貿易不均衡を理由に経済貿易摩擦の発動は経済法則に背く

人民網日本語版    2019年8月29日(木) 16時10分

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8月28日、上海社会科学院は「理性的に貿易摩擦に対処し、経済の質の高い発展を促進する」をテーマとした専門家シンポジウムを開催した。

8月28日、上海社会科学院は「理性的に貿易摩擦に対処し、経済の質の高い発展を促進する」をテーマとした専門家シンポジウムを開催した。参加した専門家は、「米国が経済貿易摩擦を発動したことは自他共に損害を与えるもので、貿易戦争を口実にして中国に圧力をかければ歴史的な過ちを犯すことになる」との見方を示した。人民日報が伝えた。

▽グローバル経済に極めて大きな不確定性をもたらした米国の一方的な経済貿易摩擦の発動

同院の院長で国家ハイレベルシンクタンク首席専門家の張道根氏は、「米国が貿易戦争を発動した目的は、いわゆる『米国第一』戦略の下で、第二次世界大戦終了以降の国際経済秩序を再構築することにある」と述べた。

張院長の分析では、2008年の国際金融危機後、米国経済は一連の重大な構造的問題と制度的問題に直面した。しかし、米国の一部の者は自分自身の問題を考えようとせず、貿易戦争を通じて、問題の責任を国外へ転嫁し、国内の問題を緩和しようとした。このアプローチはそれ自体が誤りである。米国は経済貿易摩擦を発動し、グローバル経済に極めて大きな不確定性をもたらし、マイナスの効果を引き起こしたという。

データをみると、経済貿易摩擦は大きな破壊性をもたらした。世界の国内総生産(GDP)成長率はすでに目に見えて低下し、製造業でその傾向が最も顕著だ。米国経済も経済貿易摩擦のエスカレートがもたらした影響から脱却できておらず、目下、米国では消費者物価や生産コストが上昇し、石炭、鉄鋼といった大口商品の鉄道輸送量は減少し、トラック貨物輸送指数は7カ月あまり連続で低下した。

▽グローバル化プロセスで巨大な利益を獲得した米国

同院世界経済研究所の張幼文研究員は、「貿易不均衡を理由に経済貿易摩擦を発動したことは、世界の経済学理論の中に根拠がない。中米両国の企業は『こちらは売りたい、そちらは買いたい』という関係であり、最終的に売買には差があって貿易赤字が形成される。これは市場が決定することだ」と述べた。

復旦大学経済学院の袁志剛教授は、「1980年代に始まったグローバル化の最大の特徴は多国籍企業が主要な媒介役として、産業チェーンを世界的に配置し、グローバル産業チェーンを形成することにある。これはグローバルバリューチェーンとも呼ばれる。このようなプロセスはまさしく中国の改革開放と対応するものであり、生産要素の配置効率を向上させた」との見方を示した。

袁教授は、「こうしたプロセスの中で、米国は実は巨大な利益を得てきた。米ドルは世界に通用する通貨であり、貿易黒字の国はより多くの米ドル、より多くの外貨準備高を持つことになり、そうして米ドルの純流出という状況が形成される。各国の外貨準備高が多くなればなるほど、米国は輸入を満喫するのであり、これは赤字の通貨を発行して得られた特殊な利益だといえる」と続けた。

袁教授の分析では、グローバル化は貿易自由化だけでなく、より重要なことは投資自由化だ。多国籍企業が世界で投資をし、投資対象国が必ずしも消費国ではない。そうすると、生産地と消費地が分離してしまう。こうした状況で、どうすれば貿易の均衡を実現することができるだろうか。グローバル化の環境の中で二国間のバランスを求め、経済学の基本原理に背くようにし、「貿易不均衡になると損をする」と考え、そうして経済貿易摩擦を発動することには道理がないという。

同院の徐明棋研究員は、「グローバル化を背景として、各国が利益のウィンウィンを実現できる国際分業局面と産業チェーンが形成された。産業チェーンを人為的に破壊すれば、米国にとっても、中国にとっても、さらには世界全体にとっても、利益にならない。追加関税という手段を取って貿易戦争を発動し、グローバル化の背景の下で形成されたグローバル産業チェーンと国際分業局面を破壊しようとすれば、自他共に損害を与えるという結果を招くことは確実だ」との見方を示した。

▽米国を含む各国の企業に広大な発展の可能性を提供する中国市場

上海外国語大学国際金融貿易学院の章玉貴院長は、「米国が一方的に貿易戦争を発動し、最大限に圧力をかけるやり方で中国を押さえつけようとする目的は、中国の発展ルートを米国がコントロールする秩序の枠組に組み込むことにある」と述べた。

章院長の見方によると、米国が貿易戦争を発動しても、中米間に形成された経済と産業の分業システムを変えることはできない。中国市場には大きな魅力があり、米国の金融界、企業家、大勢の消費者にこそ最も発言権があるという。

同済大学国家革新発展研究院の石建勳副院長は、「経済の法則は背くことのできないものだ。企業は経済の組織であり、稼げる場所があればそこに行って生産・消費するのは、経済の法則であり、米国政府の一部の者が米国企業に中国からの撤退を強硬に要求するといったやり方は、経済の法則に背くものであり、多国籍企業は応じられるだろうか。結論は言わずとも明らかだ。中国の14億人近くの巨大市場は世界経済の中でますます重要となっており、そして中国には4億人に迫る中所得層がおり、その人数は急速に増えており、世界最大規模の中所得層でもあり、米国を含む各国の企業に広大な発展の可能性を提供している。米国の一部の者が米国企業に(中国からの)撤退を強要しようとするのは、市場経済の法則に背くだけでなく、米国の製造業の負担を増やし、国民生活の改善にもメリットがなく、米国経済自身の発展にも資するところのないものだ」と述べた。(編集KS)

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