<羅針盤>ラグビーW杯の日本の快挙は「国際・多様性」尊重の成果=企業経営にも有効―立石信雄オムロン元会長

配信日時:2019年11月10日(日) 6時20分
ラグビーW杯の日本の快挙は「多様性」尊重の成果=企業経営にも有効
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この秋日本各地で開催されたラグビー・ワールドカップ(W杯)は大きな盛り上がりを見せた。日本代表チームが予選を全勝し、8強入りを果たした。日本がラグビー強国の一角を占めたのは選手、スタッフらの努力の賜物だ。
この秋日本各地で開催されたラグビー・ワールドカップ(W杯)は大きな盛り上がりを見せ、筆者も楽しませていただいた。日本代表チームが予選を4戦全勝し、8強入りを果たしたことに誇らしい思いを抱いた。日本がラグビー強国の一角を占めたのは選手、スタッフらの努力の賜物。快挙に拍手を送るとともにさらなる飛躍を期待したい。

W杯は出場選手に国籍要件を求めない。日本代表は日本人、日本国籍を持つ海外出身者、外国籍の者の混成チームだった。この多様性や国際性がはぐくんだ健全なナショナリズムもまた、8強入りを支えたと言っていいだろう。そこには、日本企業がさらに発展するためのカギが潜んでいると思う。

もう一つ、ラグビーを通じて浮かび上がったのは、企業スポーツの在り方である。日本代表チームメンバーは企業ラグビーの最高峰「トップリーグ」に属しており、覇を競っている。

筆者がオムロンのハンドボール部オーナーを務めていた時、ハンドボール日本リーグ開催地責任者会議で講演する機会があり、企業がスポーツチームを持つ意義などについて話したことがある。

企業がスポーツチームを持つ目的は、従業員の一体感の醸成、士気高揚、企業PR、社会貢献など様々だが、近年、企業チームの休・廃部が増えている。企業スポーツの休・廃部の背景を探ると、経営環境の悪化に加えて、(1)福利厚生・社内求心力、士気高揚など「企業スポーツが従来持っていた位置付け」の変化、(2)チームを持つことによるメリット(広告宣伝効果)の希薄化などが要因として挙げられる。
 
他方、わが国のトップレベルの競技者の多くは、企業のスポーツチームに所属し活動を行っており、オリンピックで入賞した日本選手のうち、企業スポーツ選手の入賞者が全体の大半を占めている。企業は、多くのトップレベル競技者の生活を支援するとともに安定した練習環境を与えるなど、わが国の競技スポーツの振興・レベルアップに大きく貢献してきた。企業のスポーツチームが休部や廃部に追い込まれ、優秀な競技者の活動基盤が失われつつあることは憂慮すべき事態である。

スポーツチームを何のために持つのか、企業は改めてチームの存在意義と使命を考えるべきで、できるだけ継続の努力をしてもらいたいものである。スポーツ支援を企業市民の実践における地域貢献の一つと位置付け、地域の子供たちの指導にも手を貸すなど社会貢献活動を行う必要がある。

例えば、当社ハンドボール部ではハンドボールの楽しさや奥深さを知ってもらい、競技人口を増やしていこうと、小・中・高校生を対象に地道な指導・交流会を年間200回以上行っている。特に、チームを置いている地元の熊本県山鹿市では市教育委員会とタイアップし、小学校の授業の一環として巡回指導を行っている。子どもたちにとっては、ハンドボールについての理解が深まるだけでなく、日本のトップレベルの選手と交流できる貴重な機会となっている。

これからの企業スポーツは、地域や社会に対する視点を持って活動していくことが重要で、ラグビー日本代表チームのような「国際性」「多様性」をバックボーンに据えることが大切であると思う。
<羅針盤篇48>



■筆者プロフィール:立石信雄
1959年立石電機販売に入社。1965年立石電機(現オムロン株式会社)取締役。1995年代表取締役会長。2003年相談役。 日本経団連・国際労働委員長、海外事業活動関連協議会(CBCC)会長など歴任。SAM「The Taylor Key Award」受賞。同志社大名誉文化博士。中国・北京大、南開大、上海交通大、復旦大などの顧問教授や顧問を務めている。SAM(日本経営近代化協会)名誉会長。エッセイスト。
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