中国人観光客の「爆買い」は下火に、日本の次の手は?―中国メディア

人民網日本語版    2019年10月14日(月) 10時40分

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ここ数年、日本旅行の人気が高まる中、中国人観光客の消費モデルが徐々に転換していることが注目される。以前は炊飯器や便座を「爆買い」していたのが、楽しむための消費や体験するための消費へとバージョンアップを遂げている。写真は鎌倉。

ここ数年、日本旅行の人気が高まる中、中国人観光客の消費モデルが徐々に転換していることが注目される。以前は炊飯器や便座を「爆買い」していたのが、楽しむための消費や体験するための消費へとバージョンアップを遂げている。

中国文化・観光部も報告書「2019年国慶節連休期間文化・観光市場状況」の中で、「数年前には長期連休になると中国人は海外へ行って爆買いをしていたが、今年の連休のアウトバウンド客は心身をリラックスさせることをより重視し、便座や風邪薬や炊飯器などを買いあさったり、小型コンテナで商品を大量に中国まで運んだりといった現象はまれになった」と指摘した。

日本の観光庁が発表した「訪日外国人消費動向調査」のデータによると、17年には中国人観光客の1人あたり平均消費額は、宿泊が4万7690円、飲食が3万8258円、娯楽・レジャーが5550円、ショッピングが11万9319円だったが、18年は宿泊4万7854円、飲食3万9984円、娯楽・レジャー7998円、ショッピング11万2104円だった。この数字からみえるのは、ショッピングが減少した一方で、娯楽・レジャーが増加したことだ。

単純なショッピング旅行ではなく、文化消費にお金を使いたいと考える中国人観光客が増えている。日本へコンサートを聴きに行く、特別な展覧会を鑑賞するなどだ。19年初めには、台北の故宮博物院が東京国立博物館に貸し出した顔真卿の真筆「祭姪文稿」が日本で大きな反響を呼んだだけでなく、中国人観光客も数万人単位で日本へ行き顔真卿の名品をその目で見た。観光庁の推計では、1月16日から2月24日までの会期中、中国人観光客約5万人が来場したという。

中国人観光客の蕭さんは国慶節の前日夕方に初めて東京へやって来た。日本語がわからないにもかかわらず、地下鉄を乗り換えて、代官山の蔦屋書店にたどり着いた。書店から出てくるとモーメンツで、「世界で最も美しい10大書店の1つとされる蔦谷書店は、その名の通り美しい書店だった。地下鉄の終電が午前0時じゃなかったら、閉店する2時までずっとここにいたかった」と発信した。

日本で旅行会社を経営する中国人の呂さんは、「今回の消費税率引き上げは観光客の旅行コスト増大に直結する。ますます多くの若者が、同じお金を使うなら、『爆買い』より、自分の足で日本を歩き回り、自分の心で日本の風俗や文化を体験したいと考えるようになった」と分析した。

■「中国要素」で観光客を呼び込む

中国人観光客のこのような変化を、日本では外務省から都道府県まで深く感じている。そこで「中国要素」を積極的に探して、中国人観光客との距離を縮めようとしている。

東京の池袋からJRに乗って20分の東村山市は、宮崎駿監督のアニメ名作「となりのトトロ」を活用して中国の若い人々を呼び込もうとしている。

東村山市の渡部尚市長は、「『スラムダンク』が鎌倉人気に火をつけたことは有名だ。もっとたくさんの中国人に東村山に来て欲しい。ここは『トトロ』の舞台だから」と話した。東村山市は宮崎監督と夫人が暮らした埼玉県所沢市の隣にある。

宮崎監督は「トトロ」を創作するにあたり、所沢市から東村山市まで連綿と続く狭山丘陵にインスピレーションを得たという。今年4月、東村山市はフォロワー数が400万人に達する中国のネット有名人を同市に招き、ライブ配信方式で「トトロ」に描かれた世界の実際の情景を中国人観光客に紹介してもらった。渡部市長は、「『トトロ』のモデル地は中国人観光客を一瞬にして宮崎駿ワールドに連れて行き、たくさんの思い出を呼び起こすだろう」と述べた。

日本北西部の新潟県は、川端康成の「雪国」の舞台として中国人観光客によく知られるほか、今では錦鯉によって中国人観光客との距離を縮めている。新潟は錦鯉の発祥地であり、主要な養殖地域であり、同県小千谷市は日本の「錦鯉の里」だ。

新潟県の関係部門責任者は中国で錦鯉が人気と知り、「日本の錦鯉文化をめぐってさまざまな努力を重ね、鯉たちが中国人観光客に幸運を運んでくれることを願う」と述べた。

新潟県の沿岸にある佐渡島でも中国要素を見つけることができる。ここには陝西省洋県からきたトキがいる。日本では野生のトキの最後の1羽が死ぬと、1980年代から中国のトキが貸与・贈与され、トキの文化を絶やすことを免れた。

佐渡島にある佐渡トキ保護センターのデータによれば、現在、日本国内に生息する野生のトキは405羽で、すべて中国のトキの子孫だ。中国は直近では18年10月の安倍晋三首相の訪中に際して、日本にトキを贈った。同センターの木村公文所長は、「現在、中国本土からの観光客はそれほど多くなく、台湾や香港からの観光客が多数を占める。トキがより多くの中国人観光客が日本を理解するための窓口の一つになってほしい」と述べた。

外務省中国・モンゴル第二課の黒石亮主席事務官は、「中国人観光客の日本旅行の手続きが簡略化されたのにともない、これから中国人観光客の1回の旅行での消費額は外国人観光客の中でトップを維持するとみられるが、中国人観光客の旅行モデルが体験型へと転換しつつある今、日本の各界はより付加価値の高いサービスを提供し、中国人観光客に『ひと味違う日本』を知ってもらおうと努力を重ねている」と述べた。(提供/人民網日本語版・編集/KS)

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