中国の若者が転職先を決めないまま退職する理由は?―中国メディア

人民網日本語版    2019年12月5日(木) 13時40分

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中国のQ&Aサイト・知乎で「裸辞(転職先を決めぬまま退職すること)」と入力して検索すると、2000件以上の質問がヒットし、1万人以上がフォローしていた。資料写真。

中国のQ&Aサイト・知乎で「裸辞(転職先を決めぬまま退職すること)」と入力して検索すると、2000件以上の質問がヒットし、1万人以上がフォローしていた。なかでも、「『裸辞』をするって、どんな感じ?」という質問には、400人が回答し、閲覧回数は112万回を超えていた。工人日報が伝えた。

求人サイト・智聯招聘が発表している2019年中間期の在職者状況を分析した報告によると、在職者の90.4%が、「今年の上半期『裸辞』をしたいと思ったことがある」と答えた。そう思ったことがある人の割合は、70後(1970年代生まれ)と80後(1980年代生まれ)より、90後(1990-1994年生まれ)と95後(1995-1999年生まれ)のほうが高かった。「裸辞」をしたいと思った一番の原因は、「キャリアアップが見込めない」で、次に多かったのが「給料や待遇が悪い」だった。報告によると、2019年上半期、転職に成功したホワイトカラーは3割のみで、17%は転職して給料が下がっていた。

■「仕事がハードすぎる」も「楽すぎる」も「裸辞」の原因に

27歳女性の肖肖さんは、修士課程を卒業後、北京のある有名なIT企業に入社し、商品管理を担当するようになり、2年後にIT系ユニコーン企業に転職した。それから5カ月後、会社は996勤務(朝9時~夜9時×週6日)を強制していないものの、チーム全体が夜9時、10時まで働くという生活になっていることに気づいた。同僚が残業しているのに、「自分だけ8時ごろ帰ると、浮いてしまい、変な空気になる」という。

また業務量が多いだけでなく、社長も残業を奨励。例えば、新入社員が入ると、初出社の日は、会社の様子を知るために、夜9時ごろまで会社にいるよう指示していた。肖肖さんはそうしたことにどうしても納得できず、勤務状態が次第に悪化していき、週末以外の勤務時間中はまるでうつ病になってしまいそうな感じさえするようになってしまったのだという。

会社は順調に成長している上、仕事をコロコロ変えると自分のキャリアアップにも影響するのではないかと悩みはしたものの、いろいろと考え上司と話し合った結果、すっかり失望させられ、結局辞めることにしたという。「自分の業務内容や手配の仕方が合理的でないことなどを伝えた。でも、『すぐにそれら問題を解決することはできないので、もう少しがんばってみるように』というのが上司の答えで、絵に描いた餅ばかりだった。それで、もう辞めようと思った。その時、新入社員数人が辞めたいと考えていた」と肖肖さん。

肖肖さんと同じく、80後の劉援さんも、仕事が非常にハードで、残業時間も長いため「裸辞」することにした。2013年に大学を卒業し、大連のIT企業に入社した劉さんは、夜中の1-2時まで残業する毎日が続いた。「このままだと過労死すると思った。それで、迷うことなく、仕事より健康を選んだ。辞める時に迷いはなく、しばらくゆっくりしたいと思った。卒業したばかりの学生というものは憂慮するようなことも少ないし、それほど先のことまで考えていないと思う」と劉さん。

一方、郭鋭さんが「裸辞」することにした理由は、仕事がハードすぎるからではなく、なんと「楽すぎる」からだった。2016年に修士課程を修了した郭さんはフォーチュン・グローバル500に入る外資系企業に入社し、自動車企業の早期事業参画に携わるようになった。仕事の環境や待遇、福利厚生はどれもよく、制度も整っていたのだが、可能性も極めて限られていたという。そのため、「快適すぎて、ゆでガエルのような感じだった」と振り返り、「卒業したばかりの僕は、安定さを求めていたわけではない。たとえそのまま1、2年もすれば、出世して、給料が上がるとしても、『裸辞』することにしたと思う」とした。

■「裸辞」をして有意義に過ごす人もいれば、悶々とする人も

退職手続きを終えた日、肖肖さんは微信(WeChat)の仕事関連のグループチャット全てから脱退し、「その時、とてもすっきりした」と同時に、期待いっぱいでその会社に入社したため、少し落胆も感じたという。その後、6-7社の面接を受けたものの、仕事は見つからなかった。そして、仕事を見つけるのがそんなに難しいとは予想もしていなかった彼女はテンションを上げて仕事を探す気にはなれず、まだ経済的にも心配する必要もなかったため、しばらく休むことにし、ネコの世話をしたり、読書をしたり、料理を学んだり、旅行に行ったりと、「バケーション」を満喫した。「その間に、以前は毎月タクシー代にお金を使いすぎていたり、爆買いしてストレス解消したりと、無駄の多い生活をしていたことに気付いた。そして、自分は有名企業で働いているという肩書がほしいのか、それともスキルアップしたいのかと、考える期間にもなった」と肖肖さん。そして、気持ちの整理がついて今年8月に新しい会社に入社した。「大きな会社ではないが、同僚も上司もいい人ばかり。それに、私の考えも尊重してもらえる。生活のために働いているのだから、こうじゃないと」と話す。

最後に出社した日、郭さんは、仲の良かった同僚らにあいさつをすませ、その後、数回かけて友人らと会って食事をしてから、列車でチベット自治区ラサへの旅に向かった。初めて「裸辞」した郭さんは、「リフレッシュしたり、未知の世界を見たりしたかった。全ての世界が新鮮に感じて、とても楽しかった。仕事をしていた時の貯金が数万元(数十万円)あったから、経済的な心配もなかった」と話す。

雪山やゴビ砂漠など大自然を見た郭さんは、「高原の酸素が薄い感じが好き。いろんなことにチャレンジするのが生きていることの意義で、変化を恐れてはいけないと感じた」とし、旅行から帰ってから、すぐにコンサルティング会社の顧問の仕事を見つけた。ところが、予想と違って、会社は落ち着いて仕事ができる雰囲気ではなく、試用期間が終わる前に辞めてしまった。しかし「裸辞」はそれで2回目だったため、1回目ほど気楽ではなく、突然大きなプレッシャーを感じるようになった。

一方、「裸辞」から14カ月間もの間、無職だった劉さんは悶々とした日々を過ごしたという。「裸辞」してすぐの時は、解放された感じがして、毎日、食べたり、飲んだり、ぶらぶらしたりしていたという劉さんは「何日か勉強して公務員試験も受けた。そんなことをしているうちにあっという間に1年が過ぎてしまった」と話す。その後、これではいけないと気付いた劉さんは、「あまりに長い期間仕事をしていないと、何にもしたくなくなる。それに、だらだらするのが癖になってしまい、非常に悪い」と振り返る。

仕事を辞める前は、すぐに仕事が見つかると思っていた劉さんは、現実は厳しく、1年のブランクが原因で、面接を受けるのも難しくなっていることに気付き、自信を完全に失ってしまい、「自分は無能だ」と落ち込むようになったという。

そして、熟慮した結果、劉さんは実家のある山西省を離れて、北京に引っ越し、ITトレーニングクラスで勉強しながら、コツコツと仕事もし、さらなるステップアップの機会を探している。(提供/人民網日本語版・編集/KN)

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