世界が共有し参考にできる新型コロナ対策は?―中国メディア

人民網日本語版    2020年3月9日(月) 6時0分

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中国の新型コロナウイルス感染の予防・抑制措置は最近、その対策がかなり功を奏している一方で、韓国や日本、イタリア、イランなどでは、感染状況が深刻化している。写真は韓国。

中国の新型コロナウイルス感染の予防・抑制措置は最近、その対策がかなり功を奏している一方で、韓国や日本、イタリア、イランなどでは、感染状況が深刻化している。ウイルスとの闘いにおいて、国同士は経験や教訓を共有し合わなければならない。環球時報が報じた。(文・董向栄<中国社会科学院・アジア太平洋地域・世界戦略研究院研究員>)

まず、科学者やウイルスとの闘いの第一線に立つ医師らが得ている新型コロナウイルスに関する情報を可能なかぎり迅速に世界各国と共有する必要がある。今回のコロナウイルスは新型の未知のウイルスであるため、感染拡大を未然に防ぐことはできなかった。そして、大きな代償を払って、ウイルスに関する情報を得た。そのような情報であるからこそ、非常に価値があり、最大限活用しなければならない。

中国は直ちにウイルスのゲノムシーケンシングを解析し、ウイルスの感染力、潜伏期、重症化率などの特徴を研究、分析した。そして、得た関連情報をすぐさま世界保健機関(WHO)や他の国と共有し、他の国がその情報に基づいてウイルスとの闘いを展開できるようにした。呼吸器疾患の専門家・鍾南山(ジョン・ナンシャン)院士が筆頭となり、2月9日に、オープンソースのオンライン医学雑誌であるmedRxivに、論文「中国2019新型コロナウイルス感染症の臨床の特徴」(その後、医学雑誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」に正式に掲載)を掲載した。同論文には、中国全土30省・市の552病院の新型コロナウイルス感染者1099人の重症化率、潜伏期、発熱の症状などに関する非常に詳しい情報が記録されており、他の国が感染拡大防止対策を実施するうえで大いに参考にできる価値がある。

また、感染拡大状況を見ると、早期に警告を発令し、できるだけ早く対策を実施することが非常に重要であることは明白で、一部の国の系統的な対策は既に功を奏している。例えば、シンガポールの対策については、「仏系(仏のように物事に拘泥しない)」と評価する人もいるものの、実際には決してそうではなく、同国の衛生当局は早くも1月2日に全国の医療機関や医師に警告を発し、その後、雇用機関に対して、中国から来た従業員を強制的に休ませるよう求めるほか、水際対策を厳格化し、自宅隔離令などを出した。そのような早期に警報を発令し、できるだけ早く予防対策を実施したというのは、今のところまだ感染者が確認されていない国や感染拡大が深刻でない国が重視すべき経験だ。

また、他の国は中国が講じたいくつかの重要な措置を重視すべきだ。例えば、PCR検査能力を強化し、疫学に基づく濃厚接触者や感染の疑いがある人を調査し、できるだけ早く検査を実施しなければならない。これは、新型コロナウイルス感染拡大を防止・抑制するために重要な措置だといえる。

浙江省が感染防止対策を実施し始めた当初、中国工程院院士の李蘭娟(リー・ランジュエン)氏は、「感染者がたくさん発見されたことは恐ろしくない。むしろ発見漏れが出ることこそ恐れるべき」と指摘した。韓国は現在、感染拡大の山場を迎えており、政府は、疫学に基づいて濃厚接触者を追跡し、新興宗教団体「新天地イエス教会」の感染の疑いのある信者を対象に、大量のPCR検査を実施している。今月1日の時点で、PCR検査を受けた人の数は約10万人に達した。この検査をめぐる、韓国の決意と能力は高く評価すべきだ。短期間で感染の有無が判断できるPCR検査を実施できれば、それに伴い早期発見、早期隔離、早期治療を行うことができる。これは、ウイルスとの闘いに勝利するための基盤となる。

感染者が激増し、現地の医療資源がキャパシティーを超えてしまう国や地域は、湖北省武漢市に設置された方艙医院(臨時医療施設)を参考にすることができる。この施設建設は、武漢市で、感染者が激増し、病床不足が深刻化した時に発案された。感染症予防専門家・王辰(ワン・チェン)院士は、「方艙医院は、患者にとってノアの箱舟のようだ。その設備環境は、正規の病院ほどは整っていないものの、軽症の患者にとっては十分で、病状が悪化した場合にすぐに正規の病院に転院することもでき、秩序立てた治療を受けることができる。方艙医院は、必要最低限の社会資源を利用し、既存の場所に必要最低限の改造を施し、受け入れることのできる患者数を速やかに拡大することができる。最善策というわけではないが、山場となる時期に実行できる重要な措置だ。感染者が爆発的に増加している地域の場合、方艙医院を事前に建設しておくことが重要となるだろう」との見方を示す。

もちろん、国によって、国情が異なり、全ての国が中国の経験をそのまま適用できるわけではない。例えば、中国は全国をあたかも1局の碁の盤面のように1つの全体と見なして統一的に計画し相互に協力するトップレベルデザインを採用することができる。そのため、政府が指示を出すだけで、医療従事者数万人が湖北省へ赴き、緊急支援を展開することができる。また、中央政府の命令に基づき、各省・市がそれぞれ湖北省の指定の地域を支援した。一方、多くの国には地方の自治体があり、その指導者は現地の選挙で選ばれている。省や市が、地元の納税者の金銭や物品、人材を使って他の省や市を支援するというのは難しい。韓国で新型コロナウイルス感染状況が最も深刻な大邱(テグ)は、他の地域に支援を呼び掛けているものの、応じる地域はほとんどないというのが現状だ。

最後に、医療体制の脆弱な発展途上国は、他の国からの支援を切実に必要としている。WHOは1月30日に、「特に医療体制の脆弱な国や地域における感染予防対策などに対するサポートを強化しなければならない。対策を制定し、低所得、中所得の国が、効果がある可能性のあるワクチンや診断ツール、抗ウイルス薬、その他の治療手段を、速やかに開発、獲得できるようにサポートしなければならない」との声明を出した。 2月29日、中国の赤十字会ボランティア専門家団体は、検査キッドを携帯し、テヘランを訪問し、イランの新型コロナウイルス感染防止対策をバックアップしている。

つまり感染の蔓延を食い止めることが当面の急務であり、各国は、さまざまな意見やアドバイス、情報を共有し合いながら、自国の得意分野を生かし、状況に合わせた対策を講じて、ウイルスとの闘いを展開しなければならない。(提供/人民網日本語版・編集/KN)

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