日米はデジタル貿易で未来の高みを目指す

人民網日本語版    2019年9月19日(木) 20時10分

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米国ホワイトハウスが発表した情報によると、トランプ大統領は16日、今後数週間以内に日本と貿易協定を結ぶ意向であることを議会に通知した。

米国ホワイトハウスが発表した情報によると、トランプ大統領は16日、今後数週間以内に日本と貿易協定を結ぶ意向であることを議会に通知した。米日は関税に関する協定のほか、デジタル貿易に関する「行政協定」も結ぶ予定だ。(文:■<竹かんむりに旦>志剛・黒竜江省社会科学院北東アジア研究所所長、研究員。「環球時報」に掲載)

サービス貿易と製造業の多くの製品を含まない「即席合意」は内容のしっかりした二国間貿易交渉の結果とはいえないことに疑問の余地はない。言い換えれば、日米の指導者は大衆に迎合し、硬直した局面を打開するために、それぞれ自分のほしいものを取るための実用主義のショートカットキーを押したのだ。その一方で、今回加わったデジタル貿易に関する「行政協定」には図らずも日米両国の重大な戦略的方向性が示されている。デジタル貿易が未来の物品貿易、サービス貿易以外の競争の激戦地になるという方向性だ。デジタル貿易のルール制定権と標準を推進する権利をもつ者が、未来の人工知能(AI)や情報技術(IT)を含む各種技術を主導する主導権と飛躍する権利を勝ち取ることになる。

このほど行われた日米貿易交渉の閣僚級交渉の内容をみると、両国は国境を越えたデータの自由な流通を促進し、音楽や映像などのデジタル製品の免税を免除し、AIの機密情報を保護し、企業がAIなどのアルゴリズムを公開しなくてもいいことを認め、デジタル企業からの投資を受けた国はデータ保存のためのサーバーの設置を強制しないなどのデジタル貿易ルールについて、基本的な共通認識に達した。それでは日米がデジタル貿易ルールをめぐり大々的に打ち出した協議と協力強化の背後にはどのような戦略的思考があり、これは他の発展途上国に影響を与えるのだろうか。日米が無意識に、やめようにもやめられずに手を結ぶのには3つの目的があると筆者は考えている。

まずデジタル貿易とデータ製品に関する法律の制定を推進し、ルールの制定と標準の輸出を握り、新ルールをめぐる発言権を獲得し、新たな法制度の制定権を掌握し、新業態についての競争力を図り、デジタル競争で新たな実力を蓄えることだ。

次にアジアのインターネット事業における総合的優位性を向上させることだ。日米両国はインターネット技術を生み出し、伝播してきたのであり、関連のデータ産業やデジタル貿易のバリューチェーンの上位におり、ネット産業の国際化における最大の受益者でもある。デジタル貿易の非対称なルールを前にして、グーグルフェイスブックアップル、アマゾンはトップランナーであり、日本もデータの自由で安全な流通によって自国の競争力のさらなる増強にプラスになる可能性を生み出したいと考える。これと同時に米国による二国間の連携によって、欧州連合(EU)や世界貿易機関(WTO)の枠組下のデジタル貿易多国間協力を拡大したい考えだ。この観点から、米日はデジタル貿易の最終目標を世界でネットユーザーが最も多く、デジタル貿易の潜在力が最も高いアジア地域に定めた。

最後に、ルールの制定を通じてライバルの台頭を阻止することだ。国際経済における駆け引きの歴史はすでに証明したように、産業ルールと業界標準は経済貿易の世界で守るべき商業ルールだけでなく、国の駆け引きが形をもって拡大していったものでもある。フランスがデジタル貿易への課税を求め、アジアの一部の国が音響映像コンテンツなどのデジタル製品への課税を主張するのに対し、日米は先を争ってデジタル貿易のルールを制定し、自国企業の競争力と要求に最大限配慮しているものの、ネット新興国の発展段階や現在の水準をおろそかにしている。一方では保護貿易主義が付きまとっており、もう一方ではデジタル貿易における国のドアが設けられ、一部の新興国のIT企業が厳しいルールの挑戦、技術独占の挟み撃ち、発言権の欠如という気まずい立場に立たされる。

中国は、日米の協定調印が多国間システムの維持にプラスになる全面的貿易協定を目的としたものであることを願い、日米が世界のデジタル貿易やデジタル経済の発展に向けたより開放的なシグナルを真に発信することをさらに強く願う。そうしてこそ、デジタル貿易協力が日米という小さな枠組み内にとどまらず、世界の人々の暮らしと福祉に幸福をもたらす新たな方向性になることも可能になる。(編集KS)

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