消費税率引き上げの連鎖反応、日本は持ちこたえられるか―中国メディア

人民網日本語版    2019年10月10日(木) 5時20分

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日本で消費税率が引き上げられて1週間以上がたち、水面のさざ波は徐々に大きく広がっている。国民の目からみると、日用品の買い物から交通、医療機関の利用など、すべての消費項目で値上がりを肌で感じるという。写真は日本の市場。

日本で消費税率が引き上げられて1週間以上がたち、水面のさざ波は徐々に大きく広がっている。国民の目からみると、日用品の買い物から交通、医療機関の利用など、すべての消費項目で値上がりを肌で感じるという。こうした感覚をめぐってこのほど行われた世論調査によると、安倍内閣が自ずと「標的」になり、支持率が低下を続けている。グローバル貿易摩擦と需要の低迷が日本に深い打撃を与えるこのタイミングで消費税率を引き上げたのは、日本経済にとってまさに「泣き面に蜂」であり、安倍晋三首相が起きる可能性のあるあらゆる波瀾に対処しようと大いに張り切っているのももっともだと言える。北京商報が伝えた。

■経済への打撃からは逃れられない

今月4日、安倍首相は臨時国会での所信表明演説で、「下振れリスクが顕在化する場合は機動的かつ万全の対策を講じる」と強調した。ロイター通信の解説によれば、この所信表明から、今月の消費税率引き上げが経済成長を大きく低迷させた場合、日本政府が財政活性化措置を取ることがわかるという。

消費税率引き上げと経済成長の低迷は、避けられない連鎖反応のようにみえる。2014年に消費税率が5%から8%に引き上げられた時の教訓は今でもありありと思い出される。当時、消費税率が引き上げられ、国民の消費支出は同年第2四半期、第3四半期と落ち込み続け、同年の個人消費は前年比2.6%減少し、個人消費を13年10-12月の水準に回復するまで、日本政府はまるまる4年の月日を要した。注目されるのは、日本の国内総生産(GDP)では個人消費が50%以上を占めることだ。

消費税率の引き上げ前、日本では買いだめラッシュが起きた。税率が低いときにたくさん買っておくというものだが、これにより引き上げ後の消費が大きな打撃を受けることになる。さきに日本の民間シンクタンクが予想したところでは、個人消費は19年は約4000億円増えるが、20年は約1兆1000億円減るという。別の調査では、消費税率引き上げ後、日本の共働き世帯の一カ月の可処分所得が約9000円以上下がり、これはどの階層の日本国民にとっても、生活の負担がそれぞれ増加することを意味する。特に高齢世帯と貧困世帯の暮らしの負担がかなり大きくなるという。

財務省のまとめた統計では、消費税率が10%に引き上げられ、日本政府は毎年5兆6000億円の財政収入を得るという。その一部は国債の償還に充てられ、一部は社会保障システムの充実に充てられ、教育無償化にも一部が充てられる。しかし中国現代国際関係研究院の劉軍紅(リウ・ジュンホン)研究員は、「幼児教育・保育の無償化と社会保障は2つの異なる概念であり、消費税の全額を社会保障に利用しないなら、消費税の意義がすでに変質してしまっている。実際には、財政収入の足りない部分を消費税でまかなうということで、特定の使途のための資金を特定の使途に使用しないことになる。また、安倍政権になって法人税がかなり引き下げられ、社会の不公平感がここに表れている」と分析した。

■大きな環境の中の圧力

目下の日本では、困難が一つまた一つと高まりをみせる。劉氏は、「日本には低所得層が多いという特殊な状況があり、消費税率が引き上げられると、この層の人々が比較的大きな影響を受ける。安倍首相の就任から数年がたち、経済は回復を続けたというものの、個人の手取り額は増えていない。そこに突然加わった増税の影響は推して知るべしだ。また、8%への引き上げ時に比べ、10%という税率は引き上げ分が一目でわかり、負担感をはっきりと感じるものだ」と述べた。

現在、低所得層の人々の反応は安倍政権への支持率に反映されている。劉氏は、「安倍首相は就任中に消費税率を2回引き上げ、その影響は過小評価できない。理論的には消費税率引き上げは合理的であるという人は多いが、低所得層の声は聞こえてこず、低所得層の手の中には選挙権がある。つまり、安倍首相と自民党政権は枕を高くして眠ってはいられないということだ」との見方を示した。

消費税の問題はなかなか解決されない中、経済も今にも墜落しそうな状況だ。日本政府が7日に発表した8月の景気動向指数をみると、製造業の生産、雇用、小売販売を含む一致指数が前月比0.4ポイント低下した。雇用機会や消費者の信頼感といったデータに基づいて算出され、今後数カ月間の経済状況を見通す先行指数は同2ポイント低下した。

このようなデータを踏まえ、日本政府は基調判断を「悪化」に下方修正した。日本政府は3月と4月の傾向動向指数による基調判断を「悪化」としていた。フィッチ・レーティングスは4日に発表したコメントの中で、「日本銀行(中央銀行)は超緩和政策を維持する見込みで、経済成長率が予想を下回れば、日本がさらなる緩和措置を取る可能性も排除できない」とした。

現在、グローバル貿易摩擦がエスカレートし、対外貿易への依存度が極めて高い日本にとって、このリスクはますます軽視できなくなっている。財務省が先にまとめたデータによれば、今年8月には日本の輸出が前年同期比8.2%減少し、9カ月連続の減少となった。同時に、第2四半期のGDP成長率は年率換算で1.3%に低下し、内需の寄与度は0.6ポイントで、速報値より0.1ポイント低かった。

また、ロイター通信の報道によると、米中貿易摩擦と世界的な需要の落ち込みが日本の製造業と経済全体の増加率に持続的に打撃を与えている。消費税率引き上げ初日、日銀は9月の全国企業短期経済観測調査(短観)を発表し、大企業・製造業の業況判断指数(DI)はプラス5と、前回6月の調査時のプラス7から2ポイント低下し、3期連続の低下になるとともに、13年6月以来の最低も更新した。(提供/人民網日本語版・編集/KS)

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