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中国の学術人材養成は“氾濫”状態、日本を見習うべきポイントは―中国人専門家

配信日時:2019年12月11日(水) 5時50分
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21世紀教育研究院の熊丙奇副院長は、「人材プロジェクトは“称号付与”であってはならない」と題した文章で中国の人材養成計画の問題点を指摘した。写真は中国の学生。

21世紀教育研究院の熊丙奇(シオン・ビンチー)副院長は、「人材プロジェクトは“称号付与”であってはならない」と題した文章で中国の人材養成計画の問題点を指摘した。中国メディア・環球時報が9日付で掲載した。

中国政府は1998年以降、学術人材養成のために「長江学者奨励計画」を実施し、多くの学者に「長江学者」や「講座教授」といった称号を与えてきた。しかし熊氏は同計画について、称号が過度に重視され、人材養成という当初の目的から逸脱しているとの観点から「廃止すべき」との声が上がったことに言及。そういった意見に対し、中国教育部は今年9月に「同計画は国家のハイレベル人材養成に重要な役割を担っている」などとの声明を発表して反論したことを紹介した。

しかし、同氏によると、中国では国家レベルから地方レベルに至るまで、計40項目以上の人材養成計画が存在しており、ここ数年間の学術界はそれらが「氾濫するほど過度に」なっていることを注視している。どの項目も「人材に称号を与える」という点で共通しているため、大学の人材募集は近年「称号を持つ」人材を争奪するものへと変容し、学術研究はその「称号」を手にするためのものになっているという。

同氏はそれを踏まえ、「人材養成計画を取りやめてしまおうという意見は客観的に見てやや過激すぎるが、計画の本質が変えられてしまっているという問題は確かに注目を集めるべきだろう」と指摘した。

具体的に、「本来であれば、人材養成計画の創設は人材に資金援助をし、優れた学術研究環境を生み出したり学術研究を促進したりすることを目的とするはずだ。しかし、実施していく中で(養成計画の)対象に選ばれること自体が学者の名誉や功績とされてしまい、何人の対象者を輩出したかが各集団の成果とされてしまう。称号を手にしてからの学術研究にはそれほど関心が寄せられなくなっており、明らかに当初の目的から逸脱している」と論じた。

さらに、同氏によると、「長江学者奨励計画」では本人の称号に併せて報酬や待遇が決まるほか、奨励期間の終了後はその称号も取り消されてしまうため、多くの若い学者が困惑しているという。

同氏は、「世界には学者の研究を支援するプロジェクトが普遍的に存在しているが、カギとなるのは実施時に学術界からの評価を行うかどうかだ。(海外では)対象者の選抜などの際に、専門的な第三者機関が本人の学位や身分を考慮に入れずに評価を行う。大学院生でもノーベル賞受賞者でも、他の候補者と同様に扱われるのだ。プロジェクトの対象に選ばれた後も、援助を受けられること自体を功績と見なしたりはしない」と説明した。

さらに、日本政府が2001年の「科学技術基本計画」で「50年間に30人程度のノーベル賞受賞者を輩出する」との目標を掲げたことに言及。「それでも日本に『ノーベル賞計画学者』のような学者は生まれなかった。なぜなら、同計画は基礎研究への投資を拡大し、研究者らが十分な経費を受け取れるようにすることに重点を置いたものだったからだ」とした。

同氏は最後に、中国共産党中央弁公庁や国務院が昨年7月に、「人材に与えられる称号は、学術的かつ名誉ある性質に回復させられるべきである。同業者による評価を行い、世界のやり方を取り入れた上で、評価の透明性や客観性を確保しなければならない」との通知を行ったことを紹介。「これこそが評価のあるべき方向を示している。これを着実に実行する必要があるだろう」と結んだ。(翻訳・編集/岩谷)

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