文化的な要素でナイトタイムエコノミーがトレンディに

人民網日本語版    2019年10月23日(水) 21時40分

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昼間は仕事をするだけ、仕事が終わるとやっと生活を楽しめる。ここ数年、夜の消費やナイトタイムエコノミーといった現象が注目を集めている。写真は中国のレストラン。

昼間は仕事をするだけ、仕事が終わるとやっと生活を楽しめる。ここ数年、夜の消費やナイトタイムエコノミーといった現象が注目を集めている。北京市統計局がこのほど発表した「2019年北京市夜間消費調査報告」によれば、ナイトタイムエコノミーに対して、40歳以下の層は特に強い魅力を感じるという。「中国青年報」が伝えた。

実店舗書店は夜の文化消費の重要な一環だが、ECの打撃を受け、家賃、水道料金、光熱費、人件費の高騰に苦しんで多くがつぶれていった。そんな中、三聯稲奮書店はネットで人気の書店になった。持続可能な運営をどのように実現するかがかねてよりの課題で、一方で家賃の免除といった政策によるバックアップは欠かせず、また一方で書店自身で活路を見いだし、「造血能力」を高めることも必要だという。

クリエイティブグッズは書店が生き残るための脱出口の一つだ。同書店の夜間消費では、クリエイティブグッズの売上高が増加を続け、書籍の売上高と伯仲するまでになった。同書店の主要消費層は若い人で、個性的で目新しい商品を好み、クリエイティブグッズにお金を使いたいと考えている。

音楽は夜の人の流れを引き入れる重要ツールだ。ストリートミュージシャンがいれば、人はそこに集まる。畢■(王へんに深のつくり)さんと彼のバンドは五棵松で副業として活動するストリートミュージシャンで、1年あまり路上で歌ってきた。1回のパフォーマンスで5時間は歌う。畢さんによると、「夜になると人の流れがどんどん大きくなる。最初に歌った時はお客さんは一晩で20人くらいだったが、今は300人になる時もあるし、もっと多い時もある。今年の中秋節(旧暦8月15日、今年は9月13日)連休期間には、五棵松を3回もぐるぐる回ったけれど、車を止める場所が見つからなかった」という。

ストリートミュージシャンはみなステージ部分の前にチップ受け取りコードを提示し、聴衆はQRコードを通じてチップを贈る。畢さんによると、「平日は一晩の収入が300元(1元は約15.4円)ほど、週末は400-800元になる。自分たちは収入が多いミュージシャンではない。今までで一番稼ぎが多かったのは7月6日で1千元以上稼いだ」という。

夜が更けると、ストリートミュージシャンの歌声はやむが、林君堯さんのような画家の筆は動き続ける。林さんは元々書店でアートエンジニアとして働いていたアーティストで、退職してから8年になる。作品の値段は仕上がり具合によって異なり、1点は35元から400元で、月収は1万元を超えるという。

夜は心が最も癒やしを必要とする時間だ。

「お手軽タロット占い」はタロットカード占いの形式で行う心理コンサルティングサービスで、相談者の話をじっくり聞くことと相談者が自分の気持ちを語ること、実際に対面でコミュニケーションをはかることの重要性を強調する。創業者の周▼(王へんに碌のつくり)嶢さんは、「これまで、いろいろな場所で店を立ち上げてきたが、営業時間がばらばらで、人の流れも安定していなかったので、店を続けることができなかった。五棵松は人の流れが多く安定しており、環境もよいので、ここにスタジオを作ることにした。これまでは屋台を並べるような感覚だったが、今では自分たちの本拠地を築いた」と述べた。

しかし心に関わる仕事はなかなか人に理解されないし受け入れられない。排除しようとする人、恐怖感を抱く人もいる。周さんは、「タロットカードの神秘の衣は、心理コンサルティングに対する人々の警戒心を解くことができる。うちに来るお客様は30歳前後の若い人が中心で、相談のピークは午後7-11時。閉店しても並んでいる人がいる時もある。うちのスタッフの一日あたり平均収入は大体800-1千元で、多い時は3千元に達する」と述べた。

周さんは続けて、「うちのお客様は生活の中で思うようにいかないことがある人たちだ。他人から理解されず、その気持ちを話す場所もなく、どの方向に向かうか、問題のカギは何かがわからない。女性は感情に関する相談事が多く、男性は仕事や資産について相談することが多い。注目されるのは、17歳前後の留学生や芸術系大学の受験生が勉強の相談をするためにやって来ることだ。ここには、こうした若者たちが現在や未来、自分と両親との関係に対して抱く不安が映し出されている。タロットとビジネスムードの心理コンサルティングでは、なかなか深いところまでいかないが、相談者の話をじっくり聞き、相談者が自分の気持ちを語る場面を作ることで、気持ちを整理する手伝いができるし、心の問題に対する治療効果もある程度期待できる」と述べた。

同じような治療効果がある場所に24時間営業の書店がある。北京のインターネット産業で働くシーン・ウォンさんは三聯書店の常連で、眠れない夜は書店に行って静かに本を読む。書店の雰囲気が心にかかる圧力を和らげる手伝いをしてくれ、解決できない問題に直面した時も、書店で解決の道を探る。「本の中からインスピレーションを受けて、自分をどうでもいい問題から救い出す必要がある」という。

書店は都市の文化的ランドマークであるだけでなく、よそ者にとってはひとときの休憩所にもなる。張越さんは、「ある天気が悪い日の朝、ホームレスが本屋で休憩するところにたまには出くわすことがある。それから1年あまりの間、東西南北からやって来たいろいろな旅行者を見かけた。夜やってきて、コーヒーを注文し、本を眺め、時々店の人と雑談をし、翌朝早く次の目的地に向かう。都市では、書店の役割は文化を伝えることだけではない。ぬくもりを伝えることもその一つだ」と述べた。

ナイトタイムエコノミーの発展を受けて若い人々がSNSやECショッピングに浸りきると言うことはなくなり、出かけていって自分の体で体験し、感じ取り、触れ、選択するようになった。中でも人と人との交流や共感から得られる幸福感や満足感は、ネットでの体験とはまったく異なるものだ。前出の周さんは、「誰もが外に出かけていって、本当の人と人との交流をするようになるといいなと思う」と述べた。(編集KS)

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