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<コラム>F-35、日米で連携強化

配信日時:2020年3月13日(金) 21時0分
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アメリカ空軍は、F-35ステルス戦闘機で日本の自衛隊との相互運用性をより高めようとしている。写真はF-35。

アメリカ空軍は、F-35ステルス戦闘機で日本の自衛隊との相互運用性をより高めようとしている。米空軍協会の機関誌『エアフォースマガジン』(2020年3月号)が伝えている。

今後5年以内に、太平洋地域ではF-35統合打撃戦闘機(Joint Strike Fighter)が200機以上になる。そのうちの70パーセントが、アメリカ以外の国によって所有され、運用されるものだ。日本はF-35A・105機とF-35B・42機の合計147機を調達しようとしている。これはアメリカにとって、単独では最大のF-35の海外顧客となる。

アメリカの太平洋空軍は現在のところ十分な数のF-35を持っていない。そのため、同盟国とのF-35の相互運用は、決定的に重要な課題となっている。

「F-35は、我々が持つ他のどんなプラットフォームにもできない異なったレベルの連携をおこなうことができます」

マイケル・マイルズ大佐は言う。マイルズ大佐は第388戦闘航空団メンテナンス・グループの指揮官である。ユタ州ヒル空軍基地に駐屯する第388戦闘航空団は、F-35を運用する戦闘部隊である。

すべてのF-35部隊は、訓練、技術データ、ツール、共通プログラム・サポート基盤を共有する、とマイルズ大佐は言う。

去年の12月に、マイルズ大佐と米空軍の他の7人が、日本の三沢基地まで飛んでいる。これは2日間のF-35メンテナンス・シンポジウムのためだった。そこでは、F-35についての特別なメンテナンス任務についての実地訓練はもちろんのこと、ブリーフィングや話し合いもおこなわれた。

ヒル空軍基地からやってきた人たちの中には、パイロット・チーフやメンテナンス士官、ステルス(低観測性)の専門家も含まれていた。

「第388メンテナンスグループは、卓越した経験と知識をもっています」

航空自衛隊の武器弾薬員(匿名希望)が言った。

「わたしたちは、多くのことを学びました」

彼は、兵器装填についての実施訓練を楽しみにしていたという。

「今回のことは、日本とアメリカの相互運用に役立つとおもいます」

F-35は、パイロットが飛ばすときにも、地上でメンテナンスをするときにも、ユーザー間で相互運用ができるように設計されている。

「Koku Jieitaiの隊員たちがアメリカ空軍のF-35をメンテナンスして出撃させたり、逆に(アメリカ側が日本のF-35を同じように)したりする将来を、わたしは心に描いています」

在日米軍、兼第5空軍司令官ケビン・シュナイダー空軍中将が言った。

ここ数年における中国軍の増強には目をみはるものがある。一方で、世界に対するアメリカの相対的な軍事力は、衰え続けている。これまでアメリカ空軍はその戦闘戦力の規模を縮小しつづけてきた。2019会計年度にアメリカ空軍が運用したのは55個戦闘飛行隊だった。これは、1989年の戦闘戦力のほぼ半分である。

グローバルに展開するアメリカ空軍にとって、全戦力を一箇所の紛争に投じることは、なかなかできない。もはやアメリカは同盟国の助けなしには、北朝鮮やイラン、その他を睨みながら、中国やロシアを抑止し続けることが不可能になりつつある。今日の同盟国における空軍基地でのメンテナンスを含めたF-35の密接な相互運用の取り組みも、その一環として考えられる。

F-35ステルス戦闘機による異国間の密接な連携については、月刊『軍事研究』(ジャパン・ミリタリー・レビュー、2019年12月号)の拙稿にも、いくらか書いている。もし、ご興味がある方がいれば、参照していただければ幸いである。

アメリカは、中国との紛争で想定される戦場への距離の遠さにも悩んでいる。一般的な戦術戦闘機にとって、距離の遠さは非常に過酷である。今年1月に公開された米国のCSBA(戦略予算評価センター)による研究(Five Priorities for the Air Force’s Future Combat Air Force)によれば、活動する基地が遠くなれば、必要になる戦闘機と空中給油機の数は、幾何級数的に増大するという。

そのため、たとえ中国の非常に数多くのミサイルの射程内であったとしても、日本などを含めた、より前方の航空基地に航空戦力を分散して展開することをCSBAは推奨している。

グアムから台湾海峡付近と、オーストラリアの北にある基地から南シナ海のスプラトリー諸島近辺への距離は、だいたい同じで、1600海里くらいである。CSBAの見積もりによれば、片道1600海里の距離にある周回ポジションに常に4機の戦闘空中哨戒(CAP)を維持するためには、24機以上の任務即応体制にある戦闘機が必要になるという。このCSBAの見積もりでは、最大12時間連続という単座戦闘機のパイロットには過酷な飛行任務が想定されており、毎日繰り返すことによるパイロットの疲労などは考慮されていない。

たしかに、アメリカ空軍省公式の『飛行オペレーション:一般的な飛行ルール』(空軍インストラクション 11-202 Volume 3、2019年10月)では、単座戦闘機パイロットの飛行任務は1日12時間を超えるべきではないとはされているものの、30日や90日間の飛行時間はもっと厳しく厳しく制限されている。最近では、アメリカ空軍の深刻なパイロット不足がたびたび報じられているが、たとえ1機あたり1.5人のパイロットを確保できたとしても、CBSAの見積もりでの出撃レートを長期間維持するのは難しいだろう。

また、戦闘機は、所有している全機が任務即応体制をとれるわけではない。たとえば、アメリカ空軍のF-22Aステルス戦闘機は現在総数186機であるが、アップデート中や訓練用などで、戦闘のためのシステムが完全でない機体も少なくない。F-22Aの戦闘任務優先機は123機で、近年の任務遂行可能率から考慮すると、任務即応体制がとれるのは62機程度にすぎない。

F-35ステルス戦闘機は多様な任務をおこなえる柔軟性がある。一方で、F-22ステルス戦闘機は空対空戦に最適化されている。

かつて、ロバート・ゲーツ国防長官(当時)は、F-22のことを、可能性のあるひとつかふたつのシナリオだけに役立つ「ニッチな銀の弾丸」であるとして批判した。当時、脅威が増大していくと考えられていたのは、ならずもの国家(ローグステート)や、短中距離弾道ミサイルだった。これらの敵がもつ空軍戦力は、アメリカよりはるかに劣ると考えられた。

1980年代には、元々F-22は750機が必要だと宣言されていた。後にこの数は442機から381機と、段階的に縮小されていく。さらに予算カットや計画の遅延、他の数々の厄介事の後、2009年にF-22の生産の上限は、結果的に187機と決められてしまった。

アメリカ空軍の研究では著名なデビッド・デプチューラ中将(退役)等は、ミッチェル研究所のレポート(Ensuring the Common Defense:The Case for Fifth Generation Airpower,2019.4)で、ゲーツの判断は間違っていたと書いている。将来の戦争は、イラクやアフガニスタンで経験してきた低強度の紛争のライン上にあるとゲーツは単純に信じこんでいたが、それは酷い判断ミスだったとしている。

アメリカ国防総省が発表した2018年の国家防衛戦略(NDS:National Defense Strategy)では、これまでおこなってきた対ゲリラ・反乱勢力に対する軍事作戦から、中国やロシアのような強国との競争へと重点を変えるとなっていた。

■筆者プロフィール:洲良はるき
大阪在住のアマチュア軍事研究家。ブログやツイッターで英語・中国語の軍事関係の報道や論文・レポートなどの紹介と解説をしている。

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洲良はるき
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