日本の防衛装備輸出が部品とサブシステムの譲渡に方向転換、その戦略とは?―中国メディア

人民網日本語版    2019年11月26日(火) 21時0分

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18日、世界最大級の防衛・安全保障設備の博覧会「DSEI Japan」が初めて日本で開催され、三菱重工や川崎重工をはじめとする防衛産業大手を含む日本企業約50社と海外企業100社が出展した。資料写真。

11月18日、世界最大級の防衛・安全保障設備の博覧会「DSEI Japan」が初めて日本で開催され、三菱重工や川崎重工をはじめとする防衛産業大手を含む日本企業約50社と海外企業100社が出展した。日本はこれを機に日本の軍事企業にビジネスチャンスをより多く提供し、日本の軍事製品の国際的競争力を高めようとしている。(文:束必銓・上海社会科学院国際問題研究所補助研究員。「文滙報」に掲載)

英軍事・軍需産業情報週刊誌「ジェーンズ・ディフェンス・ウィークリー」の最近の報道では、「日本の防衛装備庁は部品とサブシステムの譲渡を通じた日本の防衛装備輸出の展開に力を入れており、今後は重要な武器プラットフォームの販売達成に向けて努力することになる」と伝えた。同庁はこれについて、「部品の販売を通じて今後の完成品販売のためのノウハウを蓄積する」としている。

2014年4月、日本は「防衛装備移転三原則」を閣議決定し、47年間続いた「武器輸出三原則」に代え、日本製の武器、関連部品、製造設備、関連技術の輸出制限を大幅に緩和するとともに、日本と他国との国際研究開発や生産協力の実施範囲を拡大した。15年10月には防衛省が「技術研究本部」と「装備施設本部」を統合して防衛設備庁を設置。日本の防衛装備の開発、調達、廃棄、輸出について統一的管理を行うとともに、防衛装備品の購入コストを引き下げ、さらに日本の武器輸出を加速的に推進することを主な職責としている。

ここ数年、日本は防衛産業の運営メカニズムを改善することで、軍事を民間に任せる生産体制の優位性を発揮し、自国の防衛産業の競争力を強化し、武器装備の輸出を促進しようとしてきた。具体的には主に次の3つの戦略によって防衛装備と技術の輸出を推進する。

1つ目の戦略は、国際協力の名の下により多くの国との間で防衛装備・技術協力関係を構築することだ。これまで防衛装備・技術協力では、同盟国の米国以外にも、英国、フランス、ドイツ、イタリア、オーストラリア、インド、ASEANの主要国との間で、「防衛装備品・技術移転協定」に調印したか調印することで一致した。日本は今後、装備・技術の共同開発や共同生産において、安全保障・防衛協力と技術交流を進め、「物品役務相互提供協定」(ACSA)を実施し、災害支援、輸送、監視、地雷除去などの分野に向けて防衛装備・技術の対外輸出を実現し、日本と他国との安全保障協力関係をレベルアップするとしている。

2つ目の戦略は、自国の軍事企業を積極的に組織して国際防衛装備展示会に参加したり、自国のトップレベル防衛装備・技術の普及拡大を図ったりすることだ。18年を例にすると、フランス国防省が開催する防衛装備展示会「ユーロサトリ」、米国の米陸軍協会(AUSA)が毎年行う展示会、インドネシア国防省が主催する「国際安全保障・防衛展示会」、ドイツで行われた「ベルリン国際航空宇宙ショー」などに参加している。また、日本は15年と17年に海上防衛関連の展示会も開催し、東南アジア市場と南アジア市場に照準を定めた。18年には東京で「国際航空宇宙展」を開催。19年11月には世界最大の総合武器見本市「DSEI Japan」を初めて開催した。日本の軍事企業は国際軍需市場でますます活発な動きをみせており、その中で日本の製造業の極めて高い技術力を示し、日本の先進的な軍事装備・技術を他国に売り込もうとしている。

3つ目の戦略は、輸出市場を拡大するために、信用保証や政府開発援助(ODA)プロジェクトを採用し、他国に自衛隊の軍事装備を輸出し、国家間の軍事製品貿易発展の意欲を増強していることだ。また、日本は「政府開発援助大綱」を改訂し、日本から他国の軍隊への災害救助などに利用される非軍事目的での支援を認め、支援受け入れ国の能力建設を向上させるとともに、安全保障関連分野における切れ目のない支援を実現した。ODA実施の重点が経済ニーズから安全保障ニーズに転換した。

しかし数々の努力にもかかわらず、過去5年間の日本の防衛装備輸出は成功したとはいえない。19年までに、日本は少なくとも10件近い輸出交渉を行ったが、そうりゅう型潜水艦、新明和工業の水陸両用飛行艇「US-2」、川崎重工の輸送機「C-2」と哨戒機「P-1」など防衛装備品の輸出では、ゼロからのスタートを達成できておらず、日本の当初の戦略構想とは大きなずれがある。日本の防衛装備の性能の優位性には魅力があるが、武器輸出を後押しするには至らず、日本の防衛産業発展の国際化、大規模化、高効率化も実現できていない。

日本の防衛装備の対外販売がうまくいかなかった原因は多方面に及ぶ。たとえば日本の軍事企業の市場での経験不足、国際軍事市場の競争の激しさ、日本の武器装備の価格が高すぎること、対象国の実際の要求に合わせられないことなどがあるが、だからといって日本の防衛装備が市場を獲得できないと考えてはならない。前述した日本の戦略の関連措置が推進され、国際市場でのノウハウが蓄積されるにつれ、特に輸出対象国の実際の要求を満たすような調整などが行われるにつれ、日本が防衛装備を受注するのはもう時間の問題だといえる。

防衛装備の完成品に比べ、日本は材料、電子部品、測量機器、イメージセンサー、炭素繊維などの部品分野でより高い技術的優位性を備える。過去には、日本企業が米軍事製品メーカー・レイセオンの長距離地対空ミサイル「パトリオット2」と弾道弾迎撃ミサイル「RIM-161スタンダード・ミサイル3」、米航空機・宇宙船開発製造会社ロッキード・マーティンの艦載武器システム「イージスシステム」などにかかわり、高い科学技術力を備えた軍事関連部品を提供した。日本にとってみれば、これからますます多くの国が大型の新兵器システムを共同開発するようになるのにともない、日本軍事企業は部品分野での技術的優位性をよりどころとしてより多くのチャンスを獲得できるようになるとみられる。同時に、共同開発を通じた技術協力の中で、日本のコスト的劣位性が引き下げられ、技術的優位性が引き上げられ、ひいては日本の防衛装備・技術の輸出をより多く実現できるようになると予想される。(提供/人民網日本語版・編集/KS)

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