感染症でテレワークが盛んに、今後「出勤」は不要になる?―中国メディア

人民網日本語版    2020年3月11日(水) 7時10分

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新型コロナウイルスによる肺炎の影響で、テレワークの需要が短期間で爆発的に増加した。百度の注目度指数によると、2月のテレワークの検索指数は前年同期比で491%増加し、前月比で317%増加した。資料写真。

新型コロナウイルスによる肺炎の影響で、テレワークの需要が短期間で爆発的に増加した。百度の注目度指数によると、2月のテレワークの検索指数は前年同期比で491%増加し、前月比で317%増加した。「中国新聞週刊」が伝えた。

両刃の剣としてのテレワークだが、感染症が終息しても拡大を続けるだろうか。従来のオフラインでの勤務にある程度代わるものになるだろうか。

■「加速ボタン」を押したテレワーク

現在、テレワークの分野で釘釘がトップに立ち、企業微信(WeChat)がこれを猛追し、飛書は大きく出遅れている。

モバイルビッグデータサービスの極光がまとめたビッグデータでは、1月1日から2月21日までの間に、1日あたりアクティブユーザー数が釘釘は2610万人から1億5千万人に増え、企業微信は562万人が1374万人に、飛書は7万9500人が25万人に増えた。華為(ファーウェイ)が昨年末に打ち出したオフィスツール「WeLink」は7万6500人が18万3千人に増えた。3月2日にはアップルのアップストアで、釘釘がビジネスアプリケーションのダウンロードランキングで1位になった。

実際、データ通信量のボーナスが徐々に天井に近づくインターネットの今後にとって、テレワーク製品は大手各社が「To B」(対企業)マーケットに足を踏み入れるための重要な武器になった。

中国銀行証券研究院の銭勁宇アナリストは、「これからは企業の協同オフィスワークのクラウド環境をめぐる競争がますます激しくなり、市場の規模も成長を続けるとみられ、企業の協同オフィスワークは急速発展期に入ると期待される」と述べた。

コンサルティング機関のフロスト&サリバンは、2022年に中国のWEB会議市場の規模が445億7千万元(1元は約14.7円)に達すると予想する。データ分析機関の艾媒諮詢(iiMedia Research)によると、20年の春の業務再開機関に、中国の企業1800万社以上がオンラインのテレワークモデルを採用し、すでに3億人を超えるユーザーがテレワークのアプリを使用しているという。

天風証券の唐海清アナリストは、「今回の感染症の影響は短期的に特定分野の発展を促したというだけでなく、ユーザーが新たな習慣を育てる非常によいチャンスを迎えたというところにも出ており、市場は感染症が産業に与える長期的な影響を重視すべきだ。中国国内のSaaS(Software-as-a-Service、サービスとしてのソフトウェア)業界の企業はこれまでずっと、『お金を払いたくならない、米国のように成熟したビジネス環境が整っていない』と市場から厳しい声を受け、業界全体の発展ペースは相対的に鈍かった。しかし今では大手各社がこぞって無料体験を打ち出し、SaaS型ソフトウェアのダウンロード件数もユーザー登録数も急速に増加しており、今後は有料ユーザーに転換する人が増えて、産業の発展も加速される見込みだ」と述べた。

■普及には時間がかかる

艾媒諮詢の創業者で最高経営責任者(CEO)の張毅氏は、「目下、ますます厳しくなる競争環境に直面し、人件費は上昇を続け、効率向上とコスト低下を追求している企業にとって、テレワークは企業のニーズにある程度応えることができる。中国はテレワークの普及率が相対的に低いので、企業における連携の前にはなおブルーオーシャンが広がり、大きな発展のチャンスに直面している」と述べた。

張氏は続けて、「しかし今回のテレワークは偶然の産物であり、状況に迫られて拡大したのであり、多くの企業や社員にとっては感染症の影響の中でのやむを得ない選択であり、市場が進化した結果ではない。多くの業界がオンラインでコミュニケーションや連携をはかることが可能だが、数多くの契約や取り引きは最終的にやはりオフラインで実行するようになっている。これがテレワークのソフトウェアにはまだ変えることのできない現実だ」と述べた。

艾媒諮詢のまとめた調査データをみると、ユーザーの60%以上が「テレワークの優位性は勤務場所を柔軟に自由に選べるところ」との見方を示し、50%以上が「テレワークは通勤時間や関連の費用を節約した」とし、40%以上が「テレワークはソフト頼みで、ハード環境の影響を受けやすい」とし、40%近くが「テレワークはコミュニケーションや連携に影響を与える」と答えた。働く人々がこの春のテレワーク期間に使用するコミュニケーションツールのうち、上位3位には微信、電話、QQが並び、使用率は順に84.2%、46.3%、35.8%となっている。

上海交通大学中国発展研究院の陸銘執行院長は、「テレワークにはインタラクティブ性が低いとか、社交的交流の意義を失わせるといった欠点があり、予見可能な未来には、オフラインでのオフィスワークがテレワークに完全に取って代わられることはない」との見方を示した。

平安証券の閻磊アナリストは、「テレワーク市場は短期間で火が付いたが、『オンライン生態系』を構築するにはまだしばらく時間がかかる。感染症が徐々に終息するにつれ、テレワークへの意欲は目に見えて低下すると予想され、テレワーク業界はどうやってユーザーを確保するかという問題を考えなければならなくなる。中でもデータのセキュリティ、ユーザーの習慣の維持などは重要なハードルであり、飛躍を遂げるには長期的な検証作業が必要だ」と述べた。(提供/人民網日本語版・編集/KS)

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