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<羅針盤>東京五輪マラソンの札幌開催は、選手の健康を優先した「次善の策」―立石信雄オムロン元会長

配信日時:2019年10月20日(日) 7時30分
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国際オリンピック委員会(IOC)が暑さ対策を理由に東京五輪のマラソン、競歩のコースを札幌に移す案を発表した。長い間準備してきた関係者には反発や戸惑いがあるだろうが優先すべきは選手の健康と観客の安全であり、妥当な「次善の策」だと思う。

国際オリンピック委員会(IOC)が暑さ対策を理由に東京五輪のマラソン、競歩のコースを札幌に移す案を発表した。長い間準備してきた関係者には反発や戸惑いがあるだろうが優先すべきは選手の健康と観客の安全であり、妥当な「次善の策」だと思う。

中東カタールのドーハで9月末から開かれた世界選手権大会では、マラソンと競歩は深夜開催になったにもかかわらず、途中でレースを棄権する選手が相次いだ。女子マラソンでは約4割が途中でギブアップしたという。IOC幹部がこれに危機感を抱き、「東京五輪が棄権者が続出した大会として記憶に残ってほしくない」と述べたのは十分理解できる。持久力の限界に挑むマラソンと競歩は最悪の場合、生命の危険さえある。

9月には東京のマラソンコースで代表選考会が行われ、選手も暑さ対策に取り組んできた。今から札幌に移すとなれば、コース設定やチケットの払い戻し、警備、宿泊など運営面でも一からの調整が必要となる。オムロンも各種スポーツ大会を主催や協賛してきたので、開催地変更に伴う大会関係者のご苦労はよくわかるが、東京開催の懸念が拭い去れない以上、札幌への変更はやむを得ないと考える。9月開催の東京パラリンピックのマラソン競技も再考が必要かもしれない。

巨額の放送権料に支えられる五輪は、欧米のプロスポーツ中継に配慮して日程を組んでいるようだが、夏季五輪の時期を7、8月とする現在のやり方は地球温暖化が進行する中で、限界にきていると思う。突如浮かび上がった東京五輪の今回の出来事を教訓に、持続可能な五輪像を探るべきだろう。

東京オリンピックは当初東京都内での「コンパクト五輪」を標榜したが、開催会場が首都圏だけでなく千葉、神奈川、埼玉、福島、静岡など多くの県に分散して開催されることになっている。これが北海道に拡大される。ラグビーやサッカーのワールドカップと同様、「オールジャパン」で取り組みたい。

<羅針盤篇46>



■筆者プロフィール:立石信雄
1959年立石電機販売に入社。1965年立石電機(現オムロン株式会社)取締役。1995年代表取締役会長。2003年相談役。 日本経団連・国際労働委員長、海外事業活動関連協議会(CBCC)会長など歴任。SAM「The Taylor Key Award」受賞。同志社大名誉文化博士。中国・北京大、南開大、上海交通大、復旦大などの顧問教授や顧問を務めている。SAM(日本経営近代化協会)名誉会長。エッセイスト。

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