「デジタル人民元」ついに登場?流通現金に代わるか―中国メディア

人民網日本語版    2019年8月23日(金) 5時40分

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中国人民銀行(中央銀行)の関係責任者はこのほど公開の場で、「現在、デジタル通貨システムの開発を進めており、『デジタル人民元時代』がまもなく訪れる」と明かした。写真は人民元。

中国人民銀行(中央銀行)の関係責任者はこのほど公開の場で、「現在、デジタル通貨システムの開発を進めており、『デジタル人民元時代』がまもなく訪れる」と明かした。人民銀がデジタル通貨を打ち出すのはなぜか。人民銀のデジタル通貨はネット決済やいわゆる「仮想通貨」とどのような関連や相違があるのか。人民日報海外版が伝えた。

■デジタル通貨にどのような違いがあるか

人民銀がデジタル通貨の発行を研究するのは思いつきではない。2014年から現在まで、すでに5年にわたりデジタル通貨の研究を行い、17年には中国人民銀行デジタル通貨研究所も設立された。現在、同研究所が出願中のデジタル通貨技術関連の特許は74件に上る。

ここ数年、インターネット科学技術、特にブロックチェーン技術の発展にともなって、世界でさまざまな「仮想通貨」が誕生している。例えば最近よく話題になるビットコインやライトコインなどがそうだ。それでは人民銀が今回発行するデジタル通貨はこうした商業的「仮想通貨」と何が違うのか。

通貨の属性を考えると、ビットコインなどの「仮想通貨」は本質的には通貨ではない。「仮想通貨」は国が発行する法定通貨が国の信用を後ろ盾にしているのとは異なり、その投機性が監督管理の厳格化や技術的問題といった要因の影響を受けるため、価格が大幅に上下動しがちであり、また自国や世界の通貨金融システムの正常な秩序を大きく揺るがすこともある。

通貨の流通原理をみると、金融システムの秩序ある運営とマクロ調整を保証するには、国家しか通貨発行という最高権力を行使できない。よって人民銀のデジタル通貨は国家の信用に基づき、中央銀行が発行する法定のデジタル通貨であり、ビットコインなどの「仮想通貨」とは本質的に異なるものだといえる。

■本当に流通現金に取って代われるか

中国ではすでに電子決済が非常に発達していながら、人民銀が法定デジタル通貨を打ち出すのはなぜか。人民銀決済精算司の穆長春(ムー・チャンチュン)副司長は、「一般の人々にとってみれば、基本的な決済機能については電子決済と人民銀のデジタル通貨との境界は相対的にあいまいだが、人民銀がこれから投入するデジタル通貨はいくつかの機能に関して電子決済と大きな違いがある。これまで電子決済ツールにおける資金の移動は必ず従来の銀行口座を経なければ完了しなかったが、人民銀のデジタル通貨は従来の銀行口座を離れて価値を移転させることができ、取引段階で口座への依存度が大幅に低下する。わかりやすく言えば、人民銀のデジタル通貨は現金と同じように流通が容易で、人民元の流通と国際化にとってプラスになり、またコントロール可能な匿名性も実現できるものだ」と述べた。

既存の流通現金は匿名での偽造が容易で、銀行カードやネット決済などの電子決済ツールは匿名性の高い決済のニーズを完全に満たすことはできない。よって人民銀のデジタル通貨の設計では流通現金の代替性が主なポイントとなり、現金の属性と主な特徴を備えつつ、持ち歩きやすさや匿名性に対する人々のニーズにも応えることを目指している。

人民銀の研究局・通貨金銀局の王信(ワン・シン)局長は、「人民銀のデジタル通貨は中国では主として現金にある程度代わるものとなり、人民銀の通貨決済機能を最適化し、人民銀の金融をめぐる地位と金融政策の有効性を向上させる上でプラスになる」との見方を示した。

ここからわかることは、人民銀のデジタル通貨発行は、目下流行する電子ウォレットやオンライン決済ということではなく、通貨システムを完全に仕切り直して既存の人民元システムに取って代わろうということでもなく、流通現金に対して一定の代替性をもった新しい暗号電子通貨システムを構築することが狙いだ。

中国銀聯の邵伏軍(シャオ・フージュン)会長は、「人民元による法定のデジタル通貨は大きな積極的影響をもたらし、金融の運営コントロールの効率を引き上げ、金融政策の手段をより豊富にすることができる」との見方を示した。

人民銀のデジタル通貨は主に少額が頻繁にやりとりされる小売業務シーンでの利用が想定される。周小川(ジョウ・シャオチュワン)元人民銀総裁は、「デジタル通貨を研究することは、本質的には小売決済システムの利便性、迅速性、低コストを追求することだ」と指摘した。(提供/人民網日本語版・編集/KS)

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