三峡の「夷陵虫」化石、5億5千前の左右相称動物の存在を証明

人民網日本語版    2019年9月5日(木) 17時10分

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左右対称、分節、運動。これらの特徴は現代の大半の動物にとって「標準スペック」になっている。これらの象徴的な特徴がいつ、どのような形式で出現したのかを把握することは、動物の進化の歴史を研究する上で重大な意義をもっている。

左右対称、分節、運動。これらの特徴は現代の大半の動物にとって「標準スペック」になっている。これらの象徴的な特徴がいつ、どのような形式で出現したのかを把握することは、動物の進化の歴史を研究する上で重大な意義をもっている。科技日報が伝えた。

英国の科学雑誌「ネイチャー」は4日、中国科学院南京地質古生物研究所早期生命研究チームの研究成果を掲載した。同研究チームは三峡地区のエディアカラ紀の地層から、変わった虫の化石を発見した。その左右対称の分節形態と最後の移動の痕跡が同時に留められていた。科学者はこの虫を「夷陵虫」と名付けた。夷陵虫の発見は、これらの特徴が5億5000万年前の動物に備わっていたことを意味する。

左右対称と分節の発生は、動物の進化の歴史における極めて重要な出来事だ。分節の出現は、体の構造が分かれ、機能的にも分業が生じたことを意味する。しかしこの複雑な体の構造をもつ動物がいつ出現したかは、古生物学者及び進化生物学者の注目の焦点だった。

「カンブリア大爆発」の時期に、三葉虫を代表とする分節のある左右相称動物が大量に発生した。カンブリア紀前のエディアカラ紀にはこれらの動物のより古い祖先がいたはずだと推測されているが、信頼性の高い化石の証拠が見つかっていなかった。

中国科学院南京地質古生物研究所を中心とするチームは2013年、湖北省三峡地区のエディアカラ紀の石板灘生物群から、特殊な形で保存された新たな動物の化石を発見した。この動物の死骸と最後の移動の痕跡が同時に一枚の岩の上に留められていた。

彼らは5年弱の時間を費やし、これらの化石の詳細な研究を行った。その体は細長く左右対称で三葉形を呈しており、明らかな体の分節がみられ、前後の区別と背と腹の区別があった。これはそれまで見つかっていなかった動物の化石であり、過去の地質年代からも、現代においても同じ形態の動物は見つかっていなかった。研究者は環節動物もしくは節足動物だと推測した。これはつまり、エディアカラ紀には、運動能力を持ち、体が分節した左右相称動物がすでに出現していたことを示している。

またこの発見により、自由に運動できる底生動物もエディアカラ紀にすでに出現しており、海底沈積物が変わっていたことが分かった。つまり、「カンブリア大爆発」時代の底生動物を中心とする生態系はこの時期に形成が始まり、前カンブリア紀に地球を数十億年支配していた微生物基底に徐々に取って代わり、地表システムに深い環境・生態的影響を及ぼしたことが明らかになった。(編集YF)

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