南シナ海「九段線」登場の米中合作アニメ映画、ベトナム、フィリピン、マレーシアで上映中止に

Record China    2019年10月25日(金) 22時0分

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南シナ海で中国が領有権を主張する「九段線」。これが描かれている米中合作のアニメ映画がベトナム、フィリピン、マレーシアで上映中止となった。九段線が自国の領域に重なるとして、中国の主張に異を唱えているためだ。

米中合作のアニメ映画「アボミナブル」が東南アジアで物議を醸している。南シナ海で中国が領有権を主張する「九段線」が描かれているためだ。九段線が自国の領域に重なるとして、中国の主張に異を唱えるベトナム、フィリピン、マレーシアでは上映が中止となった。

米CNNなどによると、アニメは伝説の雪男「イエティ」をヒマラヤ山脈に帰すため、中国人少女が国内を横断する旅に出るという内容。米ドリームワークス・アニメーションと上海に拠点を置く東方夢工廠(パール・スタジオ)が共同で制作を手掛けた。

映画の冒頭近く主人公の少女は屋根にあるイエティの隠れ場所に行き、中国の地図を広げる。地図上には中国南岸を起点に南シナ海のほぼ全域を取り囲むU字形の破線が描かれているのがはっきり見える。

ベトナムでは今月4日に公開されたが、国営メディアはその直後、観客から苦情が寄せられたと報道。ベトナム最大の映画館チェーン「CGVシネマズ」は声明で、問題の地図の描写については今月13日に初めて把握したと釈明し、直ちにすべての上映と広告を中止した。さらに公開時に不注意があったとして、ベトナムの観客に謝罪するとともに、規制当局の指示を順守する方針を示した。

フィリピンの英字紙インクワイアラー(電子版)などによると、映画やテレビ番組の内容を審査する比当局は「アボミナブル」の国内での上映を禁じた。同国のロクシン外相はツイッターで、地図のシーンはカットされるべきだとし、公開中止よりもドリームワークスの作品をボイコットすべきだと呼び掛けた。

ロイター通信によると、11月7日に公開が予定されていたマレーシアでは地図が登場するシーンを削除することが条件だった。しかし、ドリームワークスが削除を拒んだため、マレーシア当局は公開中止を決定したという。

九段線をめぐっては2013年1月、フィリピンのアキノ政権(当時)が国連海洋法条約に違反するとして、オランダ・ハーグの常設仲裁裁判所に提訴。同裁判所は16年7月、中国側の主張を認めず、法的根拠はないとの判断を示した。

これに対し、中国はこの判断の受け入れを拒否。その後も実効支配する南シナ海の島などで軍事拠点化を進めている。中国の魏鳳和国防相は21日に北京で講演した際も「釣魚島(日本名・尖閣諸島)と南シナ海の島しょ部について「中国の固有の領土であり、祖先が残してくれた土地だ。一寸たりとも失うわけにはいかない」と述べ、領有権主張では譲歩しない姿勢を改めて強調した。(編集/日向)

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