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<コラム>「われわれは仏教徒」日本仏教 パパはお坊さん3

配信日時:2020年2月11日(火) 15時20分
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日本のお坊さんの「肉食・妻帯・蓄髪」は少しややこしい事情がある。少し知って置いてもらいたい。資料写真。

中国・朝鮮、また東南アジアのご僧侶などが日本に来られて「えっ?お坊さんに子どもがいるの?」「ええっ? お酒も飲むし、肉も食べるの?」となった次第を述べた。

この「肉食・妻帯・蓄髪」は少しややこしい事情がある。少し知って置いてもらいたい。

私たちは世界の人から見ると「仏教徒」なのだ。

例えば、海外旅行。入国の前などに、目的などをカードに記入する。

そこには、あなたの宗教という欄がある。

改めてギョッとする。クリスマスもするし、結婚は教会だし、葬儀は仏教だ。都会地などでは「家の宗派」が何か判らない方も多い。もちろん「何処の寺の檀家」でもない。

しかし、海外旅行では「ああ、日本人は仏教徒なんだ」と改めて認識する方が多い。

Buddistやbeliver in Buddhismという。

仏教、お寺が人々の生活から離れたのは、第二次大戦後の高度成長期に、産業構造が劇的に変化したことによる。

国民のおおよそ60パーセントだった農民は、4パーセント程度に減る。東京、大阪、名古屋、福岡といった巨大都市圏中心に人口が集中する。

農村の寺院は、檀家の激減をうける。寺との接触は希になり、都会地では、葬儀の時に「長いお経だなあ」と困惑する体験をするようになった。

中学までが義務教育になり、高等学校もそれに近い。科学教育が普及して、因習や宗教に疑問の目を向けるようになる。家制度が崩壊して、受け継ぐ仏壇も墓もない。

明治時代以来の僧の「肉食・妻帯・蓄髪」そして「飲酒」も、ますます当たり前になり、また関心もなくなっている。

この「肉食・妻帯・蓄髪」そして「飲酒」だが、「妻帯禁止」はお釈迦様が「出家」されたように、仏教の根幹だ。

しかし「肉食・蓄髪」禁止は大乗仏教が作ってきたことである。

仏教の祖、お釈迦様は、衣一枚・鉢一つ(三衣一鉢:衣は大中小の3枚)で生活された。

食べ物は家々を回って鉢に受けられた。「肉は入れないで下さい」とは言われなかった。もちろん目の前で鶏を絞めるとかしたものは避けられたという。しかし肉を食べても構わないのだ。

髪の毛はどうか。お釈迦様の像は紀元前後に作られ出したと言うが、頭には髪の毛がある。学問的に考えられているお釈迦様の頭髪は、長い髪を断ちきった「ざんばらがみ」であったらしい。

また「飲酒」は、四戒の後に後から付け加えられたものである。当初は入っていなかった。

「不殺生・不偸盗・不邪淫・不妄語」の四つ戒律は「性質がいけない」と言う意味で「性戒」という。

だが酒は「遮戒」といって、悪くはないが、度を過ごすとよくない。

従って経典には「自制せよ」とも出てくる。

私などはこの自制を実践している。時折飲み過ぎて反省する。(笑)(悲)

大乗仏教は、別の仏教である上座部仏教・南伝仏教も含めて、僧と言うものを強調するために、「出家」であることを他者や自分に宣言するために、つるつるの頭の徹底を行ったのである。

かように、命への慈しみから、総ての肉食禁止というのは、大乗仏教にその傾向が強い。

もちろん「妻帯」はどの大乗仏教も禁止している。

こう言う歴史があるのだが、「肉食・妻帯・蓄髪」総て可というのは、現在の日本仏教だけである。

髪の毛は「浄土宗」や日本最大の仏教教団である「浄土真宗」では許されている。

とまあ、ややこしい、というより複雑怪奇なことになった。

中国・朝鮮の僧や一般の人から見ると、なるほど日本の仏教は「へえーっ?!」という形になっているのだ。

因みに、キリスト教もカソリックとプロテスタント、東方正教会と大きく3つに分かれる。

我々におなじみの欧米では、カソリックとプロテスタント(旧教と新教)だが、カソリックのお坊さんは「神父」であって結婚できない。

プロテスタントのお坊さんは「牧師」で、結婚できるという違いがある。

欧米でもキリスト教離れが深刻だが、日本の仏教離れとは異質であって、生活全般の基礎にこのキリスト教精神が生きている。生活の中に根付いている。

日本は、葬式だけ仏教徒という人が多い。

もちろん、釈迦の誕生日の花祭りも忘れずにしている仏教に熱心な人もいるが、それでもクリスマスも祝う。ケーキを食べるためとか、子どもにプレゼントするために。

神社も参るが、恵方巻きも食べる。パワースポットに七五三に十日戎。ハロウィンも騒ぐし、除夜の鐘と初詣にも出かける。

書いていて、「はて、日本人の宗教は何なのか?」と、私自身が考えてしまった。(笑)

と言うわけで、この感覚で、アメリカなどの入国の際に「無宗教」などと書くと、信頼を失うことにもなりかねない。欧米ではキリスト教が力を失っているとは言え、日本の仏教とは比較にならないほど生活・人生に深く根付いているのだ。ご注意、ご注意。

日本仏教 パパはお坊さん おわり

■筆者プロフィール:石川希理
1947年神戸市生まれ。団塊世代の高齢者。板宿小学校・飛松中学校・星陵高校・神戸学院大学・仏教大学卒。同窓生いるかな?小説・童話の創作と、仏教の勉強と瞑想を10年ほど。明石市と西脇市の文芸祭り選者。児童文学のアンソロジー単行本、小説の自家版文庫本など。

※掲載している内容はコラムニスト個人の見解であり、弊社の立場や意見を代表するものではありません。
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「えっ? お坊さんに子どもがいるの?」「お酒も飲むし、肉も食べるの?」と、中国・朝鮮の方々は思うらしい。東南アジアの僧侶も目を剥くらしい。「まあ、日本の仏教は、世界の仏教界の中で独特」なのだ。

石川希理
2020年2月2日 16時10分
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