中国系作家がSFの最高賞を受賞、小説の背景は日本文化―中国紙

Record China    2013年9月7日(土) 18時10分

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7日、中国系作家の劉宇昆氏が「もののあわれ」でヒューゴー賞(短編部門)を受賞したことが分かった。

2013年9月7日、新京報によると、米テキサス州で行われた第71回世界SF大会で1日、2013年のヒューゴー賞・ネビュラ賞受賞作品が発表された。中国系作家の劉宇昆(Ken Liu)氏が昨年「紙の動物園」(The Paper Menagerie)でヒューゴー賞・ネビュラ賞の短編小説部門で受賞したのに続き、今年も「もののあわれ」でヒューゴー賞(短編部門)の受賞を果たした。

■小説は日本文化を背景に

「もののあわれ」は地球滅亡後の25歳の若者、唯一生存した日本人が宇宙船に乗って新しい他の星へ行く物語だ。小説では彼の子供時代と、船に乗るのを待つ現在の彼との2つの時間軸が描かれている。

「もののあわれ」の主人公は数少ない日本文化の継承者だが、米国文化が主流の環境で生活しており、そのため周囲の様々な事柄に溶け込めずにいる。劉氏はここで文化の不平等の問題を深く論じている。小説の構造は複雑ではないが細やかな情感が描かれ、一種のセンチメンタルな情緒が描かれている。興味深いことに、劉氏の小説では漢字の表す意味についての興味が再三描かれている。昨年受賞した「紙の動物園」の最後は、中国語の「愛」という字を何遍も書いたが、「もののあわれ」では「この世界の構造は、まるで日本の漢字の『傘』のようだ…全ての部分が対称的ではない」と、日本の漢字についての描写で始まっている。

■作品3点がネビュラ賞にノミネート

「もののあわれ」は日本の伝統文学、詩、美学理論における重要な概念だ。劉氏によると、同作品のアイデアは同じく「もののあわれ」の文化を表現した日本のマンガ「横浜買い出し紀行」に啓発されたものだという。劉氏はかつてインタビューで、「もののあわれ」で追求しているのは一種の審美眼を中心とする創作で、避けることのできない万物の変遷への読者の感情を呼び起こし、「回想と過去との関連の重要さ」を理解して欲しいと望む、と語っている。

劉氏が初めてヒューゴー賞を受賞した際、劉慈欣(リウ・ズーシン)氏は作品について「東洋人の細やかな情感が欧米の読者に新鮮さを与えた」と評価している。劉氏の作品はここ数年、高く評価され、今年のネビュラ賞では3作品が中・長編部門、中篇部門、短編部門でそれぞれノミネートされたが、最終的な受賞にはいたらなかった。(提供/人民網日本語版・翻訳/YH・編集/TF)

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