G7サミット、各国間の溝が改めて浮き彫りに

人民網日本語版    2019年8月26日(月) 19時0分

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主要7か国首脳会議(G7サミット)が24~26日、フランス南部のビアリッツで開かれた。

主要7か国首脳会議(G7サミット)が24~26日、フランス南部のビアリッツで開かれた。サミット前に参加各国は先進国間の協調を一層強化する必要性を指摘していたが、様々な兆候から7か国間の摩擦や溝が改めて浮き彫りになる形となった。トランプ大統領が就任以来鼓吹してきた「米国第一」主義が、先進国内の関係に新たな深く複雑な変化をもたらしている。(文:付宇・中国現代国際関係研究院世界政治所研究員。中国網掲載)

第1に、大西洋両岸の関係が冷戦終結後最も大きく揺らいでいる。トランプ大統領は就任以来「米国第一」の大きな旗を公然と掲げ、米欧関係における価値観の要素をさらに薄めたうえ、自国の利益を優先させて欧州に一層の責任分担を要求したことで、一連の重大な問題において米欧を引き離す結果をもたらした。自由貿易の問題では、米国は行く先々で制裁の圧力を振りかざし、中印など新興の大国と経済貿易摩擦を起こしただけでなく、仏独など欧州の大国とも摩擦を激化させている。

とりわけ、フランス政府が最近、米国の巨大IT企業アマゾン、グーグルフェイスブックなどに「デジタル税」を課すと、トランプ大統領はさらに公然と報復行動に出ると脅し始めた。トランプ大統領の命令で、すでに米通商代表部(USTR)は仏政府の「デジタル課税」に対する調査を行った。

安全保障分野では、トランプ大統領は就任後「長年便乗してきた」と欧州を公に非難し、NATOにおける一層の軍事費分担を欧州各国に要求してきた。とりわけトランプ大統領が中距離核戦力(INF)全廃条約からの離脱を宣言したことで、欧州は米露による戦略競争の激化という危険と衝撃に直面せざるを得なくなった。

グローバル・ガバナンスと多国間体制の分野では、「米国第一」と「トランプ離脱主義」は一層騒がしい。トランプ大統領は国内外の反対を顧みず、気候変動に関するパリ協定からの離脱を宣言したうえ、世界貿易機関(WTO)の正当性に公然と疑問を呈し、「WTO改革が前進しない場合、WTOからの脱退を検討する」と公言すらしている。

こうした一連の重大な問題における意見の相違を前に、米欧関係の亀裂は深まっており、欧州において「戦略的主体性」の強化を求める声が高まっていることが見てとれる。実は今年初めのドイツ・ミュンヘン安全保障会議で、仰々しく出席したペンス米副大統領は欧州から冷遇された。

また、米日間の複雑なもめ事も大きな注目点だ。

トランプ大統領が就任後、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)から離脱し、日本に牛肉・農産品市場の一層の開放を求めたことで、米日関係は打撃を受けた。双方は今回のサミット会期中に、今年9月の国連総会中の二国間貿易協定調印を目指す方針を改めて発表した。だが、トランプ大統領の一国主義による衝撃を前に、安倍政権は「環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定」(CPTPP)の推進において成果を得たほか、中印など周辺の大国との関係も積極的に発展させており、対外政策において「戦略的主体性」を強化する方針を一段と強調するようになった。

直近2年間のG7サミットを見ると、G7内の「信頼の危機」は深刻度を増している。そして伝統的な先進国陣営内の新たな分裂と再編が国際構造全体の行方に深く複雑な影響を及ぼすのも必至だ。米紙ワシントン・ポストが指摘したように、G7サミットの最重要目標は、もはやどのような大きなブレイクスルーを得るかではなく、米欧など大国間の摩擦の一層の激化、さらには「新たな不測の事態」を防ぐことなのだ。(編集NA)

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