ダブル11に何か買わないと「損」?

人民網日本語版    2019年11月14日(木) 14時10分

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「ダブル11」を前に、多くの人が徹夜で淘宝のキャンペーンの複雑なルールを分析したり、どの商品がお得かを調べたりした。ダブル11で安くなっている時に買っておかないと、後になると元の値段に戻るので損をしてしまうと感じているようだ。

「ダブル11」を前に、多くの人が徹夜で淘宝のキャンペーンの複雑なルールを分析したり、どの商品がお得かを調べたりした。ダブル11で安くなっている時に買っておかないと、後になると元の値段に戻るので損をしてしまうと感じているようだ。

では、なぜ安い時に買わないと損をすると感じるのだろうか?それは、人には「損失を回避したい」という心理が働くからだ。経済学者のダニエル・カーネマンは「損失回避」という理論を展開し、人間は利得よりも損失のほうが強く感じると指摘した。

人は「損失を回避したい」と感じ、利得よりも損失に遥かに敏感になる。ダニエル・カーネマンの研究では、1000円得した時の喜びと、1000円損した時の悲しみを比べると、後者のほうが2倍大きいことが実証されている。

「ダブル11」で何か買わないと「損する」と感じるのも同じことだ。実際には、人は「いくら安いか」を気にしているのではなく、「損してしまう」ことを気にしているのだ。「この機会を逃せば元の値段で買わなければならなくなる」と考えて、「損失感」が生まれ、損失を出して悲しい気持ちになるのを避けるために、普段は使わず埃をかぶっている電卓を取り出してきて、キャンペーンの複雑なルールを計算するのだ。

業者も人の心理をよく理解している。多くのECプラットフォームは、「損失回避性」を逆にうまく利用してビジネスを展開している。例えば、お金を払う時に生まれる苦痛を減らそうとしている。高額商品を購入する時、毎回財布やカバンから現金を出さなければならないとすれば、多くのショップの売上高は大幅に減少するだろう。そこで、「分割払い」を導入し、「高額商品」を「少額」に変え、それを何回かに分けて払うことで、お金を払う時の苦痛を大幅に軽減している。それにより、消費者は「買いたい」という気持ちを抑えられなくなる。

「ダブル11で安くなっている時に買わなければ損する」という心理自体は正常だが、それに踊らされて商品をたくさん買ってしまうとすれば、それは理性的な行為とは言えないだろう。

商品の品質だけを考えるのであれば、おそらく高いバスケットシューズのエアジョーダンを買うこともなければ、わざわざ口紅のディオール999を探してそれを買うこともないだろう。しかし、消費が継続的に高度化している現代社会において、多くの人は買い物をする時、商品の実用性以外に、商品の象徴的価値を気にするものだ。

人は商品の象徴的価値に目を向けると、衝動的に商品を購入するようになる。もし、商品の実用性を求めて購入するなら、衝動的に何かを購入するということはないだろう。衝動買いする場合の多くは、その象徴的価値に目を向け、その商品を購入することで自分の個性や社会的地位をアピールし、そこから喜びを得ようとしたり、自信を高めようとしたりするからだ。

Ditterが提起した社会構築理論では、衝動的消費は消費者のセルフイメージ(self-image)を反映している。

「大人の世界」は複雑で、「人生はなぜこんなにたいへんなのだろう」と感じる時は、自己不一致(self-discrepancy)、つまり現実的な自己(actual self)と理想的な自己(ideal self)の間に差があり、理想の状態に達していないからであるということが多い。自己不一致の状態に陥ると、人は自尊心が低下したり、気落ちしたり、憂鬱になったり、イライラしたり、恥ずかしい気持ちになったりと、ネガティブな感情を抱く。そして、そのような時には、何かで自分の心を補充し、自己一致(self-consistency)に達しようとする。その補充の方法は、運動であったり、暴飲暴食であったり、人によっては衝動買いだったりする。無制限に買い物をすることによって、そのような人は自己概念が満たされ、自分の社会的地位も確保できたと考え、気持ちが落ち着き、一時的に自己一致の状態を保つことができる。

ただ残念ながら、現実の状況からすると、衝動買いというのは決して良い「補充」の方法ではない。なぜなら、ほとんどの人は衝動買いをした後に、罪悪感のようなネガティブな気持ちになるからだ。そうなると、自己一致性がまた崩れ、悪循環に陥ってしまう。

快感を得ることができるものなら、人は何でも病みつきになってしまうもので、衝動買いも例外ではない。しかし、それらの商品を持っているから、または使っているから「病みつき」になるというわけではなく、ひたすら買い物をしたいという気持ちを抑えずに解放した時の「快感」が病みつきになっていることを忘れてはいけない。もし、周期的に衝動買いを繰り返し、衝動買いした後は罪悪感に襲われるものの、しばらくすると自分の気持ちを抑えられずにまたやってしまうという状況なら、買い物依存症(compulsive buying)を患っている可能性さえある。買い物依存症は、1980年の「精神障害診断と統計マニュアル・DSM-III」に列挙されていたが、1994年のDSM-IVには列挙されていなかった。しかし、ICD-10(国際疾病分類)は、買い物依存症を強迫性障害に分類している。つまり、買い物依存症は「強迫性障害」なのだ。

「ダブル11」に、業者が販売促進キャンペーンや割引を実施し、多くの人が衝動買いをした。しかし、その「一時的な衝動」は、人の心理的バランスが崩れており、自制心に欠けていることを示している。そして、自尊心の低下、うつ病のリスクの上昇などにつながり、長期的に衝動買いをしていると、「買い物依存症」になってしまう可能性もある。(編集KN)

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