海外の感染拡大は中国経済への「2回目の打撃」になるか?―中国メディア

人民網日本語版    2020年3月7日(土) 6時40分

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中国では新型肺炎への対策が成果を上げており、社会や生産は徐々に秩序を取り戻しているが、海外では感染が拡大を続けている。写真は万怡自転車有限公司の生産現場。日本から注文を受けた製品を組み立てている。

中国では新型コロナウイルスによる肺炎への対策が積極的な成果を上げており、社会や生産は徐々に秩序を取り戻しているが、海外では感染が拡大を続けている。再び立ち上がりつつある中国経済が「2回目の打撃」を受けるのではないかと懸念せざるを得ない状況だ。中国新聞社が伝えた。

北京時間の3月4日午前10時現在、中国以外の国で新型肺炎への感染が確認された人は累計1万2000人を超え、海外での患者数の増加ペースは何日も続けて中国のペースを上回った。

ウイルスがあちこちに広がり、経済への影響もじわじわと拡大する。中国人民大学重陽金融研究院の劉英(リウ・イン)研究員は、「感染症はグローバルな貿易、消費、投資のすべてに目に見える影響を与えることになり、今後はより多くの国が厳しい措置を取って人の移動を制限するとみられ、投資の予測もますます不安定なものになる」との見方を示した。

経済協力開発機構(OECD)は、2020年上半期のグローバル経済成長は急激に鈍化すると警告するとともに、通年の成長率予測を2.4%に下方修正した。世界貿易機関(WTO)の予測では、グローバル物品貿易は今年第1四半期も弱い状態が続き、感染症の影響でさらに弱まる可能性があるという。

こうした状況の中、「感染症が世界の総需要を低下させ、中国の外需が激減するリスクがある」という分析が出てきた。中信証券の諸建芳(シュー・ジエンファン)チーフエコノミストはこれについて、「そうしたマイナス影響は確かにあるが、中国経済への打撃を過大評価するべきではない」との見方を示した。

一方で、輸出と輸入の状況の変化は普段は高度にかみ合っていて、中国の物品貿易の黒字の減少幅が輸出そのものの減少幅を上回ることはない。また一方で、海外の生産が感染症の影響を受ける中、各方面が代替効果により中国への輸出ニーズを増やしており、これも世界の総需要の減少がもたらす打撃を部分的に相殺することになる。

また、中国の経済成長を牽引する「トロイカ」(投資、消費、対外貿易)のうち、消費と投資がすでに絶対的な主力であり、経済を駆動する要因は内需が主導しており、たとえ純輸出の寄与度が低下しても、中国経済の基本的側面に対して実質的な変化を起こすこともあり得ない。

中国恒大集団の任沢平(レン・ザーピン)チーフエコノミストは、「需要への打撃よりも、供給チェーンの断裂がグローバル経済によりマイナスの影響を与えることになる。懸念されるのは、『延焼』が続くグローバル供給チェーンの危機だ。最近、中国が企業活動と生産活動を秩序をもって再開するようになったのにともない、問題の中心は海外に移りつつある」と述べた。

任氏は目下、感染状況が深刻な日本と韓国を例に挙げて、「両国は産業チェーンの重要な一環であり、2018年の半導体材料市場における売上高は計164億1000万ドルに、半導体設備市場での売上高は計271億8000万ドルに達した。感染状況の悪化が世界に半導体材料の不足、コア部品の不足、製造コストの上昇といった大きな打撃をもたらし、中国への波及も予想される」と述べた。

しかし危機の中にはチャンスも内包される。感染が広がる中、中国の関連産業がモデル転換・高度化の歩みを加速させられるか、自主供給チェーンの配置を強化できるかが、危機をチャンスに変えるためのカギになる。

海外での感染拡大がもたらす「2回目の打撃」に直面して、ウォッチャーの間には、「中国は経済活性化の規模を適宜拡大することが可能だが、政策の制定はより理性的で、持続可能な高い品質の成長を追求するものでなければならない」との見方が広がる。

インフラ建設を例にすると、これまで経済活性化政策の中心だった。特に感染症が短期的に消費を抑制する状況の中、インフラ建設投資によって内需を拡大することの重要性がますます明らかになった。

中国国際金融股フン有限公司(フンはにんべんに分)の梁紅(リアン・ホン)チーフエコノミストは、「中国のインフラ建設投資は多くの点でまだ不足があり、今回の感染症により公衆衛生の分野がその1つであることが露呈した。インフラ建設投資が安定成長することの役割は替えがきかない重要なものではあるが、短期的に急速に需要を拡大させてはならず、関連の投資は弱点分野に焦点を当て、公衆衛生、大都市のインフラ、環境保護といった国民の生活に関わる分野への配分を多くするべきだ」と述べた。

野村證券の陸挺(ルー・ティン)中国圏チーフエコノミストも、「経済活性化の規模を慎重に検討し、新たに効率の悪いインフラ投資ラッシュが起こらないようにしなければならない。これまでに打ち出された困難の解決と業務の再開に向けた政策が実施されれば、感染症のため先送りされ抑制されていた需要が反転上昇し、達成できていない生産の受注も企業は作業時間を延長して達成し、経済は必ず復興するとともに、感染拡大期間の損失をある程度埋め合わせることができるだろう」との見方を示した。

中国は自国の感染対策と発展を統一的に計画してしっかりやり遂げると同時に、国際協力に積極的に参加し、海外の戦「疫」をできる限り支援し、打撃に対抗するための防衛ラインを押し上げるのに寄与する。

劉氏によると、「各方面はG20(主要20カ国・地域)、SCO(上海協力機構)、APEC(アジア太平洋経済協力)などのプラットフォームを利用して、政策の協調を十分に強化し、協力を密接に展開すべきだ。今回の感染症は世界共通の試練であり、各国がしっかり協力すれば、経済に与える影響を最小限に抑えられる」という。(提供/人民網日本語版・編集/KS)

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