本格正統派時代劇「蠢動−しゅんどう−」、三上康雄監督に聞く

Record China    2013年10月9日(水) 17時10分

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9日、本格正統派時代劇「蠢動−しゅんどう−」が19日に公開される。今回が長編デビューとなる三上康雄監督にインタビューした。作品写真:(C)2013 株式会社 三上康雄事務所

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2013年10月9日、本格正統派時代劇「蠢動−しゅんどう−」が19日に公開される。今回が長編デビューとなる三上康雄監督は「自分の観たい時代劇映画がない。だから自分で作った。人それぞれが正義、立場を主張し戦う作品」と語る。

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舞台は享保20年(1735年)の山陰・因幡藩。城代家老の荒木源義(若林豪)は、幕府から派遣された剣術指南役・松宮十三(目黒祐樹)に不審な動きがあると報告を受ける。荒木は用人の舟瀬太悟(中原丈雄)に偵察を命じる。

藩の剣術師範・原田大八郎(平岳大)は、父を亡くした藩士・香川廣樹(脇崎智史)と姉の由紀(さとう珠緒)から全幅の信頼を寄せられていた。剣術修行を望む香川のため、原田は力を尽くす。

一方、荒木の元に「松宮から幕府への密書」の存在が伝えられる。松宮は「因幡藩の内情をすべて探った」と記していた。藩を守るため、苦渋の決断を迫られる荒木。原田、香川、由紀も激動に飲み込まれていく──。

せりふ、色、音、すべてが削り込まれ、研ぎ澄まされた画面。原点は大学時代に観た「切腹」(橋本忍脚本、小林正樹監督)だった。「価値観を覆された。人それぞれが正義、立場を主張し戦う。そんな映画が撮りたくなった」という三上監督。24歳で16ミリの自主映画「蠢動」を撮った後、建築関連の家業に専念した。以来30数年。創業100年を機に会社をM&Aし、今回の長編「蠢動−しゅんどう−」のメガホンを取る。

「時代劇の復興、再生と人に言われるが、そんな高い理想を掲げているわけではない。自分が観たいものを撮った。この作品は誰が主役でもない。観る人によって主役は変わり、何が正義かも異なる」

まったくゼロからのスタート。出演してほしい俳優の事務所に電話をかけ、電子メールを送り、思いのたけを伝えた。そんな監督の熱意に応え、ベテランから若手まで実力派俳優が顔をそろえた。

俳優たちには動きが「本物」であることを求めた。

「今の時代劇は段取りで撮っている気がする。僕のイメージと俳優さんの考えをすり合わせて、俳優さんには演技をしてもらった。(せりふが少ないのは)武士はそれほど話さないのでは、と思ったから。撮影は『収穫』で編集は『調理』。調理でいかにメリハリを付けるか」

撮影はすべてロケで行った。自ら各地を歩き、雪中シーンが撮れる場所を探し回った。若手俳優には半年間、みっちり殺陣を練習させた。目指したのは「武士道」を縦糸に、「走る」「斬る」を横糸に織りなす活劇だ。

「いかにリアルにするか。若い俳優には『斬られるんではなく、斬りに行くんや』と。ベテランの俳優さんたちは知識も経験も豊富。所作もきちんとされる。生かされる機会が少ないのは惜しい」

会社を売却直後、妻の陽子さんが亡くなった。

「ぼろぼろになり、何か打ち込むものが必要だった。(生前)映画を撮りたいと話したら、妻は『やりたいならやったらええ』と言ってくれた」

時代劇にしか描けぬ物語。「蠢動−しゅんどう−」には、監督の思いが詰まっている。(文/遠海安)

「蠢動−しゅんどう−」(2013年、日本)

監督・脚本:三上康雄

出演:平岳大、若林豪、目黒祐樹、中原丈雄、さとう珠緒、栗塚旭、脇崎智史

2013年10月19日、東京・有楽町スバル座、大阪・TOHOシネマズなんばほかで全国公開。

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