<コラム>エイリアン-やな漢字

石川希理    2020年1月29日(水) 23時40分

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漢字-15億人の表語文字 と言うことで前に述べたが、日本で使うに注意しないといけない漢字もある。資料写真。

エイリアンに外人。異人に異邦人。やな漢字。

漢字-15億人の表語文字 と言うことで前に述べたが、日本で使うに注意しないといけない漢字もある。

最初にあげた「エイリアン」は「外国人」のことである。実際に空港などで使用されていた。

よくご存じのホラーSF「エイリアン」が大ヒットして、エイリアンは日本では「化け物」になってしまった。で、いまは、 Foreigner(外国人) Non-Resident(非居住者)、 Visitor(観光客)などである。

そして「外人」も「外国人」になった。なるほど、「外人」は「人以外」との意味にもとれる。そんな風に思っている人はいないだろうが、「外の人」ということである。

「異邦人」という言い方もある。国の違う人、の意味である。カミュの小説も有名だ。

また「異人」という表現もある。江戸時代からよく使われていた。

この「異人」は「人と異なる」ので、チト困る使い方だ。

けれど有名な童謡『赤い靴』(野口雨情作詩・本居長世作曲)にも使われている。

その初めに、「赤い靴はいてた女の子 異人さんにつれられて行っちゃった」とある。

作詩の野口雨情は「しゃぼん玉」(しゃぼん玉 飛んだ 屋根まで飛んだ 屋根まで飛んで こわれて消えた…)とか、「七つの子」(カラスなぜ泣くの、カラスは山に…)、或いは「しょじょじのたぬきばやし」(證城寺の狸囃子)で有名だ。

この異人は変えるわけにはいかない。歴史的な使用に当たるだろう。

脱線して『異人たちとの夏』という映画もある。私には面白かったが、異人は幽霊だ。

だいぶ脱線したが、「外人」「異人」「異邦人」…。

日本人とそれ以外と、内と外をはっきり区別する意識は島国日本に強いが、もうそろそろ薄れつつある。

ラグビーも箱根駅伝も、野球も相撲もスポーツは人種のるつぼになり、都市部では外国人労働者が当たり前になってきた。

さて、漢字も時代の変化や、文化的背景の変化で、変わってくる。

「こんな漢字を使うとは何事でござる!!!」

とは言わなかった(笑)が、20年ほど前、幼稚園や小学校に抗議が行ったことがある。

お知らせに「明日からプールが始まります。海水着やキャップ、タオルなど、入水の準備をして下さい」とあった。

ある保護者は、これを見て激怒? した。

入水は「じゅすい」と読んで「自殺」のことだった。我が国では海水浴といった風習はない。いたずら坊主が、川で遊ぶ程度のことはあった。それで水に入る意味の「入水」は辞書にもなかった。

もちろん現在は普通に使われている。辞書にもある。

問題視されていて、そこまで言わずとも、と残ったものもある。

「奥様」「主婦」「主人」である。いずれも男性主体の社会の産物だ。

これは、言い換えが難しい。でまあそのまま使われている。

「うちの主人です」という紹介を「伴侶です」「連れ合いです」と言う言い方に変えるのが難しい場合もある。「夫です」でもいいが、なんとなくしっくりこないという雰囲気がある。もちろんこういうものは時代とともに自然と変化し消えていくのかも知れない。

なにせ、これを書いている私は「主夫」である。(笑)

姑、姦しい(かしましい)、嫁。それぞれ、古い女、3人寄ればうるさい、家制度の中の女とまあ、漢字が出来た頃から恐らく3000年続く女性蔑視だが、簡単には解消しない。

後家、というのは家制度と結びついた言い方だが、これは使われなくなりだしている。

「未亡人」もよくない。(主人が亡くなったのにまだ死なない人)と言う意味だ。男性が亡くなったら妻は殉死すべきというオソロシイ思想である。

とはいえ、妄・妖・嫉妬、とまあ、よくない意味を振られたものが、たくさん出てくる。

因みに妻は、頭にかんざしを挿した女性から来る象形文字である。

差別的な漢字も長い慣習の中で使われてきたので、即座に変わりはしないだろう。

ただし、私たちが、この使い方はおかしい、という知識と疑問を持ち続けることが大切であると思う。同時に漢字文化圏の日中でそろそろ話し合いを続けていってもいいかもしれない。

■筆者プロフィール:石川希理

1947年神戸市生まれ。団塊世代の高齢者。板宿小学校・飛松中学校・星陵高校・神戸学院大学・仏教大学卒です。同窓生いるかな?小説・童話の創作と、善く死ぬために仏教の勉強と瞑想を10年ほどしています。明石市と西脇市の文芸祭りの選者(それぞれ随筆と児童文学)をさせていただいています。孫の保育園への迎えは次世代への奉仕です。時折友人達などとお酒を飲むのが楽しみです。自宅ではほんの時折禁酒(笑)。中学教員から県や市の教育行政職、大学の準教授・非常勤講師などをしてきました。児童文学のアンソロジー単行本数冊。小説の自家版文庫本など。「童話絵本の読み方とか、子どもへの与え方」「自分史の書き方」「人権問題」「瞑想・仏教」などの講演会をしてきました。

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