中国で有料自習室が人気 若者には「他律的」自己管理が必要?

人民網日本語版    2019年11月7日(木) 12時30分

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おやつやドリンクが無料で、静かで、周りは勉強している人ばかり。そんな有料自習室が中国で静かなブームとなっており、読書や勉強のためにそこへ足を運ぶという人が増えている。

おやつやドリンクが無料で、静かで、周りは勉強している人ばかり。そんな有料自習室が中国で静かなブームとなっており、読書や勉強のためにそこへ足を運ぶという人が増えている。そして、一部の人々の学習スタイルを変えている。

ネットの検索ランキングに最近、「有料自習室の料金は1日最低28元(1元は約15.5円)から」がランク入りし、有料自習室に対する賛否両論が寄せられた。賛成の人は「勉強の効率が上がる」との見方を示すのに対して、反対の人は「料金が高すぎる」と指摘する。あなたは勉強できる雰囲気のためにお金を払うタイプだろうか?

将来に不安を抱く若者には「他律的」な自己管理が必要?

北京の張君怡さんは今、「持久戦」に入っている。試験準備のため、彼女は毎日自習室に行って勉強に励んでおり、夕飯の時間まで1日中にそこにいる日もあるという。「家で勉強するより、自習室のほうが集中できる」と張さんは言う。

ここ数カ月、北京や西安、大連などの都市で、新しい有料自習室が続々とオープンしている。その背後には、外部的要因もあれば内部的要因もある。「斯是陋室自習室」の創業者である李宸さん(仮名)は、「今の若者は常に不安を感じており、人生の段階ごとに自分の価値を疑う時期が訪れる。そのような時、若者たちは自分を高めるために、読書をしたり、何か資格を取ったりしようとする。そうすることで自分は進歩していると感じることができ、不安が和らぐのだ」と分析する。

公共資源には限りがあるため、「自習室」に対するニーズが生まれている。受験生にとっては、図書館は席を確保するのが難しく、学校の自習室ではスマホなどの充電をする環境がないというのが悩みだ。また、社会人にとっては、大学の自習室などは一般開放されていないケースがほとんどで、国立図書館などのような公共資源を利用するというのも難しい。その他、消費が高度化し、人々の学習環境に対する要求もますます高くなっている。こうした状況が背景となって、環境の良い有料自習室が登場したのである。

有料自習室の利用者は社会に出て間もないホワイトカラーや大学生が中心で、年齢は20‐35歳が多い。今年7月に開業した「自在読書館」の創業者・張楽楽さんによると、季節によって自習室を利用する人の層も変わる。例えば、夏休み期間中は、周辺の教育関連機関に通う高校生が80%を占め、夏休みが終わると大学生や社会人が増えるという。

北京にある有料自習室を数カ所取材してみると、ほとんどの自習室には机と椅子のほか、スタンドライト、コンセント、加湿器、空気清浄機などが完備されており、中にはそれらの設備・備品が客一人ずつに用意されている自習室もあった。また、一部の自習室はプリンターやおやつ、ドリンク、ブランケットなど各種学習用品や生活用品を無料で提供していた。その他、一部の自習室は学習エリアと交流エリアが分けられており、交流エリアにはソファーやマッサージチェアが設置されていた。中には自習室でネコを飼い、疲れたらネコと遊んで息抜きができるところもあった。

自習室で勉強する人のほとんどは、一生懸命勉強したいと思っているものの、セルフコントロール能力に欠けている。でも自習室なら、他の人と「一緒に頑張っている」という気持ちになることができ、「他律的」に自己管理し、勉強の効率を上げようとしている。

張君怡さんは、「家より自習室で勉強したほうがずっとはかどる」と話す。ほとんどの利用者も、お金を払ったほうが勉強の効率が上がると感じている。あるネットユーザーは、「有料自習室の料金は1日最低28元から」というスレッドに、「お金を払うと、勉強しなければ損だと感じる」、「お金を払うと時間を大事に使おうとする」などの声を寄せている。

「手っ取り早く儲かる商売ではない」

しかし、「自習室は机と椅子を並べているだけなのに、なぜあんなに料金が高いのか?」、「有料自習室のビジネススタイルには持続的に発展できる可能性があるのか?」など、懐疑的な見方を示す人も多い。

有料自習室を開くために必要な資金は、数万元から数百万元までさまざまだ。ほとんどの有料自習室の料金体系は、回数カード、1カ月有効カード、3カ月有効カードの3種類を設定している。最短で30分単位で利用できるところもある。北京の有料自習室の営業時間は午前8時半から夜11時までで、時間単位の利用なら1時間12元、1日単位の利用なら60‐80元、1カ月カードなら980‐1500元、3カ月カードなら2400‐3120元となっている。1カ月カードや3カ月カードのほうが割安ではあるものの、ほとんどの人は回数カードを利用しているようだ。有料自習室スタッフの■さん(女性、■は口へんに苗)は、「自習室の利用者の80%は学生。社会人の割合は20%であるものの、売上に対する貢献度は50%になる。社会人は1カ月カードや3カ月カードを買う人が多い。社会人は仕事が終わってから『充電したい』という気持ちが強いというのが理由の一つ。もう一つは、学生にはそんなに経済力がないというのも原因だろう」と分析する。

前出の「斯是陋室自習室」創業者の李さんは、「当店の日中の稼働率は40%。でも夜になると80%になる。稼働率が55%以上になれば、家賃や光熱費など変動原価分が賄える。1日の稼働率が70%になれば、3年で投資を回収できる」と説明する。

■さんは、「有料自習室は手っ取り早く儲かるような業界ではない。当店には105座席あるが、毎月の変動原価分だけ稼ぐには、稼働率が25‐30%でなければならない。今の稼働率は最高で50%。投資した120万元を短期間で回収するのは至難の業だが、それは想定内だ」とし、「ここ数年、有料自習室が突然人気になった。でも、ある意味では、それはいいことだとは限らない。ホットマネーが流れ込む業界だと勘違いされやすいからだ」と語る。

李さんは、「単に勉強の場所を提供するだけでは、自習室が大きく発展することはないだろう。座席に限りがあり、利用できる層も限られているため、長期的な視点で見ると有料自習室が出せる利益には限りがある。自習室は家賃や光熱費などの固定費が高いし、市場を開拓するにも時間がかかる」との見方を示した。(編集KN)

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