米国経済の背を折る最後のワラは何か?―中国メディア

人民網日本語版    2019年8月27日(火) 6時0分

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世界各地の投資家、企業家、中央銀行トップたちが、驚くべき事実を受け入れようと努力している。全米経済研究所(NBER)が、今年7月末で、米国経済が121カ月連続で成長し、1854年以降で最長の成長記録を更新したという事実だ。写真はニューヨーク。

世界各地の投資家、企業家、中央銀行トップたちが、驚くべき事実を受け入れようと努力している。全米経済研究所(NBER)が、今年7月末で、米国経済が121カ月連続で成長し、1854年以降で最長の成長記録を更新したという事実だ。国際金融報が伝えた。

しかし歴史が物語るように、経済の低迷がまもなく訪れる可能性もある。債券市場はすでに警告を発しており、現在は長期債券の利回りが短期債券の利回りよりも低く、こうした現象は往々にして経済衰退の前兆とみなされる。

今年7月に株式市場が大幅上昇し、失業率は低水準を維持しているが、製造業企業は慎重になり、消費者信頼感指数も低下が続いている。こうした一見矛盾するシグナルは米国経済成長が異常なほど緩慢なペースであり、また非常に弱々しいものであることを反映している。

経済活動がサービス業と無形資産に向かうにつれ、経済成長ペースは緩慢だがより安定したものになった。新たな法律法規が次々打ち出されるが、大量の担保付き貸付や行き過ぎた投資を示す兆候はほぼみられず、インフレは明らかに抑制されている。過去にはいつも、経済の衰退は不動産バブル、物価高騰、工業の不振などが原因で起きていた。今は世界で互いに関連し合う企業、安価な資金にどっぷり浸かった金融システム、上昇ペースの遅い生活水準がもたらした極端な政治システムにより注意を払わなければならない。

目下の米国の拡大周期の国内総生産(GDP)の平均成長率は約2.3%にとどまり、第1-3四半期の平均3.6%を大幅に下回った。ここから米国経済に根の深い問題が潜んでいることがわかる。労働者がますます高齢化し、大企業は資産を貯め込んで投資を削減し、生産効率の上昇ペースがますます鈍化するなどの問題だ。経済学者のロバート・ゴードン氏も、米国の革新能力の衰退を懸念している。スタンプにしてもビットコインにしても、ジェットエンジンやインターネットなどの技術がもたらした破壊的ブレークスルーとは比べものにならない。

革新能力の低下は確かに悪いニュースだが、よいニュースもあり、経済の変動がこれによって減少する可能性がある。ゴールドマン・サックスがまとめたデータをみると、20世紀に米国が経験した経済危機の原因を追及すると、工業の衰退や石油価格の大きな変動が3分の1を占める。今は製造業がGDPに占める割合が11%しかなく、1ドルの価値を生み出すのに必要なエネルギーは1999年の4分の3に減った。サービス業が日に日に重要になり、今やGDPの70%を占めている。高リスクの工場への投資やフロリダの不動産への投資はもはや投資家を引きつけず、これに代わって知的財産権が重視され、今は知財権業務への投資が25%以上を占めている。2008年のサブプライム危機発生後、米国の不動産の時価がGDPに占める割合はピーク期の188%から143%に低下した。

経済成長周期には、目に見えて低インフレになり、インフレ率は平均1.6%になる。過去の経済低迷期には、過熱した雇用市場がインフレの進行を招き、米連邦準備制度理事会(FRB)は事態の収拾を迫られた。今は、原動力が移り変わり、失業率は3.7%に低下し、過去半世紀で最も低い水準になった。しかし収入の伸びはあまりにも弱々しく、成長率は3%に過ぎず、労働者はグローバル経済市場で価格交渉力を失った。

FRBの信頼性も一定の役割を果たし、FRBは長期にわたりインフレ率を2%前後にコントロールするだろうと信じる人は多い。なぜなら、価格の急速な上昇の懸念はなく、しかも政府が当面深刻な経済衰退を抑制する有効な手段をもたないことから、経済成長ペースが鈍化すれば、FRBは金融緩和政策を取る意思を示すとみられるからだ。

こうしたことは次のような見方をサポートしている。経済衰退のよくある触発要因は今は存在しておらず、経済成長の好調期はあと数年は続くという見方だ。しかし問題は、経済情勢に変化が起きれば、リスクもそれにともなって変わるということだ。こうしてみると、問題がどこに出現するか確定することは難しいが、少なくとも次の3つの新しい問題が目の前に迫ってきたということは言える。

まず、米国の外見は立派な大企業に人には知られていないいくつかの問題が存在することだ。製造業に従事する会社が減少しているにもかかわらず、多くの企業は引き続きグローバル製造チェーンに依存しており、これは今、貿易戦争の打撃を受けている。こうしたことが投資経済の力を削ぎ、経済に大きな打撃を与えることになる。もしアップルと中国の工場との協力を禁じたなら、必ず大きな影響があることが想像できる。

次に、金融リスクがあることだ。不動産と銀行はコントロールされているが、個人の債務全体は引き続きGDPの2.5倍という歴史的高水準にあり、資産価格と貸出資金の安定を維持しようとすれば、長期貸出の金利が低い環境がぜひとも必要になる。金利が上がれば、多くの企業が大変困ることになり、債務市場にも問題が生じる。例えば18年末には債務返済のための資産の投げ売りがあった。金利が下げれば、FRBは金利を限りなくゼロに近づけるとともにこれを長期間維持して、経済成長を維持しなければならなくなる。こうしたことは銀行の地位を弱め、現在の欧州のような事態を招く。

最後に、危険が政治から来ることだ。経済が狭い道を歩むのにともない、経済政策は従来の境界が曖昧になり、ここ10年ほどの賃金の遅すぎる伸びに対する不満が原因の1つになっている。トランプ米大統領は減税とFRBへの攻撃によって経済成長を促進しようとし、民主党支持者の大半は大規模な政府の財政出動を望み、より多くの極端な政策が練られている。左翼陣営からみると、現代の金融理論と大規模な国の干渉政策は同じように非常に人気があり、トランプ大統領がこのほどFRBに推薦した理事候補の1人は金本位制を支持している。粗野な政策の新時代が幕を開けたところかもしれず、米国の長期的で平和な発展はこれから大きな脅威に直面することが予想される。(提供/人民網日本語版・編集/KS)

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