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<直言!日本と世界の未来>新型コロナ感染抑止は最優先課題=経済安定にも全力を―立石信雄オムロン元会長

配信日時:2020年3月8日(日) 7時0分
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新型コロナ感染抑止は最優先課題であり、経済の安定も重要である。官民を挙げた積極的な対応が求められる。写真は成田空港。

新型コロナウイルスの感染が拡大。国民の不安は高まるばかりで、経済への悪影響も計り知れない。トイレットペーパーが店頭からなくなるなど、デマに惑わされたり、飲食料品の買いだめなどが起きたりしているのも、国民の不安が反映されているためだろう。

新型コロナ感染抑止は最優先課題であり、経済の安定も重要である。官民を挙げた積極的な対応が求められる。主要7カ国(G7)の財務相・中央銀行総裁は3月初旬に緊急電話会議を開き、新型コロナウイルスの感染拡大による世界経済への影響に対し、財政措置を含め「全ての適切な政策手段を用いる」との共同声明を出した。続いて米連邦準備制度理事会(FRB)も臨時会合で、0.5%の利下げを決定した。

 

ところが各国の株式市場では下落基調が止まっていない。国内の消費関連指標も急落し、実体経済への影響も目立ってきた。経済協力開発機構(OECD)は2020年の世界の実質経済成長率(GDP)

見通しを2.4%とし、昨年11月時点より0.5%下げた。日本の見通しは0.2%に下方修正されており、感染がアジアや先進国全体で広がれば、世界の成長率がさらに押し下げられるという。日本はマイナス成長に陥る危機的状況である。

 

安倍晋三首相は首相官邸で開催した新型コロナウイルス対策本部会合で、感染拡大を防ぐ水際対策として、ウイルス感染が拡大する中国、韓国両国からの入国者を2週間の待機を要請すると表明した。中国と韓国にある日本大使館などで発行した査証(ビザ)の効力も停止し、中国と韓国からの事実上の「入国制限」措置に相当する。3月9日から31日まで実施する。

感染拡大を受けて、安倍首相は全国すべての小中高校などに、3月2日から春休みまでの臨時休校を要請すると表明した。学校では、閉じた空間に多人数が密集して長時間を過ごし、食事も共にする。リスクが高い環境であり、子ども経由でお年寄りを含む家族に感染が広がることを心配したという。

感染拡大を防ぐために、人やモノの移動や接触がある程度制約されるのは、やむをえないが、経済活動が急速に縮小すれば、経済弱者ほど生活が苦しくなりかねず、健康維持や感染抑制にも悪影響を及ぼすおそれがある。各国政府・中央銀行は状況を一段と注視し、対応に万全を期さねばならない。

日本では当面、対中輸出や外国人旅行客の消費、イベントや外出の減少などによって、需要の落ち込みが続くのは必至とみられる。直接打撃を受ける企業や働き手への資金繰り、雇用・所得の維持に加え、経済全体での需要不足への対応も考慮すべきである。景気は新型コロナの問題以前からマイナス成長に陥っており、対策が後手に回れば事態が悪循環に陥ってしまう。

 

一方で、感染拡大防止のために公共事業の工事が停止されていたり、市民の外出が抑制されたりといった状況下で、通常の財政出動は効果を上げにくい面もある。世界的な供給網の途絶で生産を縮小する企業も出始めた。

 

財政赤字やマイナス金利に見舞われている日本では財政・金融政策とも余力に乏しい面は否定できず、効果的に運用しなくてはならない。まずは、医療や感染予防対策関連の支出を十分に実行しつつ、ひとり親や非正規雇用世帯などの仕事や生活をサポートするような策を講じるべきだ。

今回の事態がいつまで続くか見通すことは難しいが、感染拡大にブレーキがかかれば、経済への悪影響も和らぐはずだ。民間企業も過度に悲観に陥ることなく、必要な設備や人材への投資を持続すべきである。

全国の学校が1カ月にわたり閉鎖されれば、家庭や社会に及ぶ影響は計り知れない。国民が納得・安心できる対策をすみやかに示す必要がある。

4月に予定していた中国の習近平国家主席の国賓としての来日延期も正式に発表された。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、準備を円滑に進められないと判断したというが、当然だろう。

政府は国民の不安が高まらないよう、不安があればその不安を少しでも鎮めるような対応を取ることが求められている。

<直言篇112>



■筆者プロフィール:立石信雄
1959年立石電機販売に入社。1965年立石電機(現オムロン株式会社)取締役。1995年代表取締役会長。2003年相談役。 日本経団連・国際労働委員長、海外事業活動関連協議会(CBCC)会長など歴任。SAM「The Taylor Key Award」受賞。同志社大名誉文化博士。中国・北京大、南開大、上海交通大、復旦大などの顧問教授や顧問を務めている。SAM(日本経営近代化協会)名誉会長。エッセイスト。

※掲載している内容はコラムニスト個人の見解であり、弊社の立場や意見を代表するものではありません。
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