<コラム>チョンマゲ日本

石川希理    2019年12月30日(月) 18時10分

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チョンマゲは妙な髪型である。他人にあわせる、争わないのが我が国民性としても、現代社会の眼で、よく冷静に見てみると「奇妙奇天烈」な髪型である。

チョンマゲ日本。

時代劇が好きだ。製作にはお金がかかるらしい。大道具も小道具も特殊なものだし、出演者も和服に、わらじに草履スタイル。カツラを被って、それの境目がばれないようにメイクも大変である。

最近はCGも発達して、京都の街並み、江戸の街の俯瞰、人混みの街の景観なども、違和感があまりなくなってきた。しかしこれの製作もお金がかかることだろう。

タイトルのチョンマゲだが、由来ははっきりしない。武士がカブトを被るときに頭頂部を剃ったという説もあるが定かではない。

ただ、武士も町人も農民も、江戸末期3000万人ほどという日本人のほとんどが、チョンマゲや、未婚女性は島田まげ、既婚女性は丸まげ。当時のファッションだから色々なものがあったらしい。

現代でも結婚式の時、女性が「文金高島田」を結うこともあるが、さすがに男性のチョンマゲは見られない。して見ても構わないと思うけれども…。私の後頭部ハゲ、薄毛はカツラがいる…うむ。

チョンマゲは妙な髪型である。

中国。漢民族を征服して清王朝をたてた満州族には「弁髪」という髪型がある。蒙古など中国周辺の国の髪型らしい。頭の周囲をそり、後頭部に残した髪を編んで長く背後に垂らす形だ。西洋人にピッグ・テイルとよばれた。漢民族の男性に強制したともいう。

アメリカインディアンから来るモヒカン刈り、モホーク刈りは現代日本のみならず世界的にもファッションとして定着しているが、これもユニークだ。

だが、チョンマゲは素晴らしい。なにせ3000万人の国民が、260年余りの江戸時代の間、自主的にこの髪型だった。男性も女性のマゲも、将軍も大名も、武士も町人も、農民までも、全員だ。

江戸末期に日本に来た西洋人が「日本人は頭の上に鉄砲を乗せている」(笑)といった、とか言わないとかいう逸話もある。

他人にあわせる、争わないのが我が国民性としても、現代社会の眼で、よく冷静に見てみると「奇妙奇天烈」な髪型である。

染髪は10日に1回、半月に1回。さらにひと月に…。

染髪後、油で固めて整えるのは半日仕事だったという。

またこの髪型を壊さないために首に当てて寝る、箱枕というものもあった。

日本文化のルーツは中国だが、どうも我が祖国は、ユニークなものも生み出していたらしい。なんでも器用に消化して、別のものに換骨奪胎して「昇華」し、作り替える。それ以上に、世界中誰もしたことのないような空前絶後の風習もあったようだ。

誇るべきか、苦笑すべきか、というより、日本は日本として理解したい。心の中には「調和のチョンマゲ」を保持しつつ、中国や近隣の国々とつきあうべきだろう。

■筆者プロフィール:石川希理

1947年神戸市生まれ。団塊世代の高齢者。板宿小学校・飛松中学校・星陵高校・神戸学院大学・仏教大学卒です。同窓生いるかな?小説・童話の創作と、善く死ぬために仏教の勉強と瞑想を10年ほどしています。明石市と西脇市の文芸祭りの選者(それぞれ随筆と児童文学)をさせていただいています。孫の保育園への迎えは次世代への奉仕です。時折友人達などとお酒を飲むのが楽しみです。自宅ではほんの時折禁酒(笑)。中学教員から県や市の教育行政職、大学の準教授・非常勤講師などをしてきました。児童文学のアンソロジー単行本数冊。小説の自家版文庫本など。「童話絵本の読み方とか、子どもへの与え方」「自分史の書き方」「人権問題」「瞑想・仏教」などの講演会をしてきました。

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