<直言!日本と世界の未来>日韓関係悪化の背景に韓国の対中傾斜=「日本の重要性」低下―立石信雄オムロン元会長

配信日時:2019年9月15日(日) 7時0分
日韓関係悪化の背景に韓国の対中傾斜=「日本の重要性」低下
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日韓関係が最悪の状態に陥っているが、この背景には中国経済の拡大に伴い、韓国の中国依存度が高まり、韓国が日本より中国との関係を重視するようになったという事情がありそうだ。相対的に「日本の重要性」が低下しているという冷徹な構造変化に留意すべきであろう。
日韓関係が最悪の状態に陥っているが、この背景には中国経済の拡大に伴い、韓国の中国依存度が高まり、韓国が日本より中国との関係を重視するようになったという事情がありそうだ。相対的に「日本の重要性」が低下しており、韓国は経済的にも軍事的にも日本より中国に接近しているという冷徹な情勢に留意すべきであろう。

韓国と中国は朴槿恵前大統領と習近平国家主席の体制が同じ2012年にスタート。以来、多様な戦略対話チャネルが結ばれ、朝鮮半島問題など政治・安保分野における協力関係も拡大した。中韓両国民の連帯と信頼を増進するため、文化交流、地域レベル交流、両国間貿易の年間3000億ドル目標の達成などを通じた戦略的な協力パートナー関係を推進。文在寅政権になって加速し、韓国経済における中国との結びつきが一段と強まっているという。左翼政権特有の現象との見方が流布されているが、そうではなく普遍的な現象であると思う。

韓国貿易に占める国別シェアは中国が日本、米国を15年ほど前に追い抜き、今では4倍以上の規模に拡大、なお増え続けている。中国の台頭といった構造的な要因はもはや変えられず、このままではかつてのような日韓関係は戻ってこないと懸念する。

世界は『米中2大国』時代になるというのが韓国の共通認識であり、米中とバランスをとる『連米・連中』が基本戦略。東アジア共同体や東アジア地域構想など多国間協力の枠組みを共に共有することが理想と見ており、中国をけん制するために、「囲い込む」という発想は希薄のようだ。

韓国の事情通の識者によると、中国がかつてのような大国に復帰し、この地域が「元に戻った正常なアジア」となった、というのが、韓国国民の基本認識とのこと。日本に併合された明治期以後のアジアは「非正常」であったと見ている。韓国国民の多くが、中国は軍事力を通じて自らの理念を拡張することはないと楽観的で、日本と異なり「中国に対する脅威意識」は意外に少ないのが実情のようだ。

日本には、かつての先進国と途上国の間柄だった日韓関係の古い固定観念から脱却できずに「韓国にとって日本は重要なはずだ」との誤った思い込みがなお根強いと思う。日本が上で韓国を下に見る「垂直的な時代」につくられた「日韓秩序」に対する反発も韓国内にはくすぶっているような気がする。韓国の対中接近の背景には、最大の貿易相手国かつ世界一の消費市場である中国についた方が得とのリアリズムがあり、GSOMIA(軍事情報包括保護協定)破棄もその延長戦にありそうだ。

このような事情に加えて、文政権の中長期戦略には「北朝鮮との民族統一」があり、中国の経済的な影響力に期待する面もある。日本としても、このような厳しい近隣環境を踏まえて冷静かつ的を射た対応をすべきであろう。
<直言篇97>

■筆者プロフィール:立石信雄
1959年立石電機販売に入社。1965年立石電機(現オムロン株式会社)取締役。1995年代表取締役会長。2003年相談役。 日本経団連・国際労働委員長、海外事業活動関連協議会(CBCC)会長など歴任。SAM「The Taylor Key Award」受賞。同志社大名誉文化博士。中国・北京大、南開大、上海交通大、復旦大などの顧問教授や顧問を務めている。SAM(日本経営近代化協会)名誉会長。エッセイスト。
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