中国伝統の要素が盛り込まれた「国潮」がトレンドに

人民網日本語版    2019年8月22日(木) 19時30分

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ある中国消費ブランド発展報告によると、2018年、あるECプラットフォームでは、「新国貨(中国の伝統的要素を取り入れた中国国産品)」関連のキーワードの検索回数が126億回以上となっている。

鶴、伝説上の神獣・朱雀、祥雲、伝統的な庭園建築物……以前なら現代の流行とは相いれないと考えられていたこれらの中国伝統の要素が現在ではさまざまな商品に取り入れられるようになり、衣料品や化粧品、飲料、食品などが分野の垣根を越えた「中国風デザイングッズ」というトレンドに加わっている。中国青年報が報じた。

ある中国消費ブランド発展報告によると、2018年、あるECプラットフォームでは、「新国貨(中国の伝統的要素を取り入れた中国国産品)」関連のキーワードの検索回数が126億回以上となっている。また、別の中国消費者動向を調査した報告によると、18年、消費者の78.2%が「中国国産品をよく買う」と答えた。そして、中国国産品が人気になるにつれ、中国伝統の要素を取り入れたおしゃれな国産品のトレンド「国潮」が広がっている。

「国潮」が台頭

「国潮」には、▽中国伝統文化の要素が取り入れられている▽伝統文化と現在の潮流を組み合わせて商品にトレンド感を出すという2つの側面がある。

コンサルティング業界に従事している女性・張小西さん(仮名、24)は、「数年前、中国のスポーツ用品ブランド・李寧(Li-Ning)の商品は、コストパフォーマンスは高かったが、そのデザインは若者にうけていなかった。それが理由で、大学時代にブランドマネジメントを学んでいた私は研究対象にした」と言う。その時張さんは、李寧がもう少しオシャレなデザインだったら、状況は違っただろうと考えていた。しかし予想もしなかったことに、張さんが大学を卒業して2年後、李寧のウェアは「国潮」の波に乗り、人気ブランドになった。

ノスタルジックファッションのショーやパリのファッションウィークなど、中国のこの老舗スポーツ用品ブランドはここ数年、中国伝統文化の要素を盛り込んだファッションを引っさげて世界に進出している。そんななかで、張さんも「アンチ」から「大ファン」になり、ウェアなどをたくさん購入するようになった。李寧のウェアを着て北京の繁華街・王府井を歩いていると、同じ服を着ている人とよくすれ違うという。多くの若者が自分と同じチョイスをしているのを見て、張さんは今後「国潮」がさらに盛り上がることを期待している。

李寧だけでなく、若いデザイナーのなかにも中国伝統文化の要素をファッションデザインに取り入れ、自主ブランドを作り上げようとする人が増えている。

漢字がプリントされたTシャツが今では「オシャレ」アイテムに

中央財経大学3年生の邱風さん(女性)は、「国潮」の波が起こり、大きなブームへと発展していく過程を経験してきた。高校生の時から中国伝統文化が大好きだった邱さんは、当時「国潮」は流行していなかったものの、どこかのブランドが中国伝統文化の要素を盛り込んだ商品を打ち出すたびに、応援の意味を込めて購入していた。そうしているうちに、服から鞋、文房具、スキンケア品など、生活のあらゆる分野が少しずつ「国潮」に染まっていった。

邱さんは敏感肌にもかかわらず、「国潮」を応援するために、中国国産ブランドのスキンケア商品セットを購入したこともある。そのガラスの瓶や木製の栓、薄く施された模様などがとても気に入り、アレルギーも出ずに喜んだだけでなく、さわやかな香りとともに一夏を過ごすこともできた。そして、「国潮」の今後の発展にいっそう期待するようになった。邱さんは少し冗談ぽい口調で、「伝統文化がさらに大きく羽ばたいていく日を待ちわびている」と明るく語った。

中国服装デザイナー協会の張慶輝主席は、「『国潮』の出現は、総合的な国力や経済社会の発展が一定の段階に達した時の必然的な産物だ。具体的には、現在の消費者が文化的な自覚を持ち、自国文化の要素を高く評価するようになっており、また消費観念が多元化、個性化していることも示している」と分析する。

また、北京服装学院ファッションコミュニケーション学院の教員を務める董妍氏は、「私たちが子供の頃とはかなり違う。私たちが子供の頃、ジーンズや柄付きのシャツ、アフロヘアなど、中国のファッションのトレンドはほとんど海外発のものばかりだった。しかし今では、中国の消費者が自国の文化を高く評価し、伝統的なものにも素晴らしいところがあることに気付くようになっている。Tシャツにアルファベットがプリントされていればオシャレという時代は終わり、今は漢字がプリントされたTシャツが受け入れられるようになっている」と語る。

「国潮」は急速に発展しているものの、市場全体を見ると、良いものも悪いもの入り混じっている。例えば、「国潮」を過度に強調してマーケティングを展開している企業も多い。「衣料品だけでなく、日用品、グルメ、家電など、ほとんどすべての分野のブランドが『国潮』を売り文句にしている。どんなブランドでも、『国潮』と銘打てばそれで『国潮』ということになる」。また、「国潮」と銘打ちながら、実際には中国の要素を単に盛り込んでいるだけで、作りが粗末でクオリティが低い商品を売っている企業も多く、そんな企業は信念あるブランド文化とはほど遠い。

そのような問題の解決策について、張慶輝主席は、「今後『国潮』が発展できるかは市場によって決まる。これらの問題は、市場における自然淘汰によって解決されるだろう」との見方を示す。また、董氏は、「政府が業界全体の品質基準を制定することも急務だ」と指摘した。(編集KN)

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