増え続ける過労死、誰のせい?―中国

Record China    2013年7月16日(火) 9時29分

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15日、中国で過労死が後を絶たない。多くの若者が「働き過ぎ」になってしまった背景にはどのような事情があるのだろうか?

2013年7月15日、人民日報によると、安徽省安慶市の青年(23)が、12時間に及ぶ連続勤務のあと突然死した。報道によると、この青年はそれまでにも長期間、残業続きの生活が続き、「このままでは過労死してしまう」と友人に漏らしていたという。そしてついに、その予言が現実となってしまった。

このような「過労死」がここ数年、後を絶たない。2010年、某有名サイトの編集者が、37歳の若さで脳溢血のため死亡、働き過ぎと関係があると噂された。2012年4月、グローバルコンサルティング企業の中国オフィスで働く25歳の女性が、働き過ぎから急性脳膜炎を患い、急死した。今年5月、オグルヴィ&メイザー中国の従業員(24)が事務所で急性心不全のため死亡した。それまでの1カ月間、残業続きだったという。

「過労死」という極限の現象以外に、実は我々の身の回りは「ストレスが大きすぎる」「いつも具合が悪く、眠れず、忘れっぽい」など、さまざまな「過労症」で満ちあふれている。中国は今や、世界で労働時間が最も長い国のひとつとなり、1人当たり労働時間は日本と韓国を上回った。

労働は確かに「誇らしい」行為だが、「働き過ぎ」は身体の健康や生命の安全を脅かす。多くの若者が「働き過ぎ」になってしまった背景にはどのような事情があるのだろうか?

「労動法」では、労働者の1日の労働時間が8時間を超えず、1週間の平均労働時間が44時間を超えないことと定められている。雇用者が労働者をやむを得ない事情で残業させる場合、残業時間は労働者の身体的健康を損なわないという条件のもとで、1日3時間、1カ月36時間を上限とする。これら2項目の条文が、一部企業では完全に軽視されており、労働監督部門の管理監督力が不足していることが現状から容易に見て取れる。「過労死」という極端な事態が発生してからでは遅すぎるのだ。

たとえ訴訟で政府の管理監督部門が「過労死」として認めても、企業側に科せられるのはわずかな額の罰金のみで、法に背くことに対する代価はかなり低い。中国の法律には「過労死」に関する明確な境界線は設けられておらず、遺族が理にかなった賠償金を受け取れるケースはごくわずかで、労働者に過酷な労働を強いる違法企業への罰則による抑止力は極めて限られている。

「過労死」は中国だけに見られる現象ではない。日本や韓国でも、これまでに「過労死」が多発した時期があった。1980代、日本は「過労死」を死因のひとつであると認定、企業に対する高額の賠償基準を定めた。裁判所が「過労死」と判定すれば、遺族は年間約2万ドル(約200万円)の給付金を受け取ることが可能で、中には、最高100万ドル(約1億円)の賠償金を受け取る場合もある。この措置は、死者に対する尊厳を示すだけではなく、労働者に過酷な労働を強いる違法企業に対する警告という大きな意味合いを持つ。ここ数年、「休暇強制取得」制度を設ける日本企業が増える一方であるという事実がそれを明確に裏づけている。

別の面から見ると、一部の人の「働き過ぎ」はあくまでも自分の意思にもとづくもので、昇進や淘汰というストレスに対処するための能動的・自発的残業であるといえる。彼らは働き過ぎは身体に良くないことを十分承知の上で、それでも歯を食いしばり働き続ける。安慶市の青年(23)は亡くなる前、何度も仕事を辞めることを家族に相談したが、そのたびに反対された。「安定した仕事で、収入もまあまあ、住宅ローンを支払い続け、生活の質を高めることができる」というのが家族の言い分だ。このことから、頻発する「過労死」の背後には、労働関連法規の実施状況や監督管理システムの不備のみならず、社会の人々が現状に対して抱いている不安感や焦燥感が存在していることが分かる。そのような不安感・焦燥感の裏には、「就職するのが難しい」「収入がなかなか増えない」「出世の道が厳しい」といった現状がある。これらも所得分配改革の緩やかな加速や社会階層の固定化現象の是正など、急ぎ解決を要する問題と結びついている。(提供/人民網日本語版・翻訳/KM・編集/TF)

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