<コラム>新型肺炎後の中国、金融界のユニコーン4社に注目、デジタル人民元発行の環境整う?

高野悠介    2020年3月16日(月) 8時20分

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中国人は金融リテラシーが高い。足りなければ借り、余れば貸す。お金はダイナミックに動かすもので、日本人のように無利息の定期預金に塩漬け、などありえない。資料写真。

中国人は金融リテラシーが高い。足りなければ借り、余れば貸す。お金はダイナミックに動かすもので、日本人のように無利息の定期預金に塩漬け、などありえない。実業で成功して金融に乗り出す、というのは事業家の王道であり、中国人のよく使う言葉でいえば“昇級”である。金融商品に対する情報収集力には目をみはる。

■ユニコーン企業ランキング

近日、国内調査機関の艾媒咨詢は「2020中国独角獣(ユニコーン)榜単TOP100」を発表した。そのうちの10社が金融テック企業というのは、いかにも中国らしい。ユニコーン企業とは、企業価値10億ドル以上、未上場、設立10年以内のテック企業を指す。各業界のイノベーターとして、元気いっぱいの企業ばかりだ。金融はトップ10に、3社プラス1社(仮想通貨)送り込んでいる。全体順位、本社所在地、企業価値は次の通り。

1位 螞蟻金服(アント・フィナンシャル) 杭州 2000億ドル

4位 陸金所 上海 750億ドル

8位 微衆銀行(Webannk) 深セン 220億ドル

9位 比特大陸(Bitmain) 北京 140億ドル

この4社の最新トピックを分析することで、新型肺炎終息後の中国金融界を見通したい。

■螞蟻金服(アント・フィナンシャル)

アリババの金融子会社。ネット通販の資金プールから発展。スーパーアプリ「支付宝」を運営している。MMF「余額宝」、小口金融商品「花唄」「借唄」、信用スコア「芝麻信用」、ネットバンク「網商銀行」などの金融事業に幅広く関与、グループの投資戦略も担う。

3月上旬、螞蟻金服は2019年の中小企業顧客数1656万戸、前年比80%増、貸出残高1兆7000万元(25兆8000億円)前年比72%増だったと発表した。

また新型肺炎に伴い、中小企業に対し、支付宝と網商銀行は、それぞれ500億元、200億元の信用サポートを行う。2020年の中小、個人企業に対する貸出し目標は2兆元、金融だけでなく、彼らのデジタル化をサポートする。

■陸金所

中国平安系、国務院の承認を受けた、投資・資産管理プラットフォーム。2012年設立。中小企業や個人顧客向けに、投融資サービスを提供、資産価値の増加を目指す。インターネット技術を用いて、金融業のイノベーション、新規商品開発に努めてきた。登録ユーザー数は4421万人。理財(運用)商品の利率は2.4%から、12カ月以上7%とかなり高め。あらゆる金融資産と運用状況を考慮し、普通からダイヤモンドまで会員のクラス分けが決まる。「上海壹賬通」と並ぶ平安グループの“両雄”とされ、無数にある中国金融会社のトップに君臨。

■微衆銀行(We Bank)

中国初のネットバンク。2015年1月業務開始、テンセント系。主力商品「微粒貸」は、QQやWechatから簡単にアクセス、無担保、頭金なし、姓名と身分証ナンバーだけで500~20万元までの融資が可能。事実上アント・フィナンシャル「花唄」の対抗商品となっている。

物流の「汇通天下」、内装の「土巴兔」中古車販売の「優信二手車」等、新しいオンラインプラットフォームの開発にも携わるなど意欲的だ。

2018年決算で、ユーザー数1億超え、利益25億元を計上した。格式上場は目前という噂。新型肺炎の防疫に1000万元の寄付を行った。

■比特大陸(Bitmain)

中国人の仮想通貨への関心は高く、2017年9月、政府により実質禁止されるまで、富裕層の話題をさらっていた。中国政府のスタンスは、仮想通貨の取引はだめだが、ブロックチェーン技術の研究は大いに奨励、というものだ。そして近未来、デジタル人民元を発行し、仮想通貨の主導権を握りたい。

比特大陸は2013年の設立以来、こうした中国政府の思惑にとらわれず、成長を続けてきた。中国では、高速、低電力のICチップ設計開発会社とされている。しかしその主製品は、ビットコインのマイニング機械に使うASCIというICチップである。比特大陸は、ICチップ、マイニング機の製造販売と、自らマイニングも行い、そのいずれも世界一である。昨年9月に、最新のマイニング機を発売。そのうちの1つAntminner T17型は32万7000円(楽天)で買える。

■まとめ

これら紹介したユニコーン4社は、いずれも日本にはないタイプの会社ばかりだ。日本の金融界は、低金利に守られ、すっかりふやけてしまった。システム開発においても全く停滞している。中国の金融界は、猛烈にデジタル化を進め、新型肺炎によりさらに加速した。それは、デジタル人民元発行の準備が進んでいる、ということでもある。日本は、また置いてけぼりを食うのだろうか。

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