米国による独善的な「サイバーセキュリティ規定」決定は許されない―中国有識者

Record China    2013年7月11日(木) 8時0分

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9日、「PRISMスキャンダル」によってサイバーセキュリティ問題が世界の人々の関心を集めている。米国が各国に対してネットの監視とハッキングによる機密窃取を行なっていたことで、国際社会はサイバーセキュリティのルールに対する考えを新たにした。資料写真。

2013年7月9日、「PRISMスキャンダル」によってサイバーセキュリティ問題が世界の人々の関心を集めている。米国が長期間、大規模に、そして継続的に各国に対してネットの監視とハッキングによる機密窃取を行なっていたことで、国際社会はサイバーセキュリティのルールに対する考えを新たにした。(文:賈秀東(ジア・シウドン)中国国際問題研究所特別招聘研究員。人民日報海外版コラム「望海楼」掲載)

サイバーセキュリティ確保の重要性とサイバー空間のルール制定の必要性について、各国間に大きな溝はない。だが国際社会が一致して認めるサイバーセキュリティのルールは依然として制定にいたらず、空白状態にある。

サイバー空間は出現から数十年の歴史しかなく、中国が世界のインターネットと結ばれてからもようやく19年に過ぎない。この新しい事物に対する国際ルールを制定するには当然時間がかかる。だが、これはルールがないことの主たる原因では決してない。インターネット大国はサイバー空間を国益の新たな領域と見なし、サイバー空間にどのようなルールをどのように制定するか、サイバー・ガバナンスをどう実現するかといった中核的問題において互いに譲らず争っている。

国際的なサイバーセキュリティのルール制定に影響を与える最大の要因となっているのは、サイバー空間の超大国である米国の利己的な算段だ。米国はイデオロギーと国益の二重の考慮から、サイバー空間での技術・戦略上の長期的優勢を追い求め、いくつかの問題において自分のやり方を通している。情報の自由を強調する一方で、あらゆる手を尽くして他国のファイアウォールを突破している。単にビジネス情報のセキュリティだけを強調し、サイバー空間の「軍事化」に裏道を残している。ルール制定の主導権をしっかりと握り、途上国の利益面の訴えを軽視している。自国の「国家安全保障」と対テロ上の必要性によって線引きをし、サイバー攻撃を「良いもの」と「悪いもの」に分け、サイバーセキュリティにダブルスタンダードを適用している。

かなりの程度において、サイバー空間には国境がない。サイバーセキュリティ問題は全人類が直面する共通の試練となりつつあり、サイバー空間の安全維持は各国共通の利益だ。他国の利益を犠牲にしてサイバー空間で自国の絶対的安全を追求するのは荒唐無稽な話であり、他国の理にかなった訴えを退けてサイバー空間で自国の国益のみを追求することをいつまでも続けるのは不可能だ。人類は運命共同体という観点からサイバー空間の安全および国際協力の必要性を扱うことこそが正しい道だ。

サイバーセキュリティ問題における中国政府の4原則は、サイバーセキュリティの国際ルールの議論と制定の土台となるはずだ。第1に主権の原則。他国の内政に干渉しない。第2に平和の原則。サイバー軍拡競争をしない。第3に包容の原則。サイバー空間ガバナンスに参加するという後進国の平等な権利を差別しない。第4に協力の原則。共存共栄の精神でサイバー空間のルールを制定し、ゼロサムゲームを行わない。

サイバーセキュリティは米国の一存で決まるものではないし、その国際ルールの制定を米国の一存で決めるわけにはいかない。2011年9月、中国やロシアは「情報セキュリティ国際行動規範」草案を国連総会に提出するとともに、サイバーセキュリティルールの制定における主要ルートとしての国連の役割を強調した。米中両国は今週、戦略経済対話の機会を利用して初のサイバー作業部会会議を開く。欧州各国、およびインド、ブラジル、南アフリカなど新興国も近年、国際サイバーセキュリティ問題について続々と声を上げている。「PRISMスキャンダル」は国際世論において米国政府の顔をつぶす一方で、サイバーセキュリティの国際ルールの議論と制定の推進に寄与した。

米国が依然としてサイバーセキュリティの国際ルールの制定を自らの一存で決めようとすることは間違いない。だが目を向ける必要があるのは、サイバーセキュリティをめぐる苦境の唯一の出口は国際協力であるということだ。(提供/人民網日本語版・翻訳/NA・編集/武藤)

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