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<米中首脳電話会談>貿易戦争「打開」へ踏み出す=大統領選控えトランプ氏が譲歩「戦争終結は間近」

配信日時:2019年12月24日(火) 8時40分
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トランプ米大統領と中国の習近平国家主席が電話会談。トランプ氏は米中通商協議について「第1段階の合意に米中は積極的に反応した。早期に署名し実行したい」と意欲を見せ、習氏も合意を評価した。

トランプ米大統領と中国の習近平国家主席が12月20日、電話で協議した。トランプ氏は「巨大な貿易協定に関して非常に良い話をした」「中国はすでに農産物など大規模な購入を始めている」などとツイート。中国国営新華社通信によると、トランプ氏は米中通商協議について「第1段階の合意に米中の市場と世界は積極的に反応した。米中や世界にとって良いことだ。早期に署名し実行に移したい」と意欲を見せ、習氏も「中米と世界の平和、繁栄にとって有益だ」と評価した。

習氏は「(過去に)中米が連携を進める中で幾つかの食い違いが生まれた」と指摘。「中米貿易の関係を前向きに進めて両国のプラスにつなげよう」と呼びかけた。トランプ氏は「米中でコミュニケーションを密にとり続けたい」と応じた。

トランプ大統領と習主席は、抗議デモの続く香港や情勢非核化交渉で強硬姿勢を強める北朝鮮の問題などについても意見交換した。習氏は台湾、香港、ウイグル、チベットをめぐる米国の言動について「中国への内政干渉であり、信頼と協力につながらない」と不満を表明。トランプ氏は「我々は意見の異なる問題でも折り合えると信じている」と答えたという。

朝鮮半島情勢について、習氏は「各国が歩み寄り、対話と緩和の流れを維持することが共通利益にかなっている」と述べ、トランプ氏も「進展があった」とツイートした。

米中両国政府は、12月13日、貿易交渉で「第1段階の合意」に達したと発表。米国は15日に中国製のスマートフォンやノートパソコンなどを対象に15%の関税を上乗せする「第4弾」の残り1600億ドル分の発動を予定していたが、適用を見送ったほか、9月に発動したスマートウオッチなど1200億ドル分の関税率を15%から7.5%に引き下げた。中国は米農産物の輸入拡大のほか、金融市場の開放や知的財産権保護、為替政策の透明化も実行する。

トランプ米政権が対中制裁関税を一部緩和するのは米中両国が関税をかけ合う貿易戦争を始めた18年7月以降で初めて。中国側も15日に準備していた報復関税の発動を見送った。

中国政府は13日夜、北京で記者会見を開き、第1段階の合意は米国産のトウモロコシなど農畜産物の輸入拡大、知的財産権保護、技術移転、金融サービス、為替、紛争解決など9項目に及ぶと明らかにした。米国からの輸入拡大額は後日発表するとしているが、トランプ米大統領によると、年間500億ドル(5兆4千億円)に達するという。

トランプ大統領は13日、「極めて大型の取引が実現した。合意には多くの構造改革と、農産物やエネルギー、工業製品の大規模購入などが含まれる」と指摘した。中国政府は13日記者会見し、「米中協議が合意に達するのは両国の利益に合致し、国際社会の期待に沿うものだ」と強調した。

トランプ氏が誇示する主張する年間500億ドルの対中農産物輸出が実現すればこれまでの最高だった2010年(260億ドル)の実績を大きく上回り、大豆やトウモロコシ価格が急落し苦境に立たされている米農家が息を吹き返す。

米中「部分合意」の背景となったのは、景気失速という両国共通の懸念だ。米国は製造業の景況感指数が10年ぶりの水準に悪化した。貿易不振で米製造業の業況がさらにダウンすれば、トランプ氏の再選シナリオが揺らぎかねない事情もあった。製造業の景況感指数は4カ月連続で節目の50を下回り「不況」に沈む。ウィスコンシン州など16年大統領選でトランプ氏が逆転勝利した激戦州では、直近1年間の製造業の雇用者数が純減に転じた。設備投資や輸出もマイナス基調が続く。国際通貨基金(IMF)によると、中国の成長率見通しは、19年が6.1%に下方修正。18年の6.6%から0.5%減速する。米国も、19年の成長率見通しは2.4%と18年の2.9%成長から0.5%も減速してしまう。

米大統領選を1年以内に控えるトランプ氏は「貿易戦争の終結は間近だ」と吹聴するが、焦りの裏返しではないかとの冷ややかな見方もある。一方で中国は産業補助金や国有企業問題での譲歩には慎重で、米大統領選も見透かし持久戦を展開する構え。今回の「休戦」により米中両国は貿易戦争の打開へ一歩踏み出したことになるが、米中問題は、世界経済の大きなリスクとして来年以降もくすぶるシナリオも否定できない。(八牧浩行)

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