ソフトバンクが米WeWork支援に80億ドル シェアオフィスとソフトバンクの神話同時崩壊

人民網日本語版    2019年10月28日(月) 19時40分

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「史上最も多くの血が流れた投資」、「孫正義の過去最大の失敗となった投資」、「底なしの穴のような投資」……これらはすべて米ウィーワーク(WeWork)社への評価だ。

「史上最も多くの血が流れた投資」、「孫正義の過去最大の失敗となった投資」、「底なしの穴のような投資」……これらはすべて米ウィーワーク(WeWork)社への評価だ。ウィーワークは本社をニューヨークのソーシャル・イノベーション・プラットフォームに置き、シェアオフィス企業の元祖と呼ばれてきた。「北京日報」が伝えた。

新規株式公開(IPO)の延期、リストラ、創業者のスキャンダルなど数々の混乱が次々起こり、ウィーワークは23日、ついに一区切りの時を迎えた。日本のソフトバンクグループが接収管理し、総額80億ドル(1ドルは約108.6円)のワンパッケージの新規融資を提供することになった。ストーリーや情感では高い企業価値を維持出来なくなったとき、すべての企業にとって収益力が「試金石」になる。

熱狂的な拡張を続け シェアオフィスの流れは逆転した

「高層ビルが建ち上がった」から「ビルが倒壊した」まで、シェアオフィスの元祖とされる同社の流れが逆転したのは、ここ半年間ほどのことだ。

2010年設立のウィーワークは、初期の位置づけは主に企業家、フリーで働く人、小規模企業などに柔軟なオフィス空間を提供する会社というものだった。17年には、創業者のアダム・ニューマン氏が孫正義氏に会った。その後のメディアの報道によると、両者が最初に会った時の様子はこうだ。「孫正義氏はビジョン・ファンドで集めた資金1千億ドルを握りしめ、ニューマン氏に告げた。戦いにおいては、熱狂が聡明よりも大切だ。ウィーワークには熱狂が足りない、と」。

これを契機に、ソフトバンクはウィーワークへ現金という「弾薬」を提供するようになり、ウィーワークは事業拡張の旅を始めた。17年から19年にかけて、ウィーワークのワークステーションは21万4千カ所から60万4千カ所に増え、カバーする国・地域は32カ国・地域に広がった。

熱狂的な拡張が、資本市場の「神話」を創り出した。今年1月、ウィーワークの時価総額は一時470億ドルに達した、ニューマン氏は企業を率いIPOに向かって突進し始めた。しかしストーリーと情感だけでは食べていけないし、損失の事実を覆い隠すこともできない。

上場にあたっての説明書によると、16年から18年に至る間に、ウィーワークの営業収入は4億3600万ドルから18億2100万ドルに増えたが、同時に、損失額も4億2900万ドルから19億2700万ドルに拡大した。19年上半期の純損失は9億ドルに達し、前年同期比25%増加した。

巨額の赤字に直面して、投資家は「足による投票」(自分にとって好ましい選択)をするようになり、今年9月になると、ウィーワークの時価総額は80億ドル以下に暴落し、最大時の2割以下になってしまった。メディアの中には、「ウォール街の救急病院で病状が最も深刻な患者」などと形容するところもある始末だ。

統計によると、17年以降、ソフトバンクは傘下のビジョンファンドやその他の投資ツールを通じて、ウィーワークに累計106億5千万ドルの資金を投入した。ソフトバンクの投入した資金を考えると、ウィーワークが150億ドル以上の見積価格で売却されるか上場するかしなければ、ソフトバンクの買収が成功するとは言えない。

収益のテスト 中国の「生徒」も脱出口を模索

買収後のウィーワークは急速に危機を脱出できるだろうか。今はまだ答を出せる人はいない。しかし確実に言えるのは、現在のウィーワークにとって80億ドルは焼け石に水に過ぎないということだ。統計によれば、最初に約束した今後数年間分のオフィスビルの家賃だけで総額470億ドルになるからだ。

米モルガン・スタンレーの首席株式ストラテジストは投資家への報告書の中で、「ウィーワークのIPOの失敗は1つの時代の終わりを象徴している。——『たとえ企業が収益を上げられなくても巨額の市場価値を達成することはできる』時代が終わりを告げた」と指摘した。

実際、ウィーワークだけでなく、収益は中国のシェアオフィスブランドが直面するハードルでもある。シェアリングエコノミー(共有経済)という重点投資分野にともない、17年から中国のシェアオフィスは熱狂的拡張期に入り、特に18年の拡張ぶりはすさまじかった。米不動産サービスのCBREの研究データによれば、18年には中華圏オフィスビル市場におけるシェアオフィスの延床面積が約50万平方メートル増加し、17年の3倍に達した。

無計画な拡張の動きの中、閉店、賃貸契約解消、リストラ、給料遅配などの悪いニュースが次々伝わり、賃料の差額を主な収益源としてきた「又貸しモデル」に疑問の声が上がり始めている。

カナダの不動産サービス会社コリアーズ・インターナショナルの華北エリアの厳区海取締役社長は取材に答える中で、「客観的にみれば、シェアオフィスはオフィス市場における新興の、興味深い、重要な構成要素であり、一部の企業の賃貸ニーズに確実に応えてきた。北京の場合、過去3四半期には、望京や中関村のようなハイエク企業と新興経済の集まるエリアでは、シェアオフィス市場はなかなか好調で、シェアオフィス空間はどこも借り手がついている状況だった。ただ、シェアオフィスは当初多くの運営会社が宣伝していたように、従来のオフィスモデルを徹底的にひっくり返すことができるものなのだろうか。少なくとも現在の状況をみると、そうはなっていない」との見方を示した。(編集KS)

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