新型コロナウイルスに関する鍾南山氏の7つの最新観点

人民網日本語版    2020年2月20日(木) 13時10分

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国家衛生健康委員会ハイレベル専門家グループのグループ長の鍾南山氏が、特効薬や極めて長い潜伏期間、中医薬の治療効果、血漿治療など、新型コロナウイルスに関連する最新の研究状況について説明した。写真は武漢。

広東省は18日午後、新型コロナウイルス感染による肺炎の予防・抑制に関する記者会見を開いた。会見の席で、国家衛生健康委員会ハイレベル専門家グループのグループ長で中国工程院院士の鍾南山(ジョン・ナンシャン)氏が、特効薬や極めて長い潜伏期間、中医薬の治療効果、血漿治療など、新型コロナウイルスに関連する最新の研究状況について説明した。

■マラリア治療薬のリン酸クロロキンは特効薬なのか?

——特効薬とまではいかないが、助けにはなる

鐘氏は、「マラリア治療薬のリン酸クロロキンは特効薬とまではいかないが、現状から見て、ある程度助けになるとみられ、検討する価値がある」と指摘し、「リン酸クロロキンは他の医薬品と比べると、発熱とウイルスの治療で即効性があり、しかも副作用が小さい」とした。

■河南省で確認された潜伏期間が極めて長い2症例について

——おかしなことではない。例外はあるものだ

先ごろ確認された河南省の潜伏期間が極めて長い2症例について、鐘氏は「おかしなことだとは思わない。例外はあるものだ」とした。

鐘氏は、「これまで1099人の症例に対して行った研究によると、潜伏期間はだいたい2日から7日だったが、論文には忠実に0日から24日間と書いた。24日間に達した症例が1例、14日を超えた症例が13例あり、大多数も少数も合わせて考慮する必要があるからだ」と説明した。

■中医薬での治療は効果があるか?

——有効であることが証明されれば、中医薬は安心して使用可能

鐘氏は、「中医薬の実験室における新型コロナウイルスへの効果を重視している。エビデンスが得られれば、中医薬を安心して使うことが可能になる。特に早期・中期患者に対しては使用できる」と述べた。鐘氏はさらに、「中医薬については、ウイルスの細胞への侵入を本当に減らせるのか、サイトカインストームの発生を減らせるかについて、実験室で検証を行うことが必要だ。それによって中医薬の使用にエビデンスとガイドラインを提供できる」とした。

武漢で新型コロナウイルスの変異は起きているのか?

——武漢の患者と他地域との違いは大きくない

コロナウイルスの人間への大規模感染はこれまでに3回起きている。そのうち新型コロナウイルスの致死率は比較的低い。鐘氏は、「武漢の致死率は比較的高く、ウイルスが変異したのではないかと考える人もいる。最近、資料をまとめた際、武漢の重症者と他地域との違いは大きくないことに気づいた。致死率が高いのには、たとえばきちんとした治療が受けられていないなど、他の原因がある」と述べた。

また鐘氏は、「きちんとした救命処置と治療条件などがあれば、重症者の約85%の症状は改善できる。現在重症者が回復して退院したケースは多くないが、ICUから一般病室に移った患者はすでに50%に上り、治療効果はまずまずだと言える」とした。

■新型コロナウイルス感染者の遺体解剖の意義は?

——SARSとの違いがすでに判明

鐘氏は、「新型コロナウイルスに感染して死亡した患者の遺体解剖は重要だ。17年前のSARS患者の遺体解剖では、肺がどのように病変するのかが判明し、肺以外の全身の臓器へのウイルスの影響状況も分かった」と指摘した。

鐘氏は、「現在広東省では関連資料を入手しており、新型コロナウイルス感染患者の症状がSARSとは多少違っていることが分かった。たとえば、肺には想像したほど深刻な繊維化が起こっていなかったが、炎症がひどく、大量の粘液があった。これは臨床上の所見と合致しており、一部の患者は痰がそれほど多くないものの、非常に粘り気があり、正常な呼吸が妨げられていた」と説明した。

また鐘氏は、「症例の解剖は病気の特徴を知る助けになる。治療において徹底し、特に、気道の通りをよくするための呼吸確保方法を変えられるかどうかを検討する材料になる」とした。

■武漢ではどのようにしてヒトからヒトへの感染を食い止めているのか?

——健康な人と感染者、感染者とインフルエンザ患者を分ける

鐘氏は、「現在、新型コロナウイルス感染による肺炎は中国全土で減少傾向にあるが、武漢ではそれほど顕著な減少傾向はみられず、せいぜい横ばいの状態だ。最も重要なのは、武漢で本当にヒトからヒトへの感染を食い止めるには、健康な人と感染者を分け、感染者とインフルエンザ患者を分ける必要があるということだ」とした。

鐘氏は、「早急に核酸検査とIgM抗体検査を結び付け、鑑定診断率を高め、より迅速に新型コロナウイルス感染とインフルエンザを判別し、特別なルートを通じてまず武漢を支援し、武漢で効果を発揮させ、感染の疑いがある人を減らしていくべきだ」と呼びかけた。

■血漿治療の効果はどうなのか?

——有効、特に重症者に対して

鐘氏は、「回復した患者の血漿を利用した治療は、比較的古くからある方法だが、特に重症者に対して、比較的有効で安全だ」とした。

さらに鐘氏は、「SARSから17年がたったが、総合抗体はまだ開発されていない。これには時間が必要であり、ワクチンとなるとさらに時間がかかる。現時点では、回復した患者の血漿治療は比較的古い方法ではあるが、比較的有効で、安全だ。広東省もこの方法で重症者の治療をする予定だ」と述べた。(提供/人民網日本語版・編集/AK)

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