開店半日で営業停止のコストコ人気は続くのか?―中国メディア

人民網日本語版    2019年8月30日(金) 16時50分

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28日、オープン初日に大勢の人が押し寄せて営業を停止したコストコは、入場制限措置を打ち出した。同店の公式情報によると、今後は一度に売り場に入れる人数を2000人以内に制限するという。

8月28日、オープン初日に大勢の人が押し寄せて営業を停止したコストコは、入場制限措置を打ち出した。同店の公式情報によると、今後は一度に売り場に入れる人数を2000人以内に制限するという。オープン初日には、少なくとも1万人を超える消費者が店内で同時に買い物をしていたとみられる。北京青年報が伝えた。

■なぜこれほど人気?

コストコは会員制のウェアハウス・クラブで、オープン初日の爆発的人気は力の入ったオープン記念キャンペーンと関係がある。よそのスーパーが集客を狙って卵や食用油を提供する中、コストコ中国1号店のオープン広告に並んだのは、1948元(約2万9000円)の飛天マオタイ酒、919元(約1万3800円)の五糧液、割引価格のエルメスなどだ。もちろん、こうした商品がキャンペーンの全てではないが、目を引くことは確実で、実際に飛天マオタイ酒は開店早々に売り切れたという。

また、コストコの商品の一部は市場価格より10~30%安い。米国では平均粗利益率10%前後のビジネスモデルが中産階級を引きつけ、年会費が収入を生み出す。中国では1号店の上海閔行店で7月1日に会員募集が始まり、これまでに予想を遙かに上回る数万人の会員を集めた。マーケティング手法として、年会費はオープン前なら199元(約3000円)、オープン後は299元(約4500円)とメリハリをつけた。

コストコは米国ではずっと低価格・高品質の販売戦略をとり、製品の粗利益率は10~11%ほどを維持し、他の小売企業を大きく下回る。他のスーパーは粗利益率が15~25%だが、コストコで14%を超える商品が出ると最高経営責任者(CEO)に報告する義務があり、取締役会の承認も経なければならない。別の場所での価格がコストコ価格を下回るようなことがあれば、その商品は棚から下ろされる。

この運営モデルは多くの有名人を引きつけて「広告塔」になっている。中国でもコストコのフォロワーは多く、小米の雷軍(レイ・ジュン)CEOは早くからコストコについて語っていた。「コストコがこれまで長年にわたり勢いをもち続けている最も重要な原因は、コストコという存在の本質をしっかりつかまえたことにある。商品はできる限りよいもので、価格はできるだけ安く、サービスは期待以上だ」という。

■この人気は続くか?

小売産業に従事して20年になるベテラン関係者は、「カルフール、スパー、メトロ、テスコ、CPロータスなどの外資系スーパーが中国に初出店した時の様子を見たことがあれば、コストコの爆発的人気もよくある光景に思えるかもしれない」と述べた。

同関係者によると、「しかし外資の売り場は今どんなことになっているだろうか。カルフールは蘇寧に買収され、テスコは華潤に買収され、メトロは買収してくれる企業を探している。残りの2社は既存店を維持しているが、業務は縮小され、可もなく不可もなくといった業績だ。コストコは中国市場進出にあたり、よいタイミングを選んだといえる。なぜなら、中国で消費のモデル転換と高度化の大きな波が起きている。▼有料会員制度が若い消費者に幅広く受け入れられるようになっている。▼以前に比べて、新しい世代の消費者が強調するのは商品のコストパフォーマンスであり、単純に低価格を追い求めることはしない。▼消費シーンの体験とサービスが先導する実店舗ビジネスが復活しつつある。▼ECが相次いでオフライン市場の配置を進めている」と述べた。

タイミングが良かったことは、コストコの米国モデルを中国に持ち込めば必ず成功するということを意味しない。

実際のところ、コストコは年会費が最大の収入源だ。会費を納めることで、会員のロイヤリティーは上昇する。これに巨大な売り場、ほとんどの店がやや不便な場所にあること、米国家庭のショッピング習慣が加わり、コストコの利益の半分以上は自動車、フードコート、ガソリンスタンドなどの周辺サービスから生まれている。2017年度の米国市場での会員継続率は90%、カナダでは87%だった。米国では有料会員1人あたりの年間消費額は2554ドル(約27万円)で、1カ月あたり213ドル(約2万2500円)になる。中国初店舗は閔行区という中心部から外れたところにあるが、完全に米国モデルを模倣するのは、中国ではやはり難しいようだ。

コストコが米国で商品を低価格で販売できているのは、多くの店舗が土地と建物の所有権をもっていて、家賃が不要だからだ。それに対し、中国では店舗開設のための土地取得コストが米国よりも高く、商業不動産企業との協力が主な選択肢になり、家賃からは逃れられない。中国の商業不動産企業の家賃体系は店舗の業績と連動するケースが多く、たくさん売っても家賃コストを抑えられる可能性は低い。

また、コストコが掲げる「大容量」の商品が「小規模」な中国の家庭に合うかどうか、中国の家庭が満足するかどうかも、コストコモデルの普及拡大の可能性や商品コストの多寡といった大きな要因を決定する。

ECの競争がオンラインからオフラインへと広がり、盒馬鮮生や蘇寧小店などの背後にはさまざまなECがバックにいる。こうした中国をよく理解する新小売のプレイヤーたちの間で、コストコが中国式のやり方を身につけられるかどうかは、時間による検証を経なければわからない。(提供/人民網日本語版・編集/KS)

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