を急がないと、その他の国が関連事項の「標準」を決めることになるなどと、警戒する声が出た。

一方、ペーター・アルトマイヤー経済エネルギー相は、RCEPの成立について「自由とルールを土台とする世界の貿易に対しての、重要な貢献だ」などと、歓迎する意向を示した。ドイツではRCEPの成立を受け、米国にはバイデン新政権の誕生を機に、市場の開放とルールの樹立に基づいた貿易の状態に回帰してほしいと求める声も出ているという。(翻訳・編集/如月隼人

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