欧州で人気が高まる中国SF文学

人民網日本語版    2020年2月19日(水) 16時50分

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ヒューゴー賞の受賞作家である劉慈欣の小説十数作品を原作とした「劉慈欣SF漫画」シリーズ作品のフランス語版がフランスで次々と出版される予定となっており、多くのフランス人SFファンの期待を集めている。

今年から、ヒューゴー賞の受賞作家である劉慈欣の小説十数作品を原作とした「劉慈欣SF漫画」シリーズ作品のフランス語版がフランスで次々と出版される予定となっており、多くのフランス人SFファンの期待を集めている。近年、シリーズ小説「三体」をはじめとする一連の中国SF文学作品が、その独特な中国式「ハードSF」の魅力と、温もりにあふれた人間的・文化的な雰囲気、そして鮮明な中国的要素によって、フランスだけでなく欧州全体の文学市場で無数のファンを獲得し、共感を呼んでいる。人民日報が伝えた。

「三体」を例にとると、2016年にフランスのActes Sud社がフランス語版で第一部を出版して以来、この小説はフランスの読者と文学評論家から広く好評を博した。フランスの新聞「ヴァン・ミヌート(20minutes)」は記事で読者に同作品を推薦し、「歴史学や物理学、哲学的思考を一体化した優れたSF小説」であり、SFと文学の美を兼ね備えており、一読の価値があると紹介した。またフランスのある雑誌は、同小説は西洋のSF文学とはストーリーや視点を異にしており、耳目を一新するものだと評した。Actes Sud社はその後2年間で、「三体II・黒暗森林」と「三体III・死神永生」のフランス語版も出版し、やはり文学市場で一際目を引く作品となった。

これら一連の中国SF文学作品がフランス人読者に好まれた重要な理由は、「新しさ」にある。筆者の自宅近くの書店では、昨年9月にActes Sud社が出版したフランス語版の劉慈欣作品「球状閃電(GLOBE LIGHTNING)」がSF小説コーナーの目立つ位置に置かれていた。フランスの読者にとって、シリーズ小説「三体」は従来のSFストーリーを全く新しく大胆な視点で語っており、中国のSF文学と西洋のSF文学との違いを示した。中国のSF文学は、生命を見つめ、理解するための新たな方法を提供し、人類の価値と意義をより深く考えさせている。

フランス以外でも、中国SF文学作品はドイツや英国、スペインなど欧州諸国で読者から人気を博し、売り上げ、評判ともに素晴らしい成果を上げている。なかでも、ドイツ語版「三体I」は、ドイツの重要なSF文学賞であるクルト・ラスビィッツ賞の最優秀外国小説賞を受賞した。

中国のSF文学作品が欧州でますます注目されている大きな理由は、欧州の読者の現代中国に対する興味が高まっていることにあると言える。このほか、中国のSFストーリーに反映されている中国式の哲学思想と芸術的美意識も作品に文化的な深みと精神的な厚みを与え、ますます多くの欧州の読者に東洋の独特な魅力を感じさせている。

フランス誌「Le Nouveau Magazine Littéraire」のコラムニストで文芸評論家のアレクシス・ブローカ氏はその評論で、中国のSF作品に反映されている中国人の未来の科学技術に対する態度や、科学技術と人類の関係をどう処理しているのか、人と宇宙文明との関係をどう見ているのかといった点には、中国式の道徳や価値体系が映し出されており、読者が現代中国と中国人をさらに深く理解する一助になっている。この角度から言うと、SF小説は中国社会の変化を映す鏡のようなものであり、今後宇宙の秩序において中国が果たす役割に世界が期待していることを物語っているともいえよう。

SF小説は欧州文学において常に非常に重要な地位にあり、「SF小説の父」と称えられるフランス人作家のジュール・ヴェルヌや、英国人作家のハーバート・ジョージ・ウェルズなど、お馴染みのSF作家を輩出してきた。1900年、ヴェルヌのSF小説「八十日間世界一周」が中国語に訳された初のSF小説として出版されると、その後多くの小説が続々と中国に紹介された。1世紀あまりを経て、これらのSF作品は無数の中国人読者に宇宙に関する啓蒙を与え、そうした読者の中には劉慈欣もいた。そして今、「劉慈欣SF漫画」シリーズ作品が欧州の出版市場に進出していくにつれて、より多くの優れた中国のオリジナル漫画コンテンツが世界の主流出版市場へと大規模に進出し、中国とフランス、そして中国と欧州との民間文化交流を促進するうえでプラスの作用を果たしていくだろう。

「劉慈欣SF漫画」シリーズ作品は紙版が発売されるほか、デジタル版も同時出版される予定で、より活き活きとした出版形式で、原作小説より分かりやすく、文化に馴染みがないために感じる読みにくさを減らし、中国のSF小説がより多くの一般読者に受け入れられ、好まれやすいようにしている。漫画シリーズのフランスでの出版元で、大型漫画出版グループであるデルクール社のデルクール編集長は、「優れたストーリーと専門的な審美眼によって、このシリーズ作品は高い市場価値を備えている」と作品に対する自信を口にした。

先ごろ発表された「2019年度中国SF産業報告」によると、中国のSF市場の2018年生産額は17億8千万元(1元は約15.73円)で、2017年比で83.5%成長した。2019年のSF市場生産額は引き続き成長しており、上半期だけですでに13億8千万元に迫り、2018年の通年の77%に達している。勢いよく発展するSF環境はSF文学の創作に肥沃な土壌を提供し、中国SF文学作品の海外展開にとってもより多くの機会を提供している。科学的思考と中国の文化価値に基づいた優れた作品が海外の出版社によってますます紹介され、より豊富で多元的な宇宙観と、より輝かしく多彩な文化の情景を世界の読者に届けることだろう。(編集AK)

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