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<コラム>新型コロナウイルス、韓国人帰国の陰に大量の涙

配信日時:2020年2月4日(火) 17時0分
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武漢在住の韓国人701人が、2月1日までに韓国に帰ってきた。韓国内の収容施設が温かく迎えてくれたからだ。写真は武漢。

武漢在住の韓国人701人が、2月1日までに韓国に帰ってきた。韓国内の収容施設が温かく迎えてくれたからだ。アサンとジンチョンという2か所だ。アサンは忠清南道にある警察人材開発院、、ジンチョンは忠清北道にある国家公務員人材開発院である。施設というよりは、施設周辺に住む住民らが180度態度を変えてくれたからだ。

収容施設として白羽の矢がたった当初は、住民らは耕運機、トラクターまで動員して死に物狂いで「来るな」とシュプレヒコールを上げた。しかし、SNSなどの呼びかけで、同じ国の住民なんだから温かく迎えてあげようよというコメントが拡散し、第一陣が到着する1月31日には「歓迎します」「がんばってください」という垂れ幕が道路沿いに設置されるまでに変化。武漢から帰ってくる僑民一同、報道ではなかったけれど、たぶん涙をもって感謝していたに違いない。

そして、涙がまた別の主人公から流される。聯合ニュースなどを参考に書いてみる。主人公は、鄭ダウン(ジョン・ダウン)という38歳の領事。湖北省武漢の現地で韓国人撤収作業の実務に責任を負う鄭ダウン領事は、同胞とのSNSチャットルームに「みんなにとても感謝している」とのメッセージを残した。鄭領事は、韓国で警察官として働いたあと、3年前に武漢総領事館職員としてやって来て僑民保護担当領事を遂行している。

彼は、総領事館の同僚領事らと現地人職員、海外同胞などが参加している団体のチャットルームで「最後のチャーター機に333人無事搭乗の後、本部に離陸電文を送り、家に帰ってくる車の中で泣きじゃくった」とし、武漢在住の韓国人撤収作業に協力してくれた同胞らに感謝の気持ちを表した。さらに「私はここにまだ残っている他の孤立した方々のために働かなければならない」とし、残っている同胞たちに「マスクなど救護物資を配らなければならないけれど、もうちょっとがまんしてほしい」と訴えた。

鄭領事は、夫人と2人の子どもを今回のチャーター機で国内に送った。一人で武漢に残ることになった鄭領事は、家族にすまない気持ちも伝えた。彼は「7歳と9歳の二人のわんぱく坊主を連れて飛行機に乗せたのだけれど、妻には見送りのあいさつもできなかった」、「2人1室の狭い隔離室に子ども二人と一緒になんとかがんばっている妻のことが思い出され、本当に済まない気持ちでいっぱいで心が痛かった」と話した。

武漢の韓国人ソサエティーによると、武漢僑民合わせて701人をチャーター機に乗せるまで総領事館の職員と武漢僑民たちの底知れない努力があったとのこと。彼らは残っている同胞を1人でも多く飛行機に乗せようと、数日間睡眠も減らしながら同胞を助けたという。

まず、湖北省外郭地域に住む僑民を安全に武漢天河空港まで来させる必要があった。これが最大の難関だった。湖北省全体が封鎖されているため、武漢外郭の都市にある僑民たちが武漢まで行く道は険しかった。湖北省郊外に居住する僑民は、チャーター機の搭乗を申請し辛うじて車を手に入れるが、主要な通りごとに設置された公安の検問所で渋滞する状況に置かれた。武漢外郭地域の住民が武漢の人々の進入を阻止しようと「自警団」を組織し、道路のあちこちに様々な障害物を設置したのである。武漢僑民らはSNSのチャットルームを通じて、塞がっている道と迂回路を迅速に共有した。在武漢韓国人会が同胞の届け出をまとめて武漢総領事館に助けを求める方式で進められた。武漢総領事館の要請で、湖北省政府がチャーター便に乗る在武漢韓国人に通行証を発給することにしたのである。しかし、各地方の検問所にまで知らせが届かず、これがまた苦労のタネだった。このため総領事館は各検問所にいちいち事情を説明して道を開いてほしいと頼みこまないといけない始末。このようなやり方で少なくとも20か所あまりの検問所を開け、チャーター機搭乗者70人余りがこの困難な厳しい過程を経て武漢天河空港に到着することができたのである。

武漢に残ることにした僑民も積極的に彼らを助けてくれたという。チャーター機搭乗のため慌てて出てきたため居場所のない僑民らに、寝るところや食べ物を提供してあげ、個人車両を使って僑民を天河空港まで運んでいく。現在武漢では許可をもらっていない車両は通行が禁止されており、許可された車両がなければ荷物を持って歩いて移動しなければならない状況。湖北省韓国人会長のチェ・ドクギ氏は連合ニュースとのインタビューで「飛行機なら飛んでしまえばそれまでだけれど、通行止めになっている地上の道を開けて通過するのが難しかった」とし、「ドラマのようだった」と話した。特に、「僑民撤収業務の実務責任を負う鄭領事が、責任感をもって任務を全うしてくれた」と賞賛を惜しまない。彼は「鄭領事が業務に熱心な姿を見て、この人は魂をかけて仕事をしている人だと感じた」とし、「心の奥深き所で責任感と使命感を持って働く人」と語った。鄭領事は警察官として韓国内で務めたあと、武漢総領事館にきて僑民保護担当領事として3年間働いてきている。

2月1日まで、武漢在住の韓国人701人がチャーター機で韓国に帰ってきた。簡単に飛行機に乗って帰ってきているようにわれわれには見えたのだけれど、実はいくつもの難題をクリアーして実現できたことだったのだ。上にもあるように遠くに住んでいる僑民を飛行場まで来させるのがものすごいハードルだったようだ。武漢の人々の進入を阻止するとして「自警団」を組織し地域道路のあちこちに様々なバリケードを設置。そこにいちいちお願いに行って通してもらうという、考えただけで頭が痛くなるような業務をやってのけたわけである。

現地韓国人の撤収作業を全面的にバックアップしたのが上の主人公鄭ダウンという38歳の領事だ。第二便のチャーター機の離陸を見届けて帰宅する車の中で号泣したという話。任務を果たしたという安堵や、家族は送ったものの自分はここに残らねばならないという家族に対するすまなさ、そういったいろいろのものが込み上げての大量の涙だったのだろう。でも、本人はそんなことは思っていないと思うけどこういう「英雄」がいてくれてはじめて、物事は成就するんだろうなと今回のこの記事をみてまた新たに感じた。人間って、すばらしいもんだ。

■筆者プロフィール:木口 政樹
イザベラ・バードが理想郷と呼んだ山形県・米沢市出身。1988年渡韓し慶州の女性と結婚。三星(サムスン)人力開発院日本語科教授を経て白石大学校教授(2002年〜現在)。趣味はサッカーボールのリフティング、クラシックギター、山歩きなど。

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